2007年12月26日(水)「しんぶん赤旗」

米MD(ミサイル防衛)慎重姿勢に

政権交代で転換

ポーランド


 十月の議会選挙で政権交代したポーランドのトゥスク新政権は、米ミサイル防衛(MD)システム受け入れに積極的だったカチンスキ政権と異なり、この問題で慎重な姿勢を示しています。

 トゥスク首相は二十一日付の週刊紙スーパー・エクスプレスで「われわれは自らを危険にさらすわけにはいかない。100%のポーランドの安全保障が必要だ」「もし(安全を確保できるという)確信がもてなければ、MD配備を受け入れることはできない」と懸念を表明しました。

 米国はイランの長距離ミサイルへの対応策だとしてMD基地建設を計画。ポーランドに長距離ミサイル迎撃ミサイル基地、チェコにレーダー基地を二〇一二年までに置こうとしています。

 トゥスク首相の懸念表明は、ロシアの反応を念頭に置いたものです。ロシアは東欧のミサイル防衛はロシアが目標だとして、ロシア軍司令官が報復手段をとると言明しています。同首相は「ロシアの報復宣言は受け入れることができない」と反論しました。

 さらにミサイル防衛での対米交渉の責任者は二十日、「MDはロシアに地域戦略上のアレルギーを引き起こしている。われわれは危険にさらされている」と述べました。

 MDへのポーランドの対応の変化の背景には親米一辺倒のカチンスキ前政権の外交から、欧州連合(EU)を中心においたバランス外交への政策変化があります。

 前政権は対ロシア関係改善を求めるEUの動きにことごとく拒否権を発動してきましたが、トゥスク政権はロシアの経済協力開発機構(OECD)への加盟への反対を取り下げたのを始め、EUとロシアの新たなパートナーシップ合意の方向も認める方針です。これに応えて、ロシアも二年前から実施しているポーランドからの食肉輸入禁止措置を解除しました。

 ポーランドはMD問題で、米国、ロシア双方と交渉していく構え。年明け早々にはシコルスキ外相が訪米、トゥスク首相は一月末にロシアを訪問し、それぞれミサイル防衛について話し合います。(片岡正明)


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