2007年11月21日(水)「しんぶん赤旗」

本庁審議官「丁重な対応を」

額賀氏絡み、元局長が日記に

政軍財癒着

クレーム受け説明


 「ブルータスお前もか、といいたくなる」。太田述正元仙台防衛施設局長(58)は、在職中の業務日記をパソコンに記録し保管しています。そこには、口利きを依頼してきた額賀福志郎財務相への怒りの言葉が。日記には、太田元局長が在職中、部下に命じて作成した「口利きリスト」の記録もあり、額賀財務相をはじめ、四人の防衛庁長官経験者の名前が記されています。太田氏の証言や日記から浮かび上がる、軍事利権をめぐる口利きの実態とは―。


 「政治家からの口利き一覧を出してほしい」。二〇〇〇年七月、当時現職だった元局長は、部下に口利きリストの作成を命じました。

 太田氏は一九九九年八月から〇一年三月まで同局長を務めました。リスト作成は「パーティーや会合で顔を合わせたときのため、政治家の要求を知っておく必要があった」と話します。

 リストには、同施設局の建設部や施設部に対して、防衛庁長官経験者や同庁出身者などの防衛族議員らが行った口利きの内容や日付、結果などが書き込まれています。

 額賀氏の口利きも九九年四月二十三日と二〇〇〇年三月二日にあったと記載されていました。

 元局長は、「山形県の建設業者を入札で指名するようにという話だったが、その業者の営業活動が弱かったため九九年は指名しなかったと部下の報告をうけた。額賀氏側のクレームをうけて、本庁では技術審議官が額賀氏側に説明におもむいたと聞いた」と説明します。

 さらに十二日後の三月十四日、この建設業者の役員ら二人が仙台施設局を訪れ元局長と面会。日記には「例の額賀議員がらみの話。建設部長から、本庁技術審議官より丁重な対応をといわれている」と記載されています。

 リストには、口利きをした十四人の名前が。国会議員は額賀財務相ら十人です。そのうち六人が土木・建築工事の発注がらみで、山形県や仙台市など、東北地方の業者を指名競争入札の参加業者に指名するよう求めたといいます。いずれも長官経験者など防衛族です。

 元局長自身も九九年末、元防衛総括政務次官の議員から秋田県内の業者を工事入札で指名するよう依頼されるなど、三人から直接の働きかけがあったといいます。

 額賀財務相をめぐっては、軍需商社「山田洋行」からの宴席接待など、不透明な関係の解明が焦点になっています。軍事利権をめぐる疑惑の全容解明が必要です。

 太田氏は、本紙の取材にこう語りました。

 「政治家は、当時の防衛庁長官など職務権限を問われるときは口利きを控えた。ところが、退任すると、これからがかきいれどきとばかりに露骨な働きかけをしてくる。政治家、官僚、企業がそろって防衛予算という甘いみつをすっている実態にメスを入れるべきだ」


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