2008年1月9日(水)「しんぶん赤旗」

「危険運転」高いハードル

福岡3児交通死判決

遺影胸に悔しさにじむ


 「危険運転致死傷罪は高いハードルがあると実感した」。幼児三人の命を奪った飲酒運転事故の判決後記者会見した、母親の大上かおりさん(31)は、悔しさをにじませながらこう語りました。福岡地裁の判決は、被告に危険運転致死傷罪などで検察側が懲役二十五年を求刑したのに対し、同罪を適用せず、業務上過失致死傷罪などで三分の一以下の懲役七年六月でした。


 「本当に大事に大事に育ててきた三人を、事故によって絶たれてしまったことを分かってほしい」

 三人の父親、大上哲央さん(34)とかおりさんはこんな思いを胸に、三人の遺影を法廷内に持ち込みました。二人とも黒のスーツに白いシャツ姿で法廷の中央付近に座り、哲央さんが胸に遺影を抱きました。

 入廷した被告が、弁護士に促されるかたちで、傍聴席に深々と頭を下げると、哲央さんは口を曲げ険しい表情を浮かべました。

 判決が読み上げられるなか、被告の表情を見たかおりさんは「無表情で違和感を感じた」。

 裁判長が三人の幼児について触れると、かおりさんの目からは涙があふれました。裁判長は判決後、「これから、一生をかけて償ってほしい」と被告に声をかけました。

 判決について、哲央さんは「胸がいっぱいでうまく言えない。裁判所の判断に委ねると言ってきた。受けとめたい」と語りました。

 かおりさんは、亡くなった三人に「危険運転致死傷罪が適用されなかったからといって命がそれだけの価値しかないということではないんだよと伝えたい」と、ときおり言葉を詰まらせながら話しました。(藤川良太)


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