2008年1月30日(水)「しんぶん赤旗」

スペインの「歴史の記憶法」とは?


 〈問い〉 スペインで内戦とその後のフランコ独裁体制時に迫害された人々の名誉回復法ができたと聞きましたが、どんなものですか? スペイン内戦についてもよく知らないので教えてください。(岡山・一読者)

 〈答え〉 昨年、スペインで成立した「歴史の記憶法」は、1936年から39年まで続いた内戦とその後75年までの軍事独裁政権下で政治弾圧を受けた犠牲者の名誉を回復し、遺族を補償する内容です。

 2004年に発足したサパテロ政権のもと、内戦と軍政時の被害を調査する委員会が発足するなど、弾圧についての調査、研究が進んでいました。

 同法は、共和制を求める人々に対して軍政下で行われた裁判は「非合法」と規定。遺族年金の充実、犠牲者の身元確認の促進、内戦と政治弾圧に関する資料の保存などを決めました。軍事蜂起したフランコ将軍や蜂起をたたえる記念碑やシンボルの撤去も求めています。

 スペインでは、31年の統一地方選挙で共和制支持派が勝利。同年12月にはスペインを主権在民の民主的共和国とする憲法が制定されました。

 36年2月の総選挙では、共産党の呼びかけで社会党や共和党なども加わった人民戦線が勝利し、政府をつくりました。

 しかし、大地主や教会など封建的反動勢力と結びついたファシズム勢力は、同年7月、フランコ将軍を中心に軍事反乱を起こし、内戦が全国に広がっていきました。

 内戦のさなかの36年9月、共産党員の閣僚を含む人民戦線政府が成立。小農に対する減税や小作料の減額、労働者の賃金引き上げ、公共住宅建設などを掲げた人民戦線協定の実現を進めました。

 しかし、ドイツ、イタリア両国からの軍事援助を受けた反乱軍は攻勢を強め、36年10月半ばにはスペイン本土の約3分の2を占領するにいたります。

 政府側は、人民軍を組織してたたかいますが、次第に劣勢になります。この背景には、イギリスやフランス、米国が不干渉政策の名で政府側への武器弾薬の輸出を禁止したほか、政府支援の義勇兵のスペイン入国禁止や国際旅団の解散措置をとったこと、また政府内に路線や戦術をめぐる対立が生まれたことがあります。

 39年3月には反乱軍がマドリードを制圧し内戦は終結。これ以降、75年11月にフランコが亡くなるまで軍政が続き、共産党や労働組合の活動家らが不当に逮捕、処刑されました。(島)

 〔2008・1・30(水)〕


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