2007年12月3日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

本に親しむ


 雪の便りが聞かれます。読書のシーズンもたけなわ。大いに本に親しんでもらおうといろいろな工夫が行われています。福島と大阪の例を紹介します。


町施設25カ所で貸し出し

もったいない文庫

福島・矢祭町

地図

 「合併しない宣言」など自主独立の町づくりをすすめる福島県矢祭町(やまつりまち)。朝霧深い午前七時、東舘駅前の「矢祭もったいない図書館」に集まった館長の佐川粂雄さん(77)ら三人が二台の車に乗り込み、「矢祭もったいない文庫」を巡回します。

古書の寄贈で

 「もったいない文庫」は十月にスタートした町の事業。集会所・公民館など町内の施設二十五カ所に配置し、各所で四百冊以上の小説や新書を貸し出しています。

 佐川さんらは、開始当初は不足していた児童書の束を各文庫に下ろしていきます。図書を管理するボランティアに「よろしく」と声を掛けて次の場所へ。この日(十一月十八日)は毎月の第三日曜日に制定した「矢祭町読書の日」で、休日は閉鎖している文庫を開放しています。

 かつて、矢祭町には町の施設に付属した図書室しかありませんでした。「住民アンケートで要望が多く、図書館をつくろうとなったが、予算がかかります。昨年、新聞広告などで古書の寄贈を呼び掛けました」と、図書館運営委員の圷(あくつ)豊明さん(日本共産党矢祭町議)。全国から累計四十三万五千冊もの本が到着、中には一人で千冊以上も贈った人もいました。

優秀賞を受賞

 武道場を改装し、図書館が今年一月に完成。専門書も充実し、現在は長野や東京の大学生が利用しに来ます。このほど先進的な活動に取り組む図書館を選定する「ライブラリーオブザイヤー2007」の優秀賞を受賞しました。

 来館者が一万人を超えた図書館が各地に文庫を設置したのは、「図書館から遠い家の人やお年寄りにも図書を利用してほしいから」と佐川さん。

 文庫の利用者は一日三―四人。小学校の教師を務め、読書でこそ想像力が身につくと説いてきた佐川さんは「矢祭を本の好きな町にしたいね」と語ります。

 桃木多目的集会所の和室に設置した「もったいない文庫」へ利用者が集まります。世間話をする人や、畳の上を走り回る子どもたち。従来の図書館にはない光景です。

 二人の娘と訪れた下重泰治さん(47)=自営業=は、「近所の人とも会えるし、開放的な場所が地域にできるのはいい」と話します。長女の香菜子ちゃん(6っ)は絵本『ウォーリーをさがせ!』を熱心に読んでいました。

 連絡先=矢祭もったいない図書館0247(46)4646(山本健二)


子は本好き 読む機会を

読み聞かせ

大阪市・風の本屋

 「デデンドドーン、デデンドドーン」。ボランティアの石原未央子さんが『でんしゃでいこう でんしゃでかえろう』(間瀬なおかた著・チャイルド本社)を読み始めました。すぐに子どもから「なんでガタンゴトンじゃないの?」と声があがります。みんなの目は絵本にくぎ付け。口が半開きの子もいます。

 零歳児から小学校低学年を対象にした「チビっこ本よみかい」です。大阪市旭区の「風の本屋」が毎週木曜日の午後四時から三十分間行っています。あたたかな読み聞かせに、おとなも子どももすっと引き込まれます。大型店舗が本の売り上げを競い合うなか、「風の本屋」は本好きな人たちがほっとできる心のよりどころになっています。

 三年前から始めたきっかけを、名誉店長の池田節夫さん(94)は「子どもは本が好きです。読む機会をおとながちゃんと与えないと、本はポンと置いてあるだけでは何の役にも立ちません。読むという主体的な行動がないと文化になりません」といいます。科学的社会主義の書物を扱っていますが、地域に根ざした書店にと思っています。

毎週楽しみに

 本を片付けた平台に毛布をしいて、ベンチに早変わり。多い時は十二、三人の子どもたちとお母さん、それに店員とボランティアで狭い店内はいっぱいになります。

 四歳の男の子と六カ月の女の子をつれてやってきたお母さん(31)は「下の子がおなかのなかにいるときから、毎週子どもと一緒に楽しみにしています」とにっこり。

遠くから参加

 十一月二十二日で百三十八回を迎えた「よみかい」。最初は池田さんと池田文子店長(60)、店員の中野典子さん(58)の三人が交代で読み聞かせていましたが、いまでは三人のボランティアが毎週思い思いの絵本を持ちより、一人二―三冊ずつ読んでいます。中には京都の八幡市から通っている人もいます。

 石原さんはその一人、元小学校教師です。「子どもに会えないとさびしくて。図書館のボランティアでは下手だと気兼ねしますが、ここだったら子どもに聞いてほしい本があればすぐにできます」

 六冊を読むとあっという間に三十分が過ぎました。もっと読んでほしそうな子もいます。一番前で夢中になって聞いていた小学校一年生の女の子は「『でんしゃでいこう でんしゃでかえろう』のトンネルを通るところが一番おもしろかった」。

 「よみかい」が終わった後も、店内の絵本を開いていた小学校二年生の男の子は「『つみき』(中川ひろたか著・金の星社)のつみきが倒れるところがおもしろかった」と満足げです。

 風の本屋=06(6951)0498(竃真里)


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