2007年11月15日(木)「しんぶん赤旗」

あす日米首脳会談

「北」外交・再派兵 焦点に


 福田康夫首相は十六日、九月の就任後初の外遊として訪米し、十六日(日本時間同日深夜)にブッシュ大統領と会談します。テロ特措法期限切れによるインド洋での米艦船などへの補給活動の中断をはじめ、両国間で難題が山積するもとでの首脳会談となります。


 大きな焦点となりそうなのが北朝鮮問題です。九月に崩壊した安倍前政権は、拉致問題を最優先する姿勢に固執。ブッシュ政権は、北朝鮮核問題の決着を外交的成果として残し、同国の「テロ支援国」指定解除をめざそうとしており、深刻な亀裂を引き起こしました。

 米側は年内にも指定解除をしようとしています。これと拉致問題との関係についてブッシュ大統領らはこれまで「拉致問題を忘れない」と表明してきました。しかし十三日の記者会見でケーシー国務省副報道官は、「双方は必ずしも具体的に関連付けられているわけではない」と述べ、二つの問題を切り離して対処する方針をいっそう明確に示しました。

 日本側は先月、谷内正太郎外務次官を米国に派遣するなどし、指定解除の先送りを繰り返し要請。福田首相は十二日の英紙フィナンシャル・タイムズのインタビューで、核、ミサイル、拉致の「三つの問題がほぼ同時に決着するよう、日本は北朝鮮と交渉する必要がある」とも述べました。

 今回の会談が日本政府の“路線転換”につながるのか注目されます。

「撤兵風」を警戒

 インド洋への再派兵問題では、給油再開のための新テロ特措法案が十三日に衆院を通過したものの、参院では審議の見通しさえ立たず、給油再開のめどはないままです。

 米側は、給油活動が「数カ月ではなく数週間で再開できるようになることを希望する」(ゲーツ国防長官)として、公然と圧力をかけています。同長官は八日の福田首相との会談では、給油活動の「早期再開に向けた政府の努力を高く評価する」と述べ、「早期再開」への米側の期待を改めて強調しました。

 給油が中断されても軍事的に支障がないことは、米側も認めています。それでも給油再開を迫るのは、アフガニスタンに派兵する各国への政治的影響を恐れるからです。

 米国は今、アフガン戦争の行き詰まりを一層の軍事力増強で打開しようとし、北大西洋条約機構(NATO)諸国に増派を要請しています。しかしカナダやドイツをはじめとして戦争継続への批判が高まり、増派は難航しています。

 米軍主導の「不朽の自由作戦」に派兵してきた韓国はすでに、年内に撤兵することを決定。アフガン戦争に派兵するアジアの国は、モンゴル一国だけになります。それだけに米国は、日本の離脱で「撤兵風」が広がることを警戒しています。

 ゲーツ長官は八日の石破茂防衛相との会談後の共同記者会見で、「国際平和維持その他の活動」で「日本は建設的役割を果たすことができる」と述べ、派兵拡大を求めました。

 同氏は上智大での講演での質疑応答では、「(憲法)九条を変えなくても安全保障問題で日本が実行できることについてのより幅広い解釈」をめぐる議論が日本で行われていると発言。会談で石破氏が派兵恒久法に言及したことを紹介し、同法に期待を寄せました。

基地移設なども

 日米間ではこのほか、▽沖縄・普天間基地の移設に地元が反対し暗礁に乗り上げている▽在日米軍駐留経費を日本が負担する「思いやり予算」の特別協定が来年三月末に期限切れになる▽米牛肉輸入問題―なども懸案となっています。(坂口明)



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