2008年1月10日(木)「しんぶん赤旗」

新テロ特措法案

許されぬ与党再議決 これだけの理由

不支持が支持上回る


 再延長した臨時国会の会期末(15日)が迫るなか、海上自衛隊をインド洋に再派兵する新テロ特措法案をめぐり、緊迫した局面を迎えています。政府・与党は衆院での再議決を強行し成立させる構えです。しかし、これまでの国会審議や国民世論からみても、同法案は廃案以外にありません。


 「国民や国会によく説明し、ご理解をいただくよう全力を尽くす」―臨時国会での所信表明演説で福田首相は、新テロ特措法案についてこう語りました。

 しかし、臨時国会を再延長しても、「国民の理解」は深まるどころか、先月実施された新聞各社の世論調査では、海上自衛隊のインド洋での給油活動について不支持が支持を上回る結果が相次いでいます。(グラフ)

 たとえば「毎日」(〇七年十二月十八日付)の世論調査は給油活動を「再開すべきだ」41%に対し、「このまま中止すべきだ」は50%。前回調査の「賛成」48%、「反対」43%が逆転しました。

 与党が衆院の三分の二で再議決しようとする姿勢についても、「毎日」の調査は「支持しない」が57%と大きく上回っています。

 世論の支持もなく、昨年の参院選挙で示された民意を再議決でひっくり返すことは許されません。

「テロ根絶」にも逆行

 福田首相はインド洋への再派兵で「世界のために汗を流す日本の姿を示したい」(四日)などと繰り返しています。

 しかし、対テロ報復戦争への支援は、「テロ根絶」に役立つどころか、事態をさらに悪化させていることは明らかです。

 日本がやるべき国際貢献は、米国主導の対テロ報復戦争への支援ではなく、アフガニスタンの和平を支援する外交的努力を尽くすことです。アフガニスタンのカルザイ政権も、空爆に反対し、タリバンを含む武装勢力との交渉による和平を目指す「平和と和解のプロセス」に踏み出しています。アフガニスタンに派兵している米国の同盟国である英国や豪州からも、軍事的手法から政治的解決に戦略の重点を移すべきだとの声が挙がるほどになっています。

 再派兵論者は“再派兵しないと国際的に孤立する”などといいますが、給油中断で国際社会から日本が非難されているわけでもありません。米国が「失望した」(国務省報道官)と表明しただけです。

担当省は疑惑まみれ

 派兵を担う防衛省・自衛隊が軍事利権疑惑にまみれているのでは、法案を提出する資格そのものがありません。

 疑惑の端緒となったのは、海外派兵体制づくりを進めてきた防衛省の事務方トップ=守屋武昌前事務次官の逮捕。疑惑は拡大の一途で、贈賄側の「山田洋行」元専務・宮崎元伸容疑者が業績を拡大する足場としていた「日米平和・文化交流協会」にも向けられています。同協会は、軍需企業、自民党・公明党・民主党の国防族議員らがメンバーとして名を連ねています。

 同協会の秋山直紀常勤理事への参考人質疑(八日の参院外交防衛委員会)では、自民党議員からでさえ「防衛省と防衛産業は、防衛機密のベールでガードされている。官民ともに防衛機密に安住しているのではないか」という声があがりました。

 疑惑を徹底解明することもせず、法案を強行するとなれば、国民の批判は必至です。

グラフ

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