2008年1月7日(月)「しんぶん赤旗」

今年の国会と選挙にどうのぞむか

NHK日曜討論 志位委員長の発言(大要)


 日本共産党の志位和夫委員長は六日、NHK「日曜討論」に出演し、野党が参院の過半数を占める国会状況の下での政策問題や、解散・総選挙をめぐる政局について質問に答えました。インタビュアーは影山日出夫NHK解説委員。


「ねじれ国会」

「二大政党」と国民の利益に「ねじれ」
共産党の前進で打開を

 影山 まず、いまのいわゆる「ねじれ国会」ですが、志位さんは今年の仕事始め(党旗びらき)のあいさつで、「ねじれ国会」というのは自民、民主の「二大政党」と国民の利益の間、これがねじれているんだという面白い言い方をされていましたね。これは、要するに自民党も民主党も同じだということですか。

 志位 そうですね。国の政治の基本の問題を考えてみますと、例えば自衛隊の海外派兵が問題になっていますけれども、与党の方は、インド洋への再派兵をなにがなんでもやるんだという法案を通そうとしております。それに対して民主党は「対案」を出してきましたけれど、「対案」の中身を見ますと、自衛隊派兵の恒久法をつくるんだと、あるいは陸上自衛隊をアフガン本土に派兵するんだと、海上自衛隊は「海上阻止活動」に参加するんだと、与党の案と比べても、もっと派兵を拡大するという方向で、これは本当に派兵の競い合いという感じですね。

 それから消費税の問題を考えてみましても、与党の方は、来年度予算案では上げるつもりはないというふうに言うけれども、二〇〇九年度を目指して消費税を上げるという方向がはっきりと出ていますね。それに対して民主党も当面は上げないというんですけど、将来の方向性としては上げるということをはっきり書き込んだ案を出しました。

 ですから、国の基本の問題では「同質・同類」だと。「ねじれ」ということを言うんだったら、むしろ自民、民主の「二大政党」と国民の利益が「ねじれ」ている。共産党が前進していくことこそ「ねじれ」打開の道だというふうに考えております。

解散・総選挙

比例代表での前進に力を集中
「二大政党づくり」を打ち破る

 影山 そういうなかで共産党は、衆議院では小選挙区の候補者を半分以下に減らすという方針を決めておられますね。国民の選択肢を減らすという意味では、結果的にこの二大政党への移行を助けることになってしまうのではないですか。

 志位 いまの状況のなかで、私たち、わが党の力というものをリアルに判断しまして、比例代表で前進するということに力を集中しようじゃないか。そういうことを考えまして、私たち比例代表では候補者をうんと増やしまして、七十三人の予定候補をすでに発表しております。小選挙区の方はやはり(候補者を)立てるだけの力がまだ残念ながらないところもあります。そういうところでは無理して立てずに比例一本に絞って、そこで伸ばすということに力を集中しようと。そのことが、いまの「二大政党」という枠組みを打ち破って新しい政治をつくるうえで、一番の近道にもなるということで、頑張っているところです。

福田内閣

外交でも内政でも自民党政治の枠組みが立ち行かなくなった

 影山 最近の福田内閣ですけれど、年末には支持率が急落しました。これはどの辺に原因があるとお考えになりますか。

 志位 個々のいろんな行政上のミスとか、スキャンダルなども響いているとは思いますが、私はやはり自民党の政治の枠組みそのものが立ち行かなくなったというところに根っこがあると思います。

 すなわち、外交ではあまりにアメリカ言いなりだと、そして海外派兵に固執すると、「米軍再編」の名で基地強化を押し付けると、さらに憲法九条を変えようと、この動きですね。

 それから内政では、大企業は空前の大もうけをあげているけれど、国民のなかには貧困が広がり格差が広がる。このアンバランスですね。この「逆立ち」した状況、これではもう立ち行かないというところが、国民の深いところでの批判を呼び起こしていると思います。

経済政策

大企業から国民・家計へ政策の軸足の大転換を

 影山 その点について言いますと、福田首相は、今年は生活者重視、消費者重視の政策に転換するんだということを言ってるわけですよね。その辺には期待は持てませんか。

 志位 そういうことをおっしゃいますけど、例えば、国民にとって暮らしの支えになっている社会保障費、これを毎年毎年自然増を二千二百億円ずつ削ると、減らし続けるということをずっとやってきた。私はこの前の国会で、これではもう立ち行かないからやめるべきだと言ったんですけれども、来年度予算案でも減らすということですね。

 ですから、そのなかで例えば高齢者、後期高齢者の方々への医療制度が悪くなって、負担が増える、給付も減る。非常な不安を呼び起こしています。

 こうして社会保障は削る、そのうえその次の年(二〇〇九年度)には、国民を兵糧攻めにしたあげく消費税まで上げようという方向ですから、「生活者重視」といっても、これは口だけのことになる。

 私は、やはりいま、経済政策については軸足の転換が必要だと思います。大企業から、国民・家計にその軸足を移すということが求められていると思います。

新テロ特措法

国民多数が法案にも再可決にも反対
民意にしたがって廃案に

 影山 そのためにもできるだけ早く解散・総選挙に追い込みたいということなんでしょうけれども(志位 「そうですね」)、与党の方はこれはできるだけ先送りしようとしているなかで、どうやって早期解散に追い込んでいきますか。

 志位 これは私たちは、国政の根本のところでの問題点を、どこが問題なのかということを堂々と国民の前で明らかにしながら信を問うていきたいと思っております。

 まずは新テロ特措法案が問題になっておりますけれども、国民世論を見ますと、昨年末に行われたどの世論調査を見ても、反対が多数になって五割前後ですよ。(衆院の三分の二での)再可決をすべきじゃないというのも五割前後ですから、これを食い止めるところに全力をあげていきたいと思っております。

 影山 ただ先ほどの自民党の伊吹幹事長のお話でもですね、与党としては再可決をして成立をさせるという方針に変わりはないようなんですが、もしそういうことになった場合、どう対抗していきますか。

 志位 いまの段階では再可決をさせないということが大事です。総理自らも、国民の「理解と協力」を得て進めると言ってこられたんですね。しかし、「理解」も「協力」も得られてないわけですよ。それで、あれだけ審議をやったけれどもますます反対が増えている。賛否が逆転しているわけです。ですから民意に従ってですね、そういうむちゃなことはやるべきでないということを強く言いたいと思います。

道路特定財源

一般財源化し、暫定税率は廃止する
二酸化炭素の排出量を考慮した環境税の導入を

 影山 その後、すぐ通常国会も始まるわけですが、道路特定財源、予算関連法案をめぐる対立が解散の引き金になるという見方もあるんですが、共産党はどうなんでしょう。このガソリン税の上乗せ税率を廃止して、ガソリンをその分安くするという民主党の案に近いんですか。賛成なんですか。

 志位 道路特定財源についての私たちのまとまった考えを申しますと、まず、この仕掛け自体は、ガソリン税などでの税収を道路のためにしか使えないということで、無駄な道路をつくり続ける“自動装置”になっていたわけですから、これは一般財源にして、福祉にも使える、教育にも使える、道路にも使える財源にする。これが一つですね。

 それから暫定税率については、その道路特定財源をさらに上乗せして、無駄な道路をつくることを加速する役割を果たしてきたわけですから、これは廃止する。

 そのうえで、エネルギー課税については考える必要があります。エネルギー課税については、いまのあり方を抜本的に見直して、二酸化炭素の排出量を考慮した環境税を導入するということが必要だと思っています。

 ですから、政府が言っているように十年間の暫定税率の延長というのは絶対に反対です。

 影山 そうすると民主党と違いはあっても予算関連法案ではある部分、共闘できる部分はあると、そういうことでしょうか。

 志位 (暫定税率延長に)反対ということでは一致すると思いますが、ただ、私たちは無駄な道路はつくるのはやめるべきだという立場です。実は十年間の暫定税率の延長というのは、五十九兆円を十年間で使う道路中期計画のためのものですから、こちらの方を削れば、暫定税率をなくしても、これは予算に穴が開くことはないんです。

 影山 そこを削ることが先だと。

 志位 それが大事だということです。

 影山 ありがとうございました。


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