2008年1月1日(火)「しんぶん赤旗」

自民の政党助成金から

身内2社に82億円

受け取り額の13% 03〜06年仕事受注


 自民党の経理局長(国会議員)や事務総長など幹部職員が役員を務める二つの株式会社が、自民党から政党助成金で二〇〇三年―〇六年の四年間で約八十二億円もの仕事を受注していたことが、同党の政党交付金等使途報告書でわかりました。この四年間に同党が受け取った政党助成金の約13%に相当します。国民の税金が“身内”の会社に流れ込んでいたわけで、「政治とカネ」の問題として論議を呼びそうです。

 二つの身内会社は、いずれも東京・永田町の自民党本部の近くにある世論調査会社「日本情報調査」(資本金一千万円)と、広告代理店「自由企画社」(同二千万円)。

経理局長が代表取締役

 日本情報調査は、〇三年三月に「政治、経済、文化、生活、その他各種情報の収集、処理及び販売」を目的に設立。岸田文雄内閣府特命担当相、山本有二前金融・再チャレンジ担当相、細田博之幹事長代理など、自民党の歴代経理局長が代表取締役を務めています。

 昨年九月、細田氏にかわって宮路和明経理局長が代表取締役に就任、同党本部の元宿仁事務総長はじめ、事務局次長、経理局事務部長らが取締役に名前を連ねています。いわば、自民党直轄の企業です。

 自民党が総務相に提出した「政党交付金等使途報告書」によると、同社には、選挙関係費と調査研究費のなかで、それぞれ「調査費」として〇六年までの四年間で計約十二億三千万円の支出がありました。

 一方、自由企画社は、一九七二年の総選挙で日本共産党が躍進したことに危機感を深め、反共キャンペーンをすすめた当時の橋本登美三郎幹事長の提唱で、翌七三年十月、「自民党直属の広告代理店」として発足。元宿事務総長が取締役です。

 同社にも、「宣伝広報費」「筆耕翻訳料」「印刷製本費」などの名目で、この四年間に計約六十九億八千万円にのぼる支出があります。

 自民党は、毎年百六十億円前後の政党助成金を受け取っており、この四年間の総額は六百三十五億五千七百六十六万円。二社への支出は、あわせて八十二億一千七百七十八万円で、じつに12・9%にあたります。

 自民党本部に隣接するビル二階の日本情報調査を訪れると、安倍前首相のポスターが張ってある前で応対した男性は「こちらは現場なので、(自民党)本部の方に聞いてくれ」というばかり。

 同社と道路をはさんだビル三階の自由企画社の入り口には、福田首相のポスター二枚を掲示。応対した男性は「(税金の還流とか)そういうことは、まったくない。自民党本部から発注を受けて、別の会社に発注している」と話します。

 二つの身内会社について、自民党経理局では、「政党の機関紙の取材には応じていない」としました。

制度そのものなくさないと

 埼玉県飯能市の「小選挙区制と政党助成法の廃止をめざす飯能連絡会」事務局長の福島高治さん(69)は、「政党助成金の原資は私たちの税金です。年間三百億円を超える税金が、政党支持の自由をふみにじって日本共産党以外の政党に分け取りされ、それが、こんな使われ方をしているとは…。政党助成制度そのものをなくすために力をつくしたい」と話しています。


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