2007年12月22日(土)「しんぶん赤旗」

「改正」政治資金規正法 何が問題か

佐々木憲昭議員に聞く


 「政治とカネ」をめぐる与野党協議に参加した日本共産党の佐々木憲昭国対副委員長・衆院議員に、二十一日に成立した「改正」政治資金規正法の問題点を聞きました。


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反対した理由は

 ―日本共産党は法案に反対しましたが、その理由は?

 この法案は、「与野党協議の合意にもとづく」とされています。しかし、わが党は、不必要な監査制度や適正化委員会は導入すべきでないとの観点から、「合意事項」には同意できないと述べてきました。法案に反対したのは、そのためです。

 それなのに、衆院の政治倫理・公職選挙法特別委員会で強引に法律案の提出が決められ、衆参でそれぞれ一時間余りの質疑しかおこなわれないなど、審議のあり方としても問題を残しました。

政治資金は国民の監視のもとに置くのが基本

 ―すべての領収書の原則公開とともに、監査制度や適正化委員会を新しくつくることになりましたが。

 法案では、国会議員にかかわる政治団体について、一万円以上の支出は、政治資金収支報告書への記載と領収書の添付を義務づけ(現行は五万円以上)、一万円未満の領収書については各団体が保管し、公開請求があった場合に総務大臣等の判断で開示するという仕組みとなりました。

 もともと政治資金の公開は、政治団体がその収支をありのままに公開し国民の不断の監視のもとにおき、国民の判断にゆだねるのが基本です。

 ところが法案は、政治団体の収支報告書提出にあたり、登録監査人による「政治資金監査」をわざわざ義務づけています。これが問題なのです。

不要な「お墨付き」

 ―「政治資金監査」というのはどのようなものですか。

 「監査」といっても、収支報告書の記載内容と、会計帳簿、領収書などを形の上でつきあわせるだけです。領収書の多重計上などをチェックするものではありません。

 結局、弁護士、税理士、公認会計士という専門家のお墨付きをもらうためのものです。

 そのうえ、監査人の登録や監査マニュアルをつくるために「適正化委員会」という新たな組織までつくり、何億円もの予算をつぎ込むというのです。こんなことはまったく必要なく、ムダ遣いそのものです。

 収支は、政治団体の責任でありのままに公開すればいいのであって、監査人の“お墨付き”など必要ありません。判断するのは国民ですから。仮に、監査のチェックを厳しくする方向が強まれば、政治活動への介入にもなりかねません。

インターネット公開は前進だが逆行も

 ―インターネット公開は前進では。

 インターネット上で収支報告書を公開し、自由な閲覧とプリントを可能にしたことは前進です。日本共産党は、これを一貫して主張してきました。

 しかし法案では、収支報告書に監査報告書を添付することを理由に、提出期限を三月末から五月末に遅らせ、その収支報告書の公開も現行の九月三十日から十一月三十日に遅らせることにしています。これは逆行です。私は質問で、収支報告書が提出されれば、速やかにそのままインターネット等で公開すべきであり、遅らせる理由はまったくないと主張しました。

 増田寛也総務相は「スピーディーに公表するという一般の要請を踏まえ」対応すると答えざるをえませんでした。

政党助成金の支出全面公開は棚上げ

 ―政党助成(交付)金の一円からの支出公開は先送りされましたが。

 そうです。私たちは、その点をきびしく批判しました。政党助成金は、国民の税金を原資とするものであり、それを受け取っている政党の収入の六割から八割をも占めています。国民に使途を全面公開するのは当然なのです。

 今度の政治資金規正法改正で、すべての領収書の公開を義務付けながら、政党助成金の支出は全面公開の対象から除外するというのは、著しくバランスを欠いています。

 もともと、政党助成金の支出の全面公開については、自民党も公明党も賛成でした。ところが、土壇場になって自民党が「一致していない」などと言い出して、先送りしてしまったのです。極めて不可解なことです。

政治資金は「入り」のチェックが基本

 ―今回は「出」(支出)に焦点が当たりましたが、「入り」(収入)の問題こそ本質だとの声もありますが。

 その通りです。「政治とカネ」をめぐって一番重要なことは、企業・団体献金や政党助成金など政治資金の「入り」の問題です。政官財癒着をはじめ、政治をゆがめる事件は、しばしばそこから起こってきました。

 日本共産党は、国民の立場にたって、企業・団体献金禁止と政党助成制度廃止という道理ある主張を今後もつらぬく決意です。

 聞き手・林 信誠
 写 真・山形将史


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