2007年12月17日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

目指せ子育て支援日本一

大玉村 いいよね


 国による合併や、「地方行革」の名による負担増が押しつけられるなか、「小さくてもキラリと輝く自治体」が注目されています。妊婦健診助成や中学卒業までの医療費無料化など“日本一の子育て支援”で次世代をつくる村づくりにとりくむ福島県大玉村(おおたまむら)を訪ねました。(福島県 佐藤秀樹)


地図

 大玉村は、安達郡唯一の自治体です。安達郡は六町村ありましたが、他の町村が合併を選択したのに対し、大玉村は自立の道を選びました。

 人口八千五百人余りの村が、「一万人の村づくり」を政策の柱して、独自に発展していく施策として取り組んでいるのが、子育て支援事業です。

妊婦健診15回無料

 十月九日に第三子を出産したばかりの女性(35)は、「四人目も大玉村で産み、育てたい」と話しています。

 女性は、五歳と四歳の二人の子どもを二本松市で産みました。「妊婦健診で毎回四千円ぐらいかかりました。二人目の時は、出産前の一カ月は福島市内の個人産婦人科で健診を受けたのですが、八千円かかってびっくりしました」

 大玉村では、妊娠期間中最大十五回まで妊婦健診が無料です。女性は続けます。「無料で十四回、妊婦健診を受けました。友だちから『大玉に引っ越してよかったね』と言われました」

医療無料中3まで

 「出産お祝い金もいただいたし、中学校卒業まで医療費は無料。子育てを通じて、東京育ちの私にも友だちができました。もう一人子どもがほしいですね」と女性は笑顔で話してくれました。

 ゼロ歳から四歳までの子どもと親が、自主的につくっている子育てサークル「わんぱくクラブ」のお母さんたちも明るく元気です。

 「三人以上子どもがいる友だち、結構いるよね」「私も、もう一人産もうかな」「子どものころ、具合が悪くても『金がかかるから我慢しな』って親に言われたけど、自分の子どもは、安心して病院に連れて行ける」「土地も安いし、家を建てるなら大玉だよね」と話はつきません。

 「大玉村いいよね」だけではなく、要望もたくさん出てきます。「福祉バスはあるけど、子どもを病院とかに連れて行く時間帯の本数が少ない」「これから学校に行くようになるけど、交通量の多いところに歩道がない」「夜、暗くて道路に街灯がほしい」。お母さんたちは、愚痴をいうだけでなく、村にもどんどん要望を出しています。村民が自由に意見を言える雰囲気もあります。

村単独で14の事業

 浅和定次村長は「『オヤジ(村長)なにやってるんだ』と困っていることを何でも言えるのが自治体だ」と住民と首長との関係を説明します。

 与党でもある日本共産党の須藤軍蔵、武田悦子両村議は、一貫して子育て支援を求めてきました。その要求が現在、村で実施している十四の村単独の子育て支援事業(別表)にも生かされています。

 村に「財政負担が大変では」と聞いてみました。担当者は「村長からまず、指示されたのは財政シミュレーションを出すことでした。妊婦健診は出産動向を踏まえ七十五件と想定し年四百五十万円。医療費無料化も乳幼児医療費の実績と国保(二〇〇六年分)の医療費統計から、四千五百万円と推計しました。その結果、『なんとかやっていける』と判断しました。来年度以降の村の一般会計予算に対する、村単独の子育て支援事業の予算比は2・05%(今年度1・53%)を想定しています」と話しました。

 出生率を引き上げようという事業の結果、村に子育て世代が、移住してくるという効果も出ています。ゼロ歳から四歳までの村への転入数は昨年度は一年間で二十人、今年度は十一月までで二十人。村では今年度は三十人程度転入してくると予想しています。


やること まだまだある

浅和定次・大玉村長

 子育て支援事業について浅和定次村長は、「少子化は、国の大問題だが『国がやらないから』では済まされない。大玉村では、昭和三十年(一九五五年)には、三百人の子どもが生まれたが、今はその五分の一程度。国の施策を待っていたのでは、地域社会が崩壊する。産みやすく、育てやすい環境をつくることが次世代をつくり、村づくりにもなる。それが自治体の仕事だ」と強調します。

 「国や県が医療費の無料化の制度を拡充したら、大玉村はどうしますか」と、浅和村長に尋ねました。

 「大玉村は、さらに子育て支援を充実させる。国や県が負担する分、村の財政を使って、保育園や幼稚園の利用料を第一子から無料にしたり、福祉に使ったり、やることはたくさんある。福島県で一番、いや日本一の子育て支援を目指したい」

表

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