2007年12月21日(金)「しんぶん赤旗」

米、核施設を整理

狙いは新型開発推進


 【ワシントン=山崎伸治】米国の核兵器を管理するエネルギー省国家核安全保障局(NNSA)は十八日、国内八カ所の核兵器開発・製造施設の整理・縮小計画を発表しました。米ソ「冷戦」時代に肥大化した施設を「より小さく、安全で、保安が厳しく、費用効果の高いもの」にするとしています。

 NNSAのディアゴスティノ局長は、米国の「核抑止」戦略の変化に伴う核兵器の数の削減や維持・管理予算の伸び悩みを受けて、核施設も「将来の必要」に見合ったものにすると強調。今後十年間で全施設の規模を約30%縮小し、人員も20―30%削減するとしています。

 米政府は現在、一九六〇年代に製造され「老朽化」した核弾頭を「信頼性の高い」核弾頭に交換するという、事実上の新型核兵器開発である「信頼できる交代用核弾頭」(RRW)計画を推進。しかし議会では異論が強く、核兵器とその製造施設の縮小方針を示すまで予算を認めないという構えです。二〇〇八会計年度予算では、核弾頭更新計画関連の予算が全額削除されました。

 核施設の整理・縮小計画は来年一月にNNSAが発表する「追加的事業環境影響報告書」に盛り込まれるもので、先行して公表されました。現在策定中の二〇〇九会計年度予算での予算確保を狙ったものと見られます。

 一方、ブッシュ大統領は十八日、米軍の保有する核弾頭の数をさらに削減することを承認したと発表しました。その結果、核弾頭数は「冷戦終結時の四分の一以下になる」としており、十九日付のワシントン・ポスト紙は約四千六百発との推計を示しています。

 発表の声明では「核戦力が、出現しつつある安全保障上の課題に対応するカギであることに変わりはない」と強調しています。

 こうした核施設の縮小や核弾頭数の削減は、米国が新たな安全保障環境に対応しようとするもので、戦略上、核兵器の役割を後退させるものとはいえません。むしろ新型核兵器開発をいっそう促すという危険な狙いがうかがえます。



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