
2007年12月20日(木)「しんぶん赤旗」
国連総会
死刑停止を初決議
日米中は反対 廃止世論は加速
【ワシントン=山崎伸治】第六十二回国連総会は十八日の本会議で、欧州連合(EU)諸国など八十七カ国が共同提案し、加盟国に死刑執行の一時停止を求める決議案を賛成百四、反対五十四、棄権二十九で採択しました。
こうした決議が採択されたのは史上初めて。国連総会の決議には法的拘束力はありませんが、死刑廃止を求める国際的な世論が強まっていることを印象付けています。
国連の潘基文事務総長は採択について、「究極的な死刑の廃止に向けた趨勢(すうせい)をさらに裏付けるもの」と歓迎する声明を発表しました。
決議は死刑執行が「人間の尊厳を損なう」として、その一時停止は「人権の強化、前進に寄与する」と指摘。死刑による犯罪の「抑止効果」は証明されておらず、死刑執行の誤りは取り返しがつかないと強調しています。
そのうえで死刑制度のある加盟国に対し、(1)死刑囚の権利の保護(2)死刑に関する国連事務総長への情報提供(3)死刑適用の段階的制限(4)死刑廃止を視野に入れての執行の一時停止―などを求めています。
十一月に行われた同決議案をめぐる総会第三委員会(社会・人道・文化問題)の審議は二日におよび、反対する諸国が修正案を提出するなど激しい議論になりました。
採決では日本、米国、中国、インド、北朝鮮などが反対しました。