2007年12月3日(月)「しんぶん赤旗」

全国の運動の連帯で「米軍再編」はね返そう

12・2首都圏大集会での 志位委員長のあいさつ(大要)


 二日に神奈川県座間市で開かれた「戦争司令部ノー 爆音も原子力空母もゴメンだ! 12・2首都圏大集会in座間」で日本共産党の志位和夫委員長が行ったあいさつ(大要)は次の通りです。


基地強化反対の声が全国で連鎖的に

写真

(写真)あいさつする志位和夫委員長=2日、神奈川県座間市

 集会に参加されたみなさん、こんにちは(「こんにちは」の声、拍手)。今日はすばらしいお天気になりました(拍手)。日本共産党を代表して、心からの連帯のあいさつを申し上げます。(拍手)

 この間、米国政府は、キャンプ座間に米陸軍第一軍団新司令部を年内に立ち上げ、来年九月までに本格的な移転をおこなう、原子力空母ジョージ・ワシントンを来年八月に配備すると一方的に宣言しました。福田内閣は、こうした乱暴な言明にいっさい異議を唱えず容認し、神奈川県内の基地機能強化をなし崩し的におしすすめようとしています。

 「米軍再編」を許さないたたかいは、まさに正念場を迎えています。ただみなさん、これに対する強力な反対の声が、いま全国で連鎖的にわき起こっています。

 沖縄では「キャンプシュワブ」を「人間の鎖」が包囲する行動が行われ、岩国では昨日「国の仕打ちに怒りの一万人集会」が予定の一万人を超えて一万一千人で大きな成功をおさめました(拍手)。そしてこれに続く今日の座間の大集会でも二年前の大集会を上回るすばらしい集まりとなりました(拍手)。全国で、自治体ぐるみ、住民ぐるみの運動が広がっています。今日の集会を契機に、全国と連帯したたたかいをさらに前進させようではありませんか。(拍手)

新司令部式典を周辺市長はこぞって拒否

 私は、たたかいを前進させるうえで、われわれのたたかいの大義と力に確信をもつことが大事だと思います。

 第一は、「米軍再編」最終合意(〇六年五月一日)から一年半が経過しましたが、いまなお、座間への新戦争司令部移転、横須賀への原子力空母配備、岩国への空母艦載機移転、沖縄での新基地建設などの主要な計画で、地元自治体・地元住民の合意を得て進んでいる計画は一つもないではありませんか(拍手)。「再編交付金」という卑劣きわまりない手段を講じても、それに屈せずに「受け入れノー」の自治体ぐるみの運動が広がっています。「カネで心は買えない」、このことが示されているのではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)

 米軍は、座間で、十九日に新司令部の立ち上げ式典を行うと言っていますが、この式典に招待を受けた座間市の星野市長は「今の状態で発足式に出席するのは好ましくない」ときっぱり拒否する立派な態度表明をしています(拍手)。相模原市長も欠席の意向を表明し、周辺五市長――横浜、大和、厚木、海老名、綾瀬の市長を含め、招待を受けた七市長全員が欠席の意向を表明しています。みなさん、こういうのを「総スカン」というのではないでしょうか。(笑い、拍手)

 たとえ力ずくで月内に新司令部を立ち上げても、世界のどこにでも、いつでも出撃できる巨大な「殴り込み」部隊の司令部として本格的に機能させようとすれば、大規模な訓練センターやハンビーという多目的装甲車を三百台規模で事前展開する基地づくりが必要となります。その一つひとつが住民と自治体のはげしい抵抗を受けることになるでしょう。

 地元自治体・住民の合意のない基地計画は、かならずゆきづまり、頓挫します(拍手)。これは戦後の基地闘争の歴史が証明しています。ここにおおいに確信をもって、がんばりぬこうではありませんか。(拍手)

国民が軍隊を呼び戻した快挙に確信を

 第二に、さらに大きな目で見れば、国民の声が政治を動かす新しい政治状況が生まれています。

 沖縄では、沖縄戦教科書問題で、十一万六千人の県民が参加した県民大会が、福田政権をおおもとから揺り動かし、政府を教科書の記述を訂正することを余儀なくされるところまで追い込みつつあります。

 十一月一日には、インド洋から自衛隊が撤収を始めました。本当の意味で、“撤収命令”を出したのは、石破防衛大臣でも、福田首相でもありません。国民が“撤収命令”を出したのです(拍手)。戦前、戦後の日本の歴史をつうじて戦地から軍を呼び戻したのは初めての快挙ではないでしょうか。(拍手)

 こうした新しい政治情勢が切り開かれていることにも、おおいに確信をもって運動を広げましょう。そして憲法違反のテロ特措法は、かならず廃案に追い込もうではありませんか。(拍手)

軍事利権にまみれた手で基地強化押し付け

 「米軍再編」を押し付ける側に大義はあるでしょうか。

 「米軍再編」の目的は、世界中のどこにでも、いつでも、「殴りこみ」の戦争ができる態勢づくりと、そのための基地強化・恒久化であります。そんな物騒な態勢づくりのどこに大義があるのでしょうか。大義どころか世界の平和を破壊する震源地に、この神奈川をしようとするものではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)

 戦後六十三年間にわたってみなさんを苦しめつづけてきた爆音と基地被害を未来永劫(えいごう)にわたって押し付け、さらに原子力空母の母港化で首都圏三千百万人の住民に核の恐怖まで押し付ける―こんな厚顔無恥な企ては絶対に許すわけにはいきません。(拍手)

 くわえて、この計画をすすめている勢力はどんな勢力か。軍事利権にまみれた勢力ではないですか。逮捕された守屋前防衛事務次官は、米国言いなりに「米軍再編」を取り仕切ってきた中心人物ですが、「米軍再編」予算の三兆円までが利権の対象、政軍財の食い物にされていたという疑惑が広がっています。疑惑のヤミは、歴代防衛大臣、政治家までにおよびつつあります。

 「日米同盟」だとか「国益」だとかをもちだして「米軍再編」を押し付けながら、みずからの手は利権にまみれ、私利私欲でうごめいていた。こんな勢力に住民と自治体に「米軍再編」を押し付ける資格は断じてありません。(「そうだ」の声、拍手)

 私は言いたい。自らを包んでいる底深い疑惑のヤミこそ晴らせ。日本共産党は、軍事利権の徹底究明のためにみなさんとともに力をつくす決意をのべたいと思います。(拍手)

“一本の糸”抜けば全体がほどける

 最後にみなさん、十一月に来日したゲーツ国防長官は、「米軍再編」について、「一本の糸を抜けば、全体がほどけてしまう」と言いました。シン国防副次官も「米軍再編はパッケージで積み木のようなものだ。一つ修正したら崩れてしまう」と言いました。

 神奈川・首都圏のたたかいも、沖縄のたたかいも、岩国のたたかいも、全国のどのたたかいも、「米軍再編」計画全体を突き動かす力をもったたたかいです。

 「一本の糸」が抜ければ、「一つの積み木」が崩れれば、「米軍再編」は全体を葬り去ることができます。全国の連帯したたたかいではね返そうではありませんか(拍手)。日本共産党はみなさんとともに最後までたたかいぬく決意を申し上げまして、あいさつとします。(歓声、大きな拍手)



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