2008年1月17日(木)「しんぶん赤旗」

三菱自元社長ら有罪

欠陥車で死亡事故 予見できたのに放置

横浜地裁判決


 山口県で二○○二年、三菱自動車製大型トラックが、クラッチ系統部品の欠陥から暴走し、運転手=当時(39)=が死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われた元社長河添克彦被告(71)ら四人に対する判決が十六日、横浜地裁でありました。鈴木秀行裁判長は、同被告について「自覚に欠けた無責任な態度」と指摘、禁固三年、執行猶予五年(求刑禁固三年)とするなど、全員に有罪判決を言い渡しました。

 三菱車の欠陥をめぐる三件の刑事裁判で、最後の一審判決。安全をおろそかにしたトップの責任を断罪する判決と判断となりました。無罪を主張していた四人は控訴しました。

 このほか、元副社長村田有造被告(70)が禁固三年、執行猶予五年(求刑禁固三年)。元三菱ふそうトラック・バス会長宇佐美隆被告(67)は禁固二年、執行猶予三年(同二年六月)。元三菱自品質・技術本部副本部長中神達郎被告(65)は禁固二年六月、執行猶予四年(同二年六月)。

 鈴木裁判長は河添被告について、同部品の欠陥自体は「知らなかった」としつつ、長年にわたる不具合情報の二重管理(クレーム隠し)や指示改修(ヤミ改修)を熟知し「将来、死傷事故が起きることを容易に予見できたのに放置した」と指摘しました。

 また、同罪の成立には「過失により致死の結果が生じるかもしれないという程度の予見可能性で足りる」との判断を示し、事故を具体的に予想できなかったとする弁護側主張を退けました。

 判決によると、二○○○年七月に大規模な不具合情報の二重管理が発覚した後も、三菱自は「一九九八年三月以前の情報は残っていない」などと運輸省(当時)に虚偽報告するなどし、欠陥を放置。その結果、山口県で運転手が死亡する事故が起きました。


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