2007年12月28日(金)「しんぶん赤旗」

薬害肝炎原告団と志位委員長の懇談

(詳報)


 薬害肝炎原告団と弁護団が二十七日、日本共産党の志位和夫委員長らとおこなった懇談(詳報)は以下の通りです。


国は発生責任を認めてほしい――議員立法に盛り込んで(原告代表)

 懇談では冒頭、山口美智子原告代表が発言しました。

 山口 私たち原告団は、本当は大阪高裁の和解案において、一気に全面解決ということを望んでいました。しかし、国は和解協議において、自分たちの薬務行政の問題を、お金の問題に切り替えてしまい、私たち被害者の命の切り捨てをしてしまったので、決裂ということになってしまいました。一国のリーダーである福田(康夫)総理が政治決断をそのときされなければいけなかったと私たちは思っていますが、とうとうされずに、結局、議員立法という形で国会のほうに投げられました。

 本当に、共産党の先生方は私たちが提訴した際からかかわり、しっかり支えていただきました。また、国会等においても、この問題を取り上げていただき、舛添(要一・厚生労働)大臣にも、かなり強く追及していただきました。しかし、なかなか響かず、本当に私たちはつらい思いをしてきました。

 議員立法ということで、私たちがこれまで求めてきたことが盛り込まれなければ、全面解決にもつながらないと思っており、根本的なところで国の姿勢をただしてほしい、命を粗末にしないで、切り捨てないでほしいというところがあります。

 とくに責任問題では、ひき逃げに例えれば、逃げたことの責任は認めても、ひいたことに関してはまだ認めようとしない、そういうことがあるようです。

 そこははっきりこの議員立法に盛り込んでいただき、薬害根絶に、もう二度と薬害を繰り返さないという約束をしてほしいと思っております。どうぞ、お力添えをよろしくお願いいたします。

 (この発言につづき、山西美明弁護士が、議員立法化にあたっての原告団の基本要望について、(1)薬害を発生させた政府の責任をしっかりと認める、(2)行政による被害者の認定ではなく、司法による被害者認定をおこなう、(3)被害者支援法と同時に、肝炎対策の「基本法」も成立させる、以上の三点を強調しました)

「国の責任」明記とともに司法による認定、肝炎対策恒久法実現へ力尽くす(志位委員長)

 これをうけ、志位和夫委員長は次のように表明しました。

 志位 みなさん方の命がけのたたかいが事態を大きく一歩前に動かし、福田首相に一律全員救済ということを言わしめました。本当にみなさんのたたかいがつくった前進の第一歩であり、心から敬意を申し上げたいと思います。

 そのうえで、これから先が非常に大事な局面になってきています。議員立法という形になってきた以上、本当にみなさん方の要望がきちんとかなえられ、そして納得のいく内容にしていかなければだめだという立場でがんばっていきたいと思います。

 第一に、行政責任の問題では、(政府・与党が)被害を拡大させた責任については認めても、被害を発生させた責任を認めるということがはっきりしていないというのは、非常に重大な問題です。血液製剤を認可したのは国ですから、発生責任は明瞭(めいりょう)です。被害を発生させ、拡大させた二重の責任があるわけです。きちんと発生責任を含めて国の責任を認めなければ、本当の責任を認めたということにはなりません。

 特に、一律全員救済と言った以上、発生責任を認めなかったら、これは矛盾することになります。被害にあわれた方は全員救済すると言った以上、認可したときからの責任をはっきりさせないと、一体どこから線を引っ張るんだという議論に再びなりかねないことになります。

 ですから、一律全員救済をすると言った以上は、発生責任をきちんと明記したものにしなければいけないというみなさんのその主張はそのとおりだと思います。そういうものになるように力を尽くしていきたいと思います。

 第二に、被害者の認定の問題では、これまで行政認定ということでやってきて、せっかく救済の枠組みがつくられながら、実際は、救済されないということが起きています。イタイイタイ病でも、また水俣病でも繰り返されてきたという歴史があります。認定機関が第三者機関など、結局、厚生労働省管轄下のものになると、加害者が認定するということになるわけです。これでは本当に救済される保障がなくなります。

 ですから、司法による認定、裁判所による認定、ここをはっきりさせたものにしないといけません。そのようなものになるように力を尽くしたいと思います。

 いかに被害を証明するかという方法に関しては、カルテがなければだめだというのは到底通らない話です。カルテは五年しか保存義務がないわけですから、カルテがなければ認定しないということになったら、本当に被害者が狭められるということになります。カルテの有無にかかわらず、医師による投薬証明がなされたなら全員を救済するというのは当たり前のことですから、そのようにして本当の意味での全員一律救済にしていく必要があります。

 第三に、いわゆる恒久対策の問題では、いまC型、B型肝炎の患者さんは三百五十万人といわれています。私の父も、四十数年という長いあいだC型肝炎、肝硬変を患い、一昨年亡くなりました。感染は昔のこととはいえ、やりきれない思いです。

 C型、B型肝炎は最大の国民病の一つであり、最大の難病の一つだと思います。しかも、そのほとんどが医原病だということです。私たちもかねがね、肝炎、肝硬変、あるいは肝臓がんで苦しんでいる患者の方々にたいする恒久的な支援が必要だということを主張してきましたが、この際、いい法案ができるようにしていきたいと考えています。

 いま、与野党で協議が始まりつつありますが、私どももその中に入って、インターフェロン治療などの経済的負担の軽減、医療上の新しい技術にたいする保険適用の問題など、さまざまな問題についても希望が持てるような法律をつくっていくことに力を尽くしていきたいと思います。

 これまでも私たちは、たとえば肝臓がんになった場合に、ラジオ波療法というのがありますが、保険の適用になっていなかったものを適用とさせるなど、肝炎問題に取り組んできました。みなさん方が勇気を持って切り開いてきたたたかいをきっかけに、恒久立法という動きがつくられつつあるので、ぜひこれをいいものにしたいと思っています。

 これにたいし、原告団の出田妙子さんは、「ちょうど一週間前、この場所で、和解決裂後に私たちは本当に落胆した思いをしました。本当にこの立法に最後の期待を寄せているので、ぜひお力を貸してほしい」とのべ、浅倉美津子さんは「肝炎治療のための注射で血管が硬くなったりして悲鳴を上げています。議員立法が成立するようお力をいただきたい」と語りました。

 最後に、山口原告代表が、「先生方は、本当にこれまでも医療の問題、命の問題を一番に大事にしていただきました。ぜひとも力強く私たちを応援していただけるようお願いします」とのべました。



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