2007年11月28日(水)「しんぶん赤旗」

憲法と国連の軍事条項の関係は?


 〈問い〉 民主党は、国連決議があれば自衛隊はどこに派兵してもよいと主張しているようです。国連の軍事条項と、国連加盟国の憲法(具体的には日本国憲法9条)の関係は、どうなっているのでしょうか?(東京・一読者)

 〈答え〉 今日の国連は、全世界を管理する「世界政府」や「世界連邦」ではなく、主権国家によって成り立ち、各国の主権を尊重することを根本原則とする国際組織です。侵略などの国連憲章違反をしない限り、加盟国が、自国の憲法を曲げてでも国連の決定に従わなければならないということはありません。 

 国連の憲法とも言うべき国連憲章と、日本国憲法との間には、重要な共通点と相違点があります。どちらも戦争を違法化するという20世紀の世界の大きな流れを体現した文書であり、戦争放棄、武力行使の禁止という原則を共有しています。ただし、憲法が9条2項で戦力不保持をうたい、戦争放棄の原則を徹底させているのに対し、国連憲章は武力行使を認める例外規定を設けています。

 具体的には、(1)侵略などを犯した国に対して国連として集団的な軍事制裁をする場合(2)国連が対処するまでの間に自衛権を行使する場合―の二つの例外です。

 ただし、国連憲章では、国際紛争が起きた場合に、その平和的解決に努力すべきことを加盟各国に義務付けていますが、国連の軍事行動に参加するかどうかは、各国が自国の憲法に基づいて主体的に判断することになっています。

 国連憲章43条は、国際の平和と安全を脅かす事態が生じて国連軍が結成され加盟国が派兵する場合は、派兵国と国連の間で「特別協定」を結び、「各自の憲法上の手続に従って批准されなければならない」と定めています。

 日本は1952年に国連加盟を申請した時に、「日本の自由に処置できるすべての手段をもって、その義務を遵守する」との宣言文を提出しました。これは、憲法の平和原則をもつ日本は、国際紛争が生じた際には、軍事力によるのでなく、平和的解決で国際貢献するという意思表示でした。日本は、それを前提として56年に国連加盟が認められたのです。

 民主党内では、“国連の軍事行動への参加は日本の主権を離れたものであり、日本の憲法9条は適用されない。国連決議さえあれば自衛隊はどこに派兵しても良い”という主張があります。しかし、主権国家の軍事行動が、その国の主権や憲法を離れることはありえません。このような主張は、憲法に照らしても、国連憲章に照らしても、誤っています。(明)

 〔2007・11・28(水)〕


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