2008年1月24日(木)「しんぶん赤旗」

市田書記局長の代表質問

参院本会議


 日本共産党の市田忠義書記局長が二十三日、参院本会議でおこなった代表質問は次の通りです。


写真

(写真)代表質問をする市田忠義書記局長=23日、参院本会議

日本経済は大きな岐路――
家計に軸足を移す転換こそ

 日本共産党を代表して福田総理に質問いたします。

大企業減税の一方、家計の可処分所得は24兆円減った

 いま日本の経済は大きな岐路に立っています。

 自民・公明の歴代政権はこれまで、大企業のリストラを容認し、労働法制の規制緩和をおしすすめて低賃金の非正規雇用を拡大し、大企業・大資産家のもうけをひたすら保障してきました。

 そのうえ、この間、大企業・大資産家への七兆円ものゆきすぎた減税をすすめ、足りなくなった歳入を庶民増税と負担増、社会保障の切り捨てに求めてきたのであります。

 その結果、確かに大企業の利益は一九九七年とくらべて二・二倍になりました。しかしそれは国民には波及しませんでした。この事実は政府も認めざるを得ませんでした。労働者の賃金は連続的に減り続け、家計が消費や貯金にまわせるお金、いわゆる可処分所得は、その間におよそ一割、二十四兆円も減ったのであります。

 そしてこれは、日本全体の従業員数の七割を占める中小企業を直撃しました。昨年の中小企業の倒産件数は前年とくらべて17・2%もふえました。しかもその77%が「不況型」倒産であります。

 とりわけ、国民のフトコロと直結する飲食業や小売業などが直撃を受け、町場では「シャッター通りどころか焼け野原だ」という怨嗟(えんさ)の声があふれています。

 それに加えて、原油と穀物価格の高騰が打撃を与えています。

国民と中小企業を応援することが求められている

 いまこそ大企業・大資産家本位、輸出頼みの経済政策から、国民と中小企業を応援し、家計に軸足を移すことこそ、国民にとっても、日本経済のまともな発展のためにも不可欠ではありませんか。

 そのためには何が必要か。第一に、政府の決断で直ちに国民のフトコロをあたためること。具体的には、障害者自立支援法による障害を持つ人たちの負担を元に戻すこと、高すぎる国保料を引き下げること、そして七十五歳以上のお年寄りに差別医療と新たな負担を強いる後期高齢者医療制度を撤回することであり、これら負担増をつくり出す仕掛けともなっている、社会保障費の毎年二千二百億円の削減をやめることであります。

 第二は、大量の非正規雇用をうみだすもととなった労働法制の規制緩和、とりわけ労働者派遣法の抜本的な見直しを行うことであります。

 派遣してはならないところに労働者を派遣したり、労働者のまた貸しである二重派遣など違法派遣を繰り返していた「グッドウィル」が、厚生労働省から事業停止命令を受けました。遅きに失したとはいえ、それは当然であります。しかし、そのことによって最大の犠牲をこうむっているのが、違法状態のなかで働かされてきた労働者、その多くが二十代、三十代の若い人びとです。

 なんの責任もない青年たちが職を失い、路頭に迷うようなことは絶対にあってはなりません。違法派遣と知りながら派遣労働者を使っていた受け入れ先の企業に直接雇用させるなど、政府は雇用の確保に力を尽くすべきであります。

 総理は労働者派遣制度の見直しに言及されました。それなら、単なる適正化ではなく、少なくとも人間を物あつかいする日雇い派遣はただちに禁止すべきではありませんか。さらに、登録型派遣を厳しく制限することをはじめ、労働者派遣法を派遣労働者保護法に抜本改正することを求めるものであります。

 第三は、最低賃金の引き上げであります。生計費原則にもとづき、時給千円への引き上げを決断すべきではありませんか。

 第四は、中小企業への支援であります。当面の緊急対策として、原油高にともなう原材料費・燃料費の上昇分を、中小・下請け・物流業者に一方的に押し付けることのないよう、大手商社など大企業を強力に指導するよう求めます。

 また、中小企業に働く労働者の賃金を引き上げるためにも、最低工賃を引き上げ、下請け代金を時給千円の最低賃金を保障できる水準に定めるべきであります。

 これらを全体として保障し、中小企業を応援するためにいまある下請け振興基準を実効あるものにするとともに、下請け二法の抜本拡充を求めるものであります。

深刻な「医療崩壊」の進行――
抜本的な医師増員へ踏み出し公立病院の統合・廃止やめよ

 次に、国民の命と健康を脅かす「医療崩壊」ともいうべき、重大な事態の進行についてであります。

出産できる病院は02年から半減した

 病院から医師が次々といなくなり、病棟の休止や病院自体が閉院に追い込まれる事態が各地で広がっています。

 日本産科婦人科学会の調査によると、「出産のできる病院・診療所」は、二○○二年には六千三百九十八カ所だったのが、二○○六年には三千六十三カ所と半分以下になり、地方でも都市でも「お産難民」が急増しています。救急医療を担う施設もこの五年間に一割減少し、救急車で運ばれた患者が搬送先を見つけられずに死亡するという悲惨な事件が続発しています。

 なぜ、これほど深刻な「医療崩壊」が引き起こされたのか。その根本原因は、医療費抑制のために、「医学部定員の削減」を閣議決定までして、医師の養成数を減らしてきた政府の失政にあります。

 現在、日本の医療機関で働く医師の数は二十六万人。OECD(経済協力開発機構)加盟国の平均とくらべて十四万人もたりないのです。そのため、病院に勤務する医師は、週平均七十―八十時間もの長時間労働、しかもその大半を患者の命と直面するという極度の緊張を強いられ、疲弊した勤務医のリタイアでさらに医師が不足する事態が広がっているのです。

 ところが、政府はいまだに「医師は基本的に足りている。問題は医師の偏在」と言い続けています。

 一体どこに「医師が余っている都道府県」があるというのか、具体的に答えていただきたい。「医学部定員の削減」を決めた閣議決定を見直し、抜本的な医師増員に踏み出すべきだと考えますが、いかがですか。

病院つぶしておいて「道路で病院結ぶ」とは

 「医療崩壊」がこれだけ深刻化しているなかにあって、政府は、公立病院の統合・廃止・縮小をさらに大規模に進めようとしています。

 総理は、道路特定財源を維持する理由のひとつに、「救急病院への交通の利便性の確保」をあげました。巨額の金を投じて道路をつくっても、行った先には病院がなくなっているというのがあなたの政治ではありませんか。

 病院を立ち行かなくし、あちこちで病院の閉鎖を余儀なくさせておいて、道路で病院を結ぼうというほど本末転倒の政策はありません。

 公立病院や診療科を減らす計画を自治体に押しつけるのはやめて、国と自治体が地域医療を守る責任を果たし、国立病院・公立病院が産科・小児科・救急医療などを守る先頭にたつよう改めるべきではありませんか。

温暖化防止へ政治のイニシアチブ発揮を

 最後に、地球温暖化対策についてであります。国連の潘(パン)事務総長は、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の総会で、世界の科学者の知見を集めた国連IPCCの業績をたたえつつ、「科学者は仕事をした。今度は政治指導者たちが自分たちの仕事をする番だ」「いま行動を起こさなければ重大な危機に直面する」、また「ビジネスには基本ルールが必要だ」とものべました。

 総理は、この国連事務総長の発言をどのように受け止めていますか。

 日本は、京都議定書で約束した温暖化ガスの一九九○年比6%の削減どころか、逆に6・4%も増えています。最近発表された世界銀行の調査では、日本の温暖化対策の進ちょく状況は先進国中最下位にランクされました。京都の名が泣いているとは思いませんか。

 最大の問題はなにか。もちろん、家庭や個人の努力、国民的な運動も必要です。しかし日本のCO2排出量の八割を占めているのは企業・公共部門なのであります。この部門を、日本経団連の自主行動計画まかせにしておいたことが、削減どころか排出増の結果をもたらしたのであります。

 いまこそ、政治のイニシアチブの発揮が求められています。ヨーロッパなどですでに実行されている、政府と経済界との間で削減協定を締結するなど、企業に社会的責任を果たさせるルールを確立することが不可欠であります。ヨーロッパでできて、日本でできない理由はなんですか。端的にお答えください。また現行のエネルギー課税を見直し、二酸化炭素の排出量を考慮した環境税の導入を検討すべきだと考えますが、総理の答弁をもとめて質問を終わります。


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