2007年12月1日(土)「しんぶん赤旗」

生活保護 減額狙う

来年度予算 厚労相が検討表明


 生活保護のうち食費、被服費、光熱水費などにあたる生活扶助基準の見直しのために厚生労働省が設置した「生活扶助基準に関する検討会」(樋口美雄座長)は十一月三十日、報告書をまとめました。低所得の夫婦と子一人の世帯や単身世帯(六十歳以上)の生活扶助費に相当する支出額が生活扶助基準より低い、などとする内容です。

 同日の記者会見で舛添要一厚労相は「きちんと受け止め、第一歩としてこれをもとに作業していきたい」とのべ、二〇〇八年度予算で生活扶助基準引き下げを検討する姿勢を示しました。厚労相の態度表明に「生活扶助より低い生活をしている低所得層の引き上げこそ求められているのに本末転倒だ」と批判の声が上がっています。

 生活扶助基準は、国民の消費水準との比較で決められてきました。ところが検討会では「低所得世帯の消費実態を踏まえた見直しを行う」(二〇〇六年度骨太方針)などをもとに、低所得層との比較を問題にしてきました。夫婦と子一人の低所得世帯の生活扶助に相当する支出額は月十四万八千七百八十一円で扶助基準より千六百二十七円低いとしました。また単身世帯(六十歳以上)は、同六万二千八百三十一円で八千三百七十八円安いとしました。

 この低所得層は、金澤誠一佛教大学教授の試算によると、生活扶助基準を大幅に下回る生活を余儀なくされていました。この層より生活扶助が高いといって切り下げることは、貧困への「底抜け」を招くものです。

 また報告書は、地域における生活様式や生活水準における「地域差が縮小している傾向にある」と指摘。級地制度の見直しにもつながりかねないものです。

 生活保護制度の根幹にかかわる扶助基準の見直しを審議会ではなく、「検討会」での短時間での議論と結論をもとに実施に移そうとしていることについて、「手続き的に不備がある。凍結すべきだ」との声があがっています。



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