2007年11月10日(土)「しんぶん赤旗」

綱領の立場で日本と世界を見る

特別党学校交流会 不破哲三社研所長の発言<上>


 七日に開かれた「特別党学校」の第一期生の締めくくりの交流会で、不破哲三社会科学研究所長がおこなった発言(大要)を紹介します。


 私はこの特別党学校で「綱領」と「党史」の講義を担当しました。今日のみなさんの感想のなかでも、「綱領や党史で学んだ点をこれからの活動に生かしたい」という発言が多くありました。その点で、参考になればということで、最近の動きをとりあげながら、いま綱領の立場で日本と世界を見るとき、私が大事だと考えているいくつかのことをお話ししておきたい、と思います。

日本――この数カ月の政治的激動を党綱領の立場で見ると

 まず、日本の情勢についてですが、参議院選挙とその後に起こった政局の変動を、綱領の立場でどう見るか、という問題をとりあげてみます。

日本の情勢を見る核心はどこにあるか

 党綱領の日本社会論の核心はなにか。それはまず、日本の社会で国民を苦しめている害悪はいろいろあるが、その最大の根源が、一方では「大企業・財界の横暴な支配」、他方では「きわめて異常な国家的な対米従属」と特徴づけられるアメリカいいなりの体制、この二つにあるという認識です。

 そこから、この二つの根源を打ち破ることが、日本の国民のさまざまな要求を全体として解決するうえで不可欠の方向だ、という路線が提起され、それが、民主主義革命と民主連合政府という目標で方向づけられています。

 日本社会の害悪の二つの根源とその根本的な打開策の方向づけ、ここに党綱領の立場で日本を見る核心があります。

 この見方は、私たちが頭のなかで考え出したものではありません。マルクス、エンゲルスが若いころに、“共産主義は、原理からでなく、事実から出発する”ということを述べたことがありますが、同じことが、私たちの綱領についても言えると思います。

 われわれが、日本社会の悪の根源はなにか、その打開策はどこにあるか、ということを党綱領で提起したのは、頭のなかでつくった特別の「原理」などからひきだしたものではなく、まさに、日本社会の現実という「事実」そのものからひきだしたものなのです。党綱領の道理と説得力のなによりの基盤は、ここにあります。

 日本の政治や経済の改革を考える場合、ことは大目標に一挙にすすむものではなく、いろいろな中間的な解決策は、当然、問題になります。対米関係をとっても、私たちがめざす根本的な解決策は「日米安保条約の廃棄、平和・非同盟・中立日本」ですが、まず「アメリカいいなりの外交からぬけだして、自主平和外交に踏み出そうではないか」ということは、大事な中間的解決策になります。

 経済面では、いまの日本は財界の横暴が野放しの社会で、この横暴を国家の政策として民主的に規制し、国民の生活と権利をまもる「ルールある経済社会」をつくるというのは、私たちのめざす大目標ですが、そこまで全面的にゆかないでも、あれこれの分野で大企業の横暴をやめさせれば、国民にとって重要な解決策になるでしょう。

 しかし、どんな分野のどんな改革でも、多少とも実のある改革をやろうと思ったら、やはりアメリカいいなり、財界いいなりから抜け出す政治姿勢をもたないと、国民の立場での改革をすすめることはできません。これが、日本社会の現実なのです。

 ここをおさえて考えると、いろいろな点がはっきりしてきます。

自民党政治の衰退がここまで来た

 自民党政治というのは、一九五五年に「保守合同」で保守派の全政党が合体して自由民主党という政党ができあがった、その党を主役にした政治で、日本の政治は、それ以来の五十二年間、「非自民政権」の時期が一年ほどあっただけで、その状態がずっと続いています。この自民党政治の中身は、「国家的な対米従属」関係の支配者であるアメリカの利益と、横暴な経済支配の張本人である大企業・財界の利益とを代表している政治です。首相がかわっても、また連合する政党の組み合わせは変わっても、この五十二年間、政治のこの中身が基本から変わったことはありませんでした。

 いま起こっていることは、この自民党政治そのものが衰退してきていることです。国民の実際の利益との矛盾、世界の現実との外交的な矛盾などが噴き出てきて、政治を安定的ににぎる力を失ってきている。この衰退は、部分的な行政のミスとか、個人的な失敗とか、知恵の不足とか、そういうことだけに解消できるものではありません。アメリカと大企業・財界に軸足をおいてきた自民党政治の根本的な枠組みそのものが、矛盾と破綻(はたん)をきたしているのです。

 そして、その自民党政治が、国民の支持を大きく失い、社会と政治のさまざまな分野で破綻をきたしている。そのことが、自民党の大敗という参院選の結果にはっきりと現れました。得票率でみますと、自民党は、一昨年の総選挙とくらべて、38%から28%への後退でしたが、それ以上に重要なのは、“こんな政治はもうごめんだ”という声が、広範な国民のあいだにかつてない広がりを見せたことです。自民党政治の衰退が、ここまで来ている、そのことを示したところに、今度の参院選の結果のもっとも重要な点がありました。

 みなさんの発言のなかで、参院選の結果についての常任幹部会の声明についての話が出ました。「新しい政治プロセスが始まった」という認識に驚いた、ということでしたが、あれが七月の末、それから三カ月たって、多くの方が「新しい政治のプロセス」が始まったことを、すでに実感されているのではないでしょうか。

 安倍内閣が、あのような、かつて前例のない倒れ方をする。それが九月の初めに起こりました。その次に、選挙に勝って凱歌(がいか)をあげたはずの民主党が、誰も予想しなかった大ゆれをしました。党首が、密室で自民党との「大連立」協議にのりだし、党がそれを受け入れないというので辞任声明をだす、その党首にみんなでお願いしてもとのサヤにもどる、みっともない事件でした。まさにこれが、自民党政治がこれだけ衰退した土俵の上での激動なのです。

諸政党を綱領の核心的見地から見る

 この点で、もう一つ大事なことは、日本の諸政党を、さきほど綱領の核心だといったその目で見る、ということです。

 まず自民党ですが、安倍内閣から福田内閣にかわって、自民党政治の根本の枠組みに変化が起きたでしょうか。

 小泉内閣は、自民党政治の害悪に、戦前の侵略戦争の美化という“靖国派”的な害悪をつけくわえ、安倍内閣はそれをさらに強くした内閣でした。私たちは、この二つの内閣の“靖国派”路線に正面から対決して論戦を展開しましたが、“靖国派”政権といわれた安倍内閣は、無残な倒壊をとげました。福田首相は、「靖国神社へはゆかない」と明言していますから、この分野では、変化が起きています。また、安倍内閣の時代にきわだって表面化してきた北朝鮮政策でのアメリカとの矛盾についても、調整をはかることが必要になってきている、と思います。

 しかし、アメリカとの関係、大企業・財界との関係という自民党政治の大筋では、変化のなんのきざしも現れていません。国会では衆院だけの片肺という状況ですから、予定してきた悪政のあれこれをやむをえず先延ばしするということはあるでしょうが、政治の大枠そのものを変えるつもりはまったくない政権です。

 野党はどうでしょうか。

 私たちがいまの綱領路線をもって国政にのりだしたのは一九六〇年代、国会で一定の力をもって活動できるようになったのは七〇年代以後のことですが、当時の野党の状況は、いまとはまったく違っていました。当時は、社会党は、一九六〇年の安保条約改定反対闘争を、共闘組織をつくってともにたたかった経験もあり、党の政策としても、日米安保条約廃棄とか、大企業中心の政治反対などの旗を、公然とかかげていました。公明党でさえ、一九七二年の総選挙で失敗したあとは、旗色を「安保条約即時廃棄」に変えて態勢挽回(ばんかい)をはかったほどでした。だから、この時期には、私たちは、社会党や公明党に革新共闘、革新統一戦線の問題を提起し、これが政界の大問題となったのでした。

 ところが、いまは政界の様子がまったく違ってきています。害悪の二つの根源について見ても、財界中心の政治を切り替えるとはっきり言えるという政党、財界の意思に逆らっても国民のための政治をやらなければならない、という方針・姿勢・覚悟をもった政党が、日本共産党以外にないのです。また、アメリカとの関係でも、日米安保条約廃棄という目標をかかげた政党がない。社民党も、村山内閣以来、この旗を投げ捨てました。それどころか、アメリカとの同盟を日本の政治の基本とする立場に、野党第一党の民主党がまるまる入り込んでいます。その上に、憲法改悪という目標まで、自民党と民主党の共通の目標となっておおいかぶさってきているのが、いまの政界の大きな状況です。つまり、アメリカの意思にそむいた政治、財界の利益にそむいた政治はできない立場が、この二つの党の共通の大枠となっているわけで、これではまともな改革を実行する足場がありません。

 そういう政治状況ですから、小沢民主党は、参院選のとき、独特の作戦をとりました。岡田氏や前原氏が党首だった時代には、憲法改定や消費税増税など、自民党と同じ目標をかかげて、どっちが本気でやるかを争ったこともありましたし、当面のいろいろな政策でも、自民党との協調を押し出したこともありました。しかし、小沢氏は作戦家ですから、それでは自民党に攻め込むたたかいにならないということで、「対決」路線に切り替えたのです。そのために、憲法改定の国民投票法案など、99%、自民党といっしょにやるつもりになっていたものを、急きょ、「対決・反対」に切り替えることもやりました。これも、自民党政治を変えたいという国民的な気分を、全部民主党のところに吸収できるようにする仕掛けづくりでした。しかし、自民党政治をたおしたら、民主党はどんな政治をやるのかという「対決軸」については、選挙戦のあいだ、ほとんど言いませんでした。

 そういう作戦もあって、民主党は、この選挙で、自民党から離れた10%の票の大部分(8%あまり)をとって、参院での躍進を実現したのです。

 では、この選挙のあとどうなるのか。選挙後の時点では、安倍首相は続投を宣言していましたが、たとえ首相が誰かにかわろうと、国民が満足できる政治にかわることはないのです。ですから、いやおうなしに自民党政治にかわって何をやるか、そのことがすべての政党に問われる段階になる、民主党も、そこでは「対抗軸」を示さないまま「政権交代」だけをとなえているわけにはゆかないことになります。

 常幹声明は、そこのところをとらえて、「新しい政治プロセス」の中身を「それ(自民党政治)にかわる新しい政治の方向と中身を探求する新しい時代」と特徴づけたのでした。

「対抗軸」なしの「対決」路線は通用しなくなった

 参院で民主党が躍進し、野党全体で過半数の議席を占める結果が生まれたことは、「新しいプロセス」のこの性格をさらに強める働きをしています。

 時期がいつになるにせよ、参院選の躍進につづく総選挙は、当然、民主党にとって、政権獲得をめざす舞台になりますし、誰もがそう思って民主党の動きを見ています。それは、民主党が、選挙に先立つ国会活動のなかで発表する政策は、すべて、総選挙で民主党がシナリオどおりに政権をとったら、その日から実行すべき政策として受け取られる、ということです。この点で、民主党は、政策上の自分の姿を全面的に示さざるをえなくなるのです。対案を示さないで、自民党政治の批判だけをするといった、参院選でやったような「対抗軸」ぬきの対決路線をそのまま続けることは、もはや許されなくなりますから。

 さらに、野党が過半数をもち民主党が議席の上ではその主力だという状況は、民主党にもう一つの新しい責任を負わせています。政府や自民党のだす法案について、それを通すか通さないかの主要な責任を、これからは民主党がになうことになる、という問題です。政府法案には、アメリカや財界の直接的な利害のかかったものが少なくないのです。これまでは、民主党が反対しても衆参両院での自民・公明の多数で通りますから、反対行動の結果がとくに問題になることはなかったのですが、今度はそうはゆきません。民主党の反対行動の結果は、民主党自身の、アメリカや大企業・財界との関係にひびいてきます。

民主党の「対案」は最悪の海外派兵立法

 そのことが正面から問われたのが、テロ特措法の延長問題でした。これは、アメリカの戦略的利害と、軍事同盟を基盤にした日米関係のかかった問題でした。民主党が選挙中から公約していたとおり、反対の態度をまもれば、特措法の延長も、あるいはそれに代わる新法も、成立しないことになります。しかし、これに賛成すれば、自民党政府の憲法違反の海外派兵に賛成するのか、ということで、有権者の信頼を失うことになります。

 この問題で、小沢氏が政府案への「対案」としてもちだしたのは、国連の決議にもとづくことを条件にして海外派兵を認める恒久法をつくるという提案でした。具体的には、インド洋でおこなっている給油作戦は、国連決議にもとづかないから反対、そのかわりに、アフガニスタンでNATO(北大西洋条約機構)の多国籍軍がおこなっているISAF(国際治安支援部隊)は、国連決議にもとづくものだから、これに自衛隊を参加させ、武力での実力行使も認める、というものです。

 実際の中身から言えば、小沢案は、地上部隊を派遣して、武力行使をふくむ作戦に参加させようというのですから、いまの給油作戦よりはるかに本格的で大規模な海外派兵の提案で、この点ではアメリカを大いに喜ばせるものです。現に、アメリカの当局者の一部から、日米の軍事共同作戦の基盤をより拡大するものだといって評価する意見もあることが、報じられています。これを国連を隠れみのに、現行憲法のもとで強行しようというのですから、その無理無法な内容には驚かざるをえません。しかも、それを恒久法でやる、つまり、現行諸法のように、一回一回、執行や延長の是非を国会にかける必要はなく、いったんこの法律が決まったら、政府の判断だけで自由に海外派兵ができるというのですから、危険な事態がどこまで広がるかわかりません。

 小沢氏は、この海外派兵構想をどこからとってきたのでしょうか。実は、この構想の原案は、小沢氏が自民党の幹部だった一九九三年二月、自民党の特別調査会(いわゆる「小沢調査会」)の責任者としてつくった「提言」です。

 その少し前まで、小沢氏は自民党の幹事長をやっていました。そのとき、中東で湾岸戦争が起き、日本は多額の軍事費(百三十五億ドル)を負担したが、多国籍軍への出兵はしなかった。しかし、この態度が、アメリカなどからは「金を出すだけで血は流さないのか」と評判が悪かったのです。それで、自民党では、「国際社会における日本の役割」を検討する小沢調査会をつくって、国連が国連憲章第四三条を発動して、正規の「国連軍」をつくったときには、日本は「国連軍」に参加して武力行使にもくわわる、という結論をまとめました。これは、明らかな憲法違反の提言でした。しかし、小沢調査会は、“日本の主権をはなれた国連の軍事行動への参加だから、日本の憲法第九条は適用されない”という理屈にならない理屈を、その言い訳としたのでした。

 ただし、自民党時代のこの小沢提言には、重大なただし書きがついていました。憲法のもとで日本が参加できるのは、正規の国連軍に限定すべきで、湾岸戦争の場合のような多国籍軍は、「国連の権威の下にあり、国際的な合意に基づく実力行使であるとしても」それに参加することはしない、というただし書きです。自民党時代の小沢氏は、多国籍軍への参加の道は、憲法下では不可能なこととしていたのでした。

 小沢氏が民主党の方針として今度もちだした構想は、自民党時代の小沢案に、大々的な改悪がくわえられています。正規の国連軍ではなく、多国籍軍であるISAFに参加することを具体的な内容とした構想だからです。これは、小沢調査会が重視した、正規の国連軍と多国籍軍との区別をなくしてしまい、国連決議が基礎になってさえいれば、どんな多国籍軍の武力行使にもくわわる、というのです。しかも、それを恒久法として決めようというのですから、これは、これまで歴代の自民党政権のもとで決められた海外派兵立法のすべてをはるかに上回る、最悪の海外派兵法だと言わなければならないでしょう。そして、小沢氏は、雑誌『世界』の誌上で、「私が政権を取って外交・安保政策を決定する立場になれば、ISAFへの参加を実現したいと思っています」と明言したのです(「今こそ国際安全保障の原則確立を」『世界』十一月号)。

 海外派兵の是非にかかわるこの問題で、民主党独自の「対案」を出そうとすると、自民党政治以上の悪法が出てくる、これは、日本の政治のなかでの小沢民主党の政策的な位置をまぎれもない事実でさらけだしたものではないでしょうか。

経済問題など議論しないでも「大連立」の合意ができる

 経済問題はどうか。いま年金問題が焦点になっていますが、いま議論されているのは、年金の記録の管理という、どんな政権であろうと、本来やっていなければいけないことを、歴代自民党政権がやらなかったことの追求という性格の問題です。国民生活が受けている痛切な被害の根本には、議論はすすんでいません。

 現実には、小泉・安倍政権をはじめ歴代政権が、社会保障の大幅切り捨てをやり、雇用制度の根本的な改悪をやり、地方財源の切り捨て、農業の切り捨てをやった。それによって国民が痛めつけられているという現実があるわけで、その事態をどう改善するかにすすまないと、いま経済問題で国民のあいだに起こっている不満と怒りは解決しません。

 この問題にすすめば、いやおうなしに財源のことが問題になります。

 昔の民主党は、先手を打って財源問題をとりあげ、消費税増税以外に道はないという主張を展開しました。しかし、これでは自民党との攻め合いに具合が悪いというので、「対決」路線のなかで財源の話はいったんひっこめてしまった。しかし、ここまで来ると、財源問題をいつまでも避けているわけにはゆきません。自民党にしても、民主党にしても、国民向けの改善策を多少ともとりあげようとすると、その財源をどこに求めるか、その答えをはっきり出さなければならなくなります。

 民主党は、これまでは、予算のむだづかいを節約したら、必要な財源は十分でてくるとか言ってきましたが、現実には、そんな裏付けはないのです。結局、今日の国民生活の危機的な状態の改善のための財源を、空前の巨額の利潤をあげながら、負担すべきものを負担していない大企業・財界に求め、これまでの特権的な減税にメスを入れるか、それとも、生活危機にあえぐ国民に消費税増税を押しつけるか、どちらの道を選ぶかが、迫られるのです。しかし、民主党と自民党は、どちらもその政策を日本経団連に採点してもらい、その成績に応じた企業献金をうけとっているお仲間です。財界指導部とツーカーの関係にある点も、関係の深さの違いはあっても、政・財の関係は共通です。だから、負担を財界にかぶせるか、国民に押しつけるかの選択が迫られたときの答えの出し方は、もう見えています。

 こんどの福田・小沢密談にしても、海外派兵問題で一致点ができたら、国民にとって切実な経済問題などはなんの議論もしないままで「大連立」の合意がすぐできてしまった。これは、同じ自民党政治の土俵の上に生まれた二つの政党として、経済政策の問題などは、本音で話しあえばすぐ一致できることを、互いに承知しあっていたことの現れではないでしょうか。

事実に立つからこそ、国民的探求と党綱領の立場とが接近できる

 こうして、自民党政治をなにをもって変えるか、この点をめぐる民主党の側の「政治プロセス」は、自民党の政策と民主党の政策のすりあわせという形で、すでに始まっているのです。今回の「大連立」協議は、民主党側の事情で中断になりましたが、自民党と民主党の政策的配置が変わらない以上、形はいろいろ変わっても、同じような性格の動きがくりかえされることは大いにありうることです。

 民主党が「対案」なしの「対決」路線にとどまることはもはや許されないわけですから、国政の前に提起されるどんな問題についても、民主党はいやおうなしに「対案」を示さざるをえないし、その本音を示さざるをえなくなるからです。

 そういうなかで、日本共産党が、自民党政治に対決する党として、どんな改革方針、どんな解決策をもっているかが、これまで以上に活動の焦点になってくるという情勢がすすみます。私たちがいま取り組んでいる「綱領を語り、日本の前途を語り合う大運動」は、そういうなかで展開している運動ですから、いま分析してきた自民党と民主党の接近の動きなども、すべて、この運動を豊かにする栄養になるものです。

 私は最初のところで、私たちが綱領で提起している日本社会の認識や日本改革の方向づけは、「原理」からではなく、「事実」から出発してえられたものだということを強調しましたが、そのことは、この運動をすすめる上でも大事になってきます。

 私たちは、この運動で、国民のみなさんのあいだに、わが党の独特の思想や政策を、外から持ち込もうとしているのではないのです。

 海外派兵が問題になります。憲法第九条が、海外への軍隊の派遣や武力行使を禁じているということは、憲法の条文を読んだものなら、誰にでもすぐ分かる話です。また、アフガニスタン戦争やイラク戦争が、テロ問題を解決できずに、テロの危険を、この二つの国の全域に、また世界全体に広げただけだということも、なにか特別な理論をもちださないでも、事実を見れば分かることです。

 財源問題についてもそうです。財界が、「神武景気」や「岩戸景気」の時代をはるかに上回る巨額の利益をあげている一方、国民生活には危機的な状態が広がっている――このことは、無数の事実、国民の無数の体験が示していることです。そのときに、新しい政策の財源を、財界・大企業が負担すべきか、生活苦にあえぐ国民が負担すべきか、この問題も解決に特別の理論を必要とすることではないでしょう。

 しかも、私たちの打開策は、圧倒的多数の国民の利益に合致する合理性をもっているのです。ですから、さまざまな悩み、要求をもっている人たちに、自分たちがおかれている立場とそれをめぐる事実関係をきちんと理解してもらえれば、その方の認識とわが党の立場とはおのずから接近することになります。

 まじめに国民の利益を考え、国民の利益を追求すれば、大企業・財界の横暴とアメリカへの従属という、諸悪の二つの根源に必ずぶつかるし、それをとりのぞこうと思えば、日本共産党の路線に必ず接近してくる――綱領の立場で日本を見るというとき、この点に確信をもつことが重要だということを、最後にもう一度強調しておきたい、と思います。(つづく)


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