2007年12月24日(月)「しんぶん赤旗」

米脚本家組合スト8週目

契約更新難航 越年の様相


 映画・テレビ業界との三年ごとの契約更新交渉がまとまらず、十一月五日に始まった米脚本家組合(組合員一万五百人)のストは、一カ月半を超え、二十四日に八週目に入りました。スト入り後の二度の交渉も決裂。交渉再開の見通しはなく、「解決は早くても三月下旬までもつれ込むのではないかと言われている」(米芸能界紙バラエティー)と報じられ、越年は必至の状況です。(居波保夫)


ネット・携帯電話配信の著作権料

明確化もとめる

 契約期限が切れる十月末までに解決しなかった主な課題は、映画・テレビで使用された作品が再使用される場合の報酬(著作権料)でした。組合側は▽DVD一枚につき現行の四セント(約四・五円)を二倍に引き上げる▽インターネットや携帯電話に配信される際の報酬規定を明確にする―ことを要求しました。

 スト回避のため、十一月四日深夜まで続けられたぎりぎりの交渉で、組合側はDVDに関する要求を取り下げて、ネット配信などを通じた使用に対する報酬規定に要求を絞り、配信による総収入の2・5%を要求しました。組合側交渉責任者のボウマン氏によると、「DVDに関する要求を外したら、新しいメディアに関する条件では公平なものが結べると保証された」からです。

 しかし業界側の提示額は総収入の20%を対象にし、その1・5%を払う、というものでした。“将来の収益性が不確実な分野だから”と譲らず、このためスト突入となりました。業界側の言い分とは逆に、近い将来、インターネット等への配信が、オリジナル作品を含め、娯楽映像の有力な供給ルートになるというのが大方の見方です。

 スト突入後、十一月下旬と十二月初旬の二度、のべ八日間にわたって交渉が行われ、業界側は三年間で総額一億三千万ドル(約百四十七億円)の新たな報酬を提示しました。

 これに対し組合側は、年間再使用料が使用頻度を問わず固定化され、一時間のテレビ番組が最大でも二百五十ドル(約二万八千円)に設定されるなど問題点が多いと指摘。実質的には三千二百万ドル(約三十六億円)にしかならないと主張し、三年間で一億五千百万ドル(約百七十億円)の新たな報酬を要求しました。

 双方の対立は解けず、非難を応酬。今月七日以降にらみ合い状態に入りました。

 世論は組合側に好意的です。十一月下旬時点のバラエティー紙の調査では、回答者の三分の二が組合側の見解は説得力を持ち明快だと答え、脚本家の権利に理解を示しています。

再放送や中止の番組も

早期解決求める関連労働者

 米脚本家組合のストで、時事ネタを使ったジョークやコントを売り物にする夜のトークショー番組が中止または再放送に追い込まれました。直前まで台本に手を入れる必要があるのに、脚本家がいないためです。

 脚本のストックが底をつく連続ドラマ、コメディーも増え、日本でも放映されている「デスパレートな妻たち」も製作中止になりました。映画では、「ダ・ヴィンチ・コード」の続編の脚本が完成せず、撮影は延期されました。

 ロイター通信によると、ロサンゼルス地域だけで製作中止になったドラマ、コメディーは約六十に上ります。

 食料調達やクリーニングを含む関連労働者数千人の仕事がなくなり、一時解雇に直面。今月九日には約五百人がハリウッドをデモ行進し、「誠実な交渉と早期の解決」を双方に求めました。

 組合側は十五日以降、個々のスタジオ、事務所、企業との交渉・合意を模索しています。



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