2007年11月20日(火)「しんぶん赤旗」

築地市場 東京

汚染地に移転 やめて

高濃度に「びっくり」


 東京都の石原慎太郎知事が強引に推進している築地市場(中央区)の移転計画は、移転予定地(江東区豊洲)から環境基準を大幅に超える高濃度のベンゼンやシアンなど有害物質が検出され、改めて詳細な調査を行うことになりました。「汚染された豊洲では、食の安全を守れない」と計画の撤回を求める声が広がっています。 (東京都・川井亮)


ベンゼンは基準の1000倍

地図

 発がん性が指摘されるベンゼンが環境基準の一千倍、シアン化合物が基準の八十倍…。都が八月に実施した調査で、移転予定地の地下水から検出された有害物質です。

 調査は、豊洲移転予定地の土壌汚染が争点になった都知事選で、石原知事が実施を公約せざるを得なくなったものです。

 調査結果が報告された十月六日の土壌汚染対策の専門家会議では、委員から「ベンゼンの濃度のデータを見て、少しびっくりしたのが実感です。汚染物質が少ないだろうところを新たに調査した結果、高濃度だったということは、汚染の見逃しがある可能性がある」との声が出されました。

 旧所有者の東京ガスが二〇〇一年に三十メートル四方ごとに行った調査では、環境基準の千五百倍のベンゼン、四十九倍のシアン化合物などが検出されていました。今年三月に、同社は汚染土壌の処理を完了したと都に報告し、都も「再調査の必要はない」とする態度を示していました。

 石原知事も「千倍の濃度のベンゼンなんてのは、びっくりした」(十月十二日の記者会見)と発言。十一月六日の専門家会議では、予定地の約四千百カ所で再調査を行うことを決めました。

 都は、四千百カ所の再調査と追加調査で二十六億円、汚染処理を合わせれば六百七十億円の費用がかかるとの見通しを明らかにしています。

 一方で、再調査は来年の五月連休までには終わらせる意向。汚染土壌を処理するのは環境基準の十倍以上の場合に限り、十倍未満の場合は地下水を監視するにとどめる姿勢です。

 研究者や市場関係者は「地下水と汚染の変動を十分みるため、再調査は一年以上時間をかけて行うべきだ」「環境基準を超えた汚染物質は、すべて処理するのが当然ではないか」と批判します。

 築地市場をめぐっては、一九八六年策定の再整備計画で関係者が合意し、築地での再整備の準備が進んでいたのに、石原知事が豊洲移転に変えたという経緯があります。都民からは「豊洲移転を進めてきた張本人が、いまさら『びっくりした』もないだろう」という声があがっています。

食の安全守るため反対

 都は築地市場の移転後、跡地には二〇一六年に招致を計画する東京五輪のメディアセンターを設置、さらにメーンスタジアムや選手村と結ぶ大型幹線道路・環状2号線を通す計画です。

 しかし、豊洲予定地の土壌汚染問題で都民の批判が広がり、一二年度に予定していた市場の移転時期が見直しを迫られる事態になりました。

 ところが、石原都政は築地市場の豊洲移転に固執。仲卸業者らが、営業を続けながら築地市場を再整備する提案を行っているにもかかわらず、「築地での再整備は現実的でない」と、市場関係者の提案に耳を傾けない態度を取り続けています。

 日本共産党の曽根はじめ都議は「都民の移転反対運動の広がりで、都も詳細な再調査を口にせざるを得ないところまで追い込んできました。汚染された豊洲への移転を撤回させ、鮮魚店やすし店など町場の業者を支える役割を果たしてきた築地市場と、食の安全を守るため、都民のみなさんとともに頑張る」と話しています。


 築地市場 一九三五年に開設。一日当たり水産物約二千トン、青果約千二百トンを扱い、世界最大の水産市場として国内外に知られています。市場に隣接する商店街「場外市場」には多くの買い物客が訪れています。七十年以上の市場のにぎわいは、「築地ブランド」を形づくっています。


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