2008年1月10日(木)「しんぶん赤旗」

性能評価機関

耐火偽装を見逃しました

天下りゾロゾロ34人

5財団に国交省、経産省などから


 昨年、相次いで発覚した耐火・防火建材の性能偽装問題は、四十社の製品七十七件に不適切なケースがあることが判明するなど、建材の大臣認定制度の信頼性が問われる事態になっています。本紙の調べで、「ニチアス」(東京都港区)、「東洋ゴム工業」(大阪市)両社の不正を見逃し、「大臣認定」というお墨付きを与えてきた性能評価機関に、国土交通省などのOBがのべ三十四人も天下りしていることがわかりました。

 今回、調べた性能評価機関は、「ベターリビング」「日本建築総合試験所」「日本建築センター」「日本住宅・木材技術センター」「建材試験センター」の五つの財団法人。

 軒下部材に水を染み込ませるなどの「ニチアス」の不正行為を見逃した財団法人「ベターリビング」は、理事長が旧建設省住宅局長。専務理事一人、理事二人、監事一人、評議員四人の計九人が国土交通省、林野庁、内閣府からの天下りです。

 東洋ゴムの防火用断熱パネルの偽装を見逃した「日本建築総合試験所」も、非常勤の常任理事に旧通商産業省の工業技術院標準部長、評議員に経済産業省大臣官房審議官だった現日本鉄鋼連盟専務理事と、二人が天下りしています。

 このほか、日本建築センター十人、日本住宅・木材技術センター六人、建材試験センター七人で、のべ三十四人にのぼります。

 ベターリビングの理事長が、「日本住宅・木材技術センター」の理事を兼任、日本住宅・木材技術センターの理事長(元林野庁東北森林管理局長)が、ベターリビングの理事、日本建築センターの評議員を兼ねるなど、複数の役員を兼任している天下り官僚が五人おり、実数は二十七人となります。

 省庁別では、国交省(旧建設省含む)が十七人とダントツで、以下、経産省(旧通商産業省含む)六人、林野庁二人、経企庁、内閣府各一人。

 また、ベターリビングの役員にリンナイ、TОTО、松下電器産業、ノーリツ、一方、日本建築センターの役員に積水ハウス、大和ハウス、住友林業など、住宅メーカーや住宅関連企業のトップも名前を連ねています。

 冬柴鉄三国土交通相は昨年十一月六日の記者会見で、大臣認定について、「偽装を見破るのは難しい。ごまかしがあるかもしれないことも射程に入れて検査しなければならないことになる」などといっていますが、評価機関のあり方が問われています。


 建材の大臣認定制度 建築基準法は、「防火地域・準防火地域」では「特別な材料を使う場合は大臣認定が必要」と規定しています。建材メーカーなどが、国土交通相の指定を受けた北海道立を含む全国六つの性能評価機関で耐火性や不燃性についての認定試験を受け、パスした建材が「大臣認定」を取得することになります。


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