2007年11月22日(木)「しんぶん赤旗」

東アジア首脳会議

温暖化対策で宣言採択

森林拡大に数値目標


 【シンガポール=井上歩】第三回東アジア首脳会議(EAS)が二十一日、当地で開かれ、地球温暖化対策を主要テーマに地域協力について議論しました。首脳会議は「気候変動、エネルギー、環境に関するシンガポール宣言」を採択。二〇一三年以降の気候変動対策の枠組みづくりに積極的に参加することを表明し、森林面積拡大では数値目標を打ち出しました。


 EASには、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟十カ国と、日中韓など、計十六カ国が参加。東南アジア友好協力条約(TAC)を基礎に平和の共同体を展望する「東アジア共同体」創設をめざす同会議が、前回のエネルギー安全保障での協力に続き、国際課題での実質協力を強めることになります。

 シンガポール宣言は、地球規模での温室効果ガス排出増加に「国際社会の緊急の対応が必要」だとし、「すべての国が気候変動への取り組みで役割を果たし、先進国は主導的な役割を果たすべき」だと強調。より効果的な二〇一三年以降の枠組みづくりに道を開くため、「排出削減の長期的目標で共通理解に達するための作業を支持」し、温室効果ガス濃度を長期的に安定させる目標への関与も表明しました。

 具体策としては、二〇年までに森林面積を千五百万ヘクタール増加させる目標達成のために努力すると明記。うち一千万ヘクタールはASEANが担います。

 また、エネルギー利用効率向上、クリーンエネルギーや再生可能な代替エネルギーの利用促進で協力を強化し、〇九年までに自主的なエネルギー効率目標を策定することを確認しました。

 エネルギー効率については当初、三〇年までに〇五年比で少なくとも25%以上向上させるとの数値目標が提案されていましたが、インドが反対し宣言に盛り込むことは見送られました。

 議長国シンガポールのリー・シェンロン首相は、開会あいさつで「EASは、地域協力に焦点をあてるとともに、参加国は差し迫った全地球的課題にともにとりくまなければならない。今日われわれが直面しているもっとも深刻で長期的な課題は気候変動だ」とのべました。


 東アジア首脳会議(EAS) 第一回は二〇〇五年十二月、マレーシアのクアラルンプールで開催。今回も東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟のタイ、マレーシア、シンガポール、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマー、フィリピン、ブルネイ、インドネシアの十カ国と、日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドの計十六カ国が参加。国際紛争の平和的解決や武力不行使をうたう東南アジア友好協力条約(TAC)を行動規範とし、「平和と繁栄の共同体」建設をめざしています。



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