2008年1月19日(土)「しんぶん赤旗」

グッドウィル事業停止

党国会議員団に

派遣労働者 切々と

劣悪条件 改善こそ


 日雇い派遣業界最大手のグッドウィルの全事業所は十八日から、事業を停止しました。日雇い派遣労働者の権利保護、生活保障などを同日、厚生労働省に申し入れた日本共産党国会議員団はこれに先立ち、同社の日雇い派遣労働者から実情を聞きました。


 小池晃参院議員と面談した日雇い派遣労働者の男性は、次のようにいいます。

 「ひどい会社だから処分は当然だが、具体的な処分内容が事業停止命令だけだと知って、がっかりしている。労働条件の改善のために告発してきたのに、これでは元も子もなくなりはしないか。このところグッドウィルからの日雇い派遣の仕事はないし、ほかの派遣会社の仕事も減っている。このままでは、下手をすると餓死者が出ますよ」

 グ社の日雇い派遣労働者の登録数は二百九十万人。その多くが、明日の生活費もこと欠く人たちです。

 男性は、日雇い派遣労働者に国が仕事をあっせんするとか、事業停止の間に得られるはずだった賃金の何割かを、違法行為で大もうけした会社が保障するなどの緊急対策を強く求めました。

 本紙にグ社の違法行為を告発してきた労働者の動機は、劣悪な労働条件を何とかしてほしいということでした。実際、多くの日雇い労働者の証言でも、労災隠しや交通費不払い、賃金からの不透明な天引き、労働保険・社会保険の適用除外、最低賃金を実質的に下回る低賃金などが常態化しています。

 今回の処分の主な理由は、グ社が各地で行った二重派遣です。日雇い派遣は、最終派遣先の会社が人件費を削減するために悪用されています。二重派遣は、ピンハネ(中間搾取)する派遣会社が二社に増えるので、それだけ労働者の賃金を引き下げます。「二重派遣では、集合場所で点呼をとっていたグ社の人間が、最終派遣先までついてきていた。グ社や一次派遣先、最終派遣先がみんな、二重派遣の実態を知っていたのは明らかです」(グ社の派遣労働者の男性)

 グ社や一次派遣先、最終派遣先などの関係各社が共謀して、劣悪な労働条件を派遣労働者に押し付けていたのです。


これが違法の構図

 十八日から全事業所が事業停止となった日雇い派遣最大手のグッドウィル。処分を出した東京労働局が「違反期間が長く、違法に派遣した人数も多く、違反に関与した事業所も多い」と指摘した違法派遣の構図を見ると―。

 (1)〈東京の二重派遣・違法派遣〉

 グ社は、一次派遣先の港湾運送関連会社「東和リース」(東京都港区)を介して、最終派遣先(社名を公表せず)の就業場所である都内のふ頭や船舶に派遣労働者を送り込んでいました。

 これは、港湾運送業務の派遣労働を禁じる労働者派遣法第四条に違反しています。二重派遣などの「労働者供給事業」を禁じる職業安定法第四四条にも違反しています。

 (2)〈静岡の二重派遣〉

 グ社は、一次派遣先の派遣会社「佐川グローバルロジスティクス」(東京都品川区)を介して、最終派遣先(社名を公表せず)の就業場所である静岡県浜松市の倉庫内に派遣労働者を送り、仕分け作業などをさせていました。これも違法な二重派遣です。

 (3)〈千葉の二重派遣〉

 グ社は、一次派遣先の派遣会社「グローバルサポート」(千葉県松戸市)を介して、最終派遣先(社名を公表せず)の就業場所、千葉県市川市の倉庫内に派遣労働者を送り、検品の作業などをさせていました。これも二重派遣です。

 (4)〈熊本県の違法派遣〉

 グ社は、派遣先(社名を公表せず)の就業場所の熊本県玉名郡長洲町に派遣労働者を送り、工場増築工事で、立体自動倉庫システムの設置工事をさせていました。

 これは、建設業務を禁じる労働者派遣法第四条に反しています。

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