2007年12月19日(水)「しんぶん赤旗」

脳脊髄液減少症で質問主意書

研究・治療対策求める

赤嶺議員


 日本共産党の赤嶺政賢衆院議員は十八日、脳脊髄(せきずい)液減少症の研究・治療の推進について政府の考えをただす質問主意書を、河野洋平衆議院議長に提出しました。

 質問主意書では、この病気の原因が特定されにくく、一般的な認知度も低いため、「怠け病」「精神的なもの」などと診断されることも多く、患者・家族の肉体的・精神的苦痛は計り知れないと指摘。医療保険の適用がなく患者・家族の経済的な負担も大きいとして、「脳脊髄液減少症の研究、治療の対策を強力に推進すべきである」とのべています。

 この病気に苦しむ潜在的患者は全国で三十万人ともいわれています。質問主意書では、大分県の女生徒、鹿児島県の男性、交通事故にあった沖縄県の女性らの訴えを実情として紹介しています。

 そのうえで、政府に(1)患者・家族の訴えをどう受け止めるか、(2)学校の中の事故により発症した子どもの早急な実態把握、(3)厚生労働省が発足させた同疾患の研究班の進ちょく状況(4)ブラッドパッチなど同疾患の治療法の保険適用(5)学校現場や都道府県での同疾患の周知徹底など文部科学省の対応(6)「潜在的患者」に対する相談窓口の設置(7)交通事故などによる同疾患患者の実態調査―などについて質問しています。


解説

認知度低く負担重い

 脳脊髄液減少症は、交通事故やスポーツ外傷など身体に強い衝撃を受けることで、硬膜が破れ、脳を保護している髄液が漏れ出し、さまざまな症状を起こす病気です。頭痛、めまい、耳鳴り、けん怠感、記憶障害などに襲われます。交通事故のムチウチ症の多くも髄液漏れによるといいます。

 しかし、赤嶺衆院議員の質問主意書にあるように、この病気にたいする一般的な認知度がまだまだ低く、患者数などの実態も明らかになっていないのが現状です。

 今回、質問主意書の作成にあたり、赤嶺議員は、中学の体育の授業中にバレーボールが頭部に当たり脳脊髄液減少症になった大分県宇佐市在住の長女(17)の母親を訪ね、訴えを聞きました。

 その際、母親は、学校の事故で脳脊髄液減少症になった子どもたちが思いを書いたパンフレットを紹介し、「この病気のために元気だった子どもが、ガラッと変わってしまいます。まわりが病気を知らないために、不登校と思われています」と訴えました。

 長女の治療に有効だった「ブラッドパッチ」療法は、髄液漏れの部分の硬膜外腔(がいくう)に自分の血液を注入し修復するもの。しかし、保険適用がなく、一回の治療に三十万―四十万円の費用がかかるといわれています。「治療費を工面できずに治療をやめる患者もいます。早くこの病気を認めてほしい」と語った母親の訴えにたいして、政府の答弁書が注目されます。(大分県・大星史路)


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