2007年11月27日(火)「しんぶん赤旗」
遺族がパロマ提訴
湯沸かし器CO中毒死
18歳の息子返して
東京地裁
二○○五年十一月、パロマ工業製のガス瞬間湯沸かし器による一酸化炭素(CO)中毒で私立大生上嶋浩幸さん=当時(18)=らが死傷した事故で、上嶋さんの両親らが二十六日、同社や親会社パロマなどを相手に約二億円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしました。
![]() (写真)遺影を抱きうつむく上嶋正人さん(右)と幸子さん=26日、東京地裁内 |
ほかに訴えられたのは、東京ガスと修理業者。
上嶋さんは○五年十一月二十七日ごろ、不正改造した湯沸かし器が原因で、港区南麻布の自宅マンションでCO中毒により死亡しました。同室にいた上嶋さんの兄も入院しました。
訴状で原告側は、パロマ側には不正改造で生命に危険を及ぼす可能性があることを予見していたのに、放置したまま製品を製造・販売した注意義務違反があると主張しました。
東京ガスについては、COが発生する危険があることを知りながら、製品を回収しなかった責任があるとしました。
上嶋さんの事故で、警視庁は十月、パロマ工業の小林敏宏前社長らを業務上過失致死傷容疑で書類送検しています。
パロマ工業製のガス瞬間湯沸かし器によるCO中毒事故では、別の被害者遺族らも札幌地裁などに同様の訴訟を起こしています。
上嶋さんの母幸子さん(54)は「おしゃべりだった浩幸が一人で死んでしまったことを思うとパロマが憎い」と涙を流しながら訴えました。
遺族会見 「無念はらす一歩」
「浩幸の無念をはらすための第一歩です」。パロマ工業製ガス瞬間湯沸かし器の一酸化炭素(CO)中毒事故で、息子の浩幸さんを亡くした母親の上嶋幸子さんは二十六日、提訴後の記者会見で決意をのべました。
訴状によると、CO中毒事故は一九八五年から二〇〇五年までの二十年間で二十八件、死者二十一人を含む被害者は六十人にのぼります。
同社は、すでに八二年ころ、七機種でコントロールボックスの「はんだ割れ」が、早い時期に起こる欠陥を認識、危険性を知りながら一斉点検や回収を怠っていました。
幸子さんは、「生きていれば学生生活をエンジョイしていたでしょう」「夢は、ゲームのプログラマーになること」と息子を振り返り、「いつもいつも悔やんでいます」と唇をかみしめました。
パロマは上嶋さんにお見舞金として四千三百九十万円を申し出ました。
幸子さんは「十八歳の浩幸を連れてきてください。お金はいらない」と語りました。
胸に浩幸さんの遺影をだき終始うつむいていた父親の正人さんは「パロマは(事故)情報を分かっていたのに出さなかった。きちんと解明して再発防止策をとってほしい」と話しました。


