2007年12月11日(火)「しんぶん赤旗」

国民の苦境 目を背けるな

生活保護下げは貧困拡大

仁比議員質問

静まり返る議場


 静まりかえる議場、大きくうなずく他党議員…。参院決算委員会で十日、日本共産党の仁比聡平議員が生活保護世帯、その基準以下で生活している人々の切実な声を政府につきつけた姿に、議場の雰囲気が一変しました。(栗原千鶴)


写真

(写真)パネルを示して質問する仁比聡平議員=10日、参院決算委員会

 仁比氏がとりあげたのは、政府が検討している生活保護基準の引き下げ問題です。これに対する福田康夫首相や舛添要一厚生労働相の答弁は、貧困に苦しむ人々の実態に目をそむけたものでした。

 仁比氏は、十一月三十日に引き下げの報告をおこなった「生活扶助基準に関する検討会」は、援護局長の私的検討会にすぎず、受給者や関係者から声を聞かないばかりか、議論自体、わずかだった事実を指摘。「この報告を、引き下げというかたちで実施に移すことは許されない。総理は来年度予算でやるつもりか」と迫りました。

 首相は「厚労省の所管」と答弁を回避。舛添厚労相は「検討会では八時間以上しっかり議論をした。これを基本に、来年の予算編成にどう反映するか、与党のみなさんとも具体的に検討していく」などと答えました。

 「とんでもない話だ。大臣は引き下げると言っている」。実態を調査もせずに切り捨てる姿勢に怒りをぶつけた仁比氏。それでも首相は答弁にたたず、舛添厚労相は検討会の報告を尊重するとの主張を繰り返す―。

 仁比氏は声を震わせます。それは「生活保護を受けている世帯だけの問題ではない」からです。生活保護基準は、介護保険料や地方税の非課税基準など収入が少ない世帯の負担軽減と支援の施策の多くに連動しているのです。

 「引き下げは、所得減と負担増で苦しむ一般世帯の家計を直撃する」と首相の認識をただした仁比氏。福田首相は、委員長に促され、やっと重い口を開くと「具体的には激変緩和も考えている」と引き下げを前提とした姿勢を示しました。

 「ぎりぎりで生活している人から、さらに給付を奪おうという議論だ」「生活保護基準以下で暮らしている実態がどれほど深刻か。さらに数千円引き下げようというのか」。仁比氏のさらなる追及に、「勤労世帯の一番下の水準に比べて生活保護の水準が高いという議論があった」。低い方に合わせるのが当然といわんばかりに開き直る舛添厚労相。

 「国民の貧困が広がるなかでの実態がわかっていない」。仁比氏の声が委員会室に響きました。


薬害肝炎被害者に首相は直接面会を

仁比氏

 日本共産党の仁比聡平議員は十日の参院決算委員会で、薬害肝炎集団訴訟の原告たちが同日、福田康夫首相との面会を求め全国から官邸前に集まっていることを指摘し、「間接的に聞くだけでは被害者の思いは分からない。直接面会し、被害者全員の平等救済を決断すべきだ」と迫りました。

 福田首相は「大阪高裁の和解案が出た段階で、迅速に対応する」との答弁を繰り返しました。仁比氏は、被害者の救済対象を限定すると報じられている和解勧告に納得がいかない思いで被害者たちは集まっていると述べ、「被害の実相に目を向けてこそ、政治決断はありうる」と強調しました。



■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp