2007年12月15日(土)「しんぶん赤旗」

国会再延長・越年の異常

これが「国際貢献」か


 自民・公明の与党が衆院での多数をたのんで強行した臨時国会の再延長。越年は十四年ぶり、再延長による越年は前例がないという暴挙です。河野洋平衆院議長は、「極めて異例。国会の権威を汚さないように」と警告せざるを得ませんでした。福田内閣と自公両党による暴挙は、議会政治に重大な汚点を残すものです。


「肩身が狭い」?

 「わが国だけが脱落していいのか。日本の国益をあずかる私は、そのようには考えられない」「国際社会で役割を果たしていないと肩身の狭い思いをする」

 これが、福田首相が国会の越年再延長という異常な事態をつくりだしてまで、自衛隊を再びインド洋に派兵するために繰り返した理屈です。

 新テロ特措法案が通らなければ、世界の「孤児」になってしまうとでもいいたげですが、現実はまったく逆。米国支援という真の「貢献」先を隠すためのごまかしにすぎません。

 与党が再延長を強行した同じ十四日、アフガニスタン本土の韓国軍部隊百九十五人全員が撤収を完了し帰国しました。自衛隊が十月まで支援したインド洋での海上阻止活動を見ても、アフガン戦争開始直後の十六カ国から現在は六カ国に減っています。戦争と掃討作戦を担う「不朽の自由作戦」参加国は現在二十カ国ですが、国連加盟の百九十二カ国からみればごくわずかです。

 日本共産党は、新テロ特措法案について、米国の報復戦争支援のためであること、テロ根絶に役立つどころか、事態をさらに悪化させるものであるという本質を明らかにして政府を追及してきました。同時に、アフガン政府とテロリストでないタリバン勢力との和解をすすめる外交努力の必要性を一貫して主張してきました。

 米国の最大の同盟国である英国のブラウン首相でさえ、十二日の議会で、アフガン政府がおこなっている「平和と和解のプロセス」について「われわれはその努力を支援していく」とのべています。

 これらの動きをみれば、戦争支援に固執し、多数のアフガン市民の犠牲者を出している米軍の軍事掃討作戦を擁護する日本政府の態度が、いかに世界の流れに逆行するかは明白です。

本当は米国貢献

 福田首相は十一月十六日、米国でブッシュ大統領との会談後におこなった会見で、新テロ特措法案の早期成立に全力を尽くすと同大統領に伝えたと表明。四日にはシーファー駐日米大使にたいし「(法案成立を)絶対にやります」と述べたと伝えられています。

 ここには、「国際社会への貢献」が、米国にたいする貢献にほかならないことが疑問の余地なく示されています。安倍晋三前首相は、派兵延長をめぐる米国の露骨な圧力を前に、政権を投げだすという態度に出ましたが、福田首相はその圧力を正面から受け止め、国会再延長強行という暴挙にでたのです。

 そもそも、インド洋からの自衛隊撤収を実現したのは、夏の参院選で示された国民の民意の力です。参院選では、貧困と格差を拡大した「構造改革」路線とともに、相次ぐ自衛隊海外派兵のもとにあった対米追従路線へのきびしい審判が示されました。

 日本共産党はじめ野党は、この民意にそって、新テロ特措法案に反対しているのであり、会期末で審議未了・廃案にすべきです。

 「国民の目線」を掲げながら、その民意を平然と踏みにじって平気の福田首相の姿は、アメリカいいなりの極みというほかありません。(小泉大介)


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