2008年1月5日(土)「しんぶん赤旗」
米大統領選アイオワ民主党
住民「変革だ」
「オバマ氏の戦争終結、学費政策に注目」
【デモイン(米アイオワ州)=鎌塚由美】三日に開かれた二大政党の大統領候補選びの開幕戦・アイオワ州の党員集会(コーカス)では、政権奪取の可能性が指摘される民主党で、「変革」を訴えたオバマ上院議員が「経験」を売り物にしたクリントン上院議員を大幅に引き離して勝利しました。
オバマ氏は勝利演説で、アイオワ州民が「変革」を選んだと強調しました。全国調査で国民が争点としてあげるのは、経済、イラク戦争、健康保険問題です。ブッシュ政権への支持率の低さとともに、現在の米国の進路に対する不支持は七割に上っています。同氏の勝利で「ブッシュ政治からの転換」が流れになっていることが裏付けられました。
民主、共和両党の党員集会の参加者は三十三万人を超え、今回の大統領候補選びへの高い関心が示されました。デモイン近郊のアーバンデール市の教会で行われた民主党の党員集会には、約三百人が参加。会場前で有権者登録を担当したリンダ・ライバーグさん(59)は、「無所属の百三十人が参加しました」と話し、住民の関心の高さに目を見張りました。
近所に住むジェリー・ライアンさん(71)は、「イラク戦争」が候補者選びの基準だと述べ、大学院生のベス・カイザーさん(29)は、「戦争の終結、誰もが支払える大学費の政策に注目した」とし、「『変革』を掲げる」オバマ上院議員を支持すると語りました。
アイオワ州での党員集会は今後の指名争いを占うことからも各候補が力を入れて運動を繰り広げました。
八人が名乗りを上げた民主党では、世論調査で上位を争っていたオバマ、クリントン上院議員、エドワーズ元上院議員の三氏が、支持を分け合いました。オバマ氏(38%)が、エドワーズ(30%)とクリントン(29%)の両氏を大きく引き離しました。クリントン候補は、知名度の高さと資金力から大本命と目されていましたが、三位という結果となりました。
一方CNNなどの集計によると、共和党は、終盤に宗教右派の間で支持を伸ばしたハッカビー氏が34%を獲得。緒戦の勝利を目指し大金をつぎ込んだロムニー前マサチューセッツ知事(26%)を抑えました。全国レベルでトップのジュリアーニ前ニューヨーク市長は、同州での運動をほとんどしなかったことから、4%を獲得したのみ。イラク戦争反対の立場を明確にする党内の異色候補、ポール下院議員は10%を獲得しました。
予備選と党員集会 四年に一度の米大統領選挙は、共和、民主の二大政党が予備選挙、または党員集会で候補者を絞り込み、夏の全国党大会で正式にそれぞれの大統領候補を決定します。予備選挙、党員集会は党大会に派遣する代議員を選び、代議員はそれぞれの州で勝利した候補に投票します。予備選では党ごとに有権者が投票。党員集会は、各地での集会で候補者について話し合い、挙手などでどの候補を支持するか意思表示します。
十一月の本選挙では予備選で選出された二候補と、民主・共和両党以外の候補者で争われます。大統領を選ぶ「大統領選挙人」を州ごとに有権者が選ぶという間接選挙。大統領選挙人の数を多くとった候補者が当選します。

