2007年11月6日(火)「しんぶん赤旗」

輸入米に押されて

“くず米”が主食米に混入

暴落の要因 規制して


 富山県で四十ヘクタールの米作りをしているという農家(65)から「しんぶん赤旗」に電話がありました。米価暴落の原因として「過剰作付けで米余りが生まれた」との論調への批判です。「本来は主食用にならない“くず米”を混ぜて安売りをしているのが問題だ。規制しなければどうにもならない」と指摘します。くず米問題を調べると背景には輸入米の存在がありました。(中沢睦夫)


 ご飯となる主食用米は、大きさの規格があります。最低一・七ミリの網目のふるいに残らなければなりません。

努力が無になる

 くず米(ふるい下米)は、この一・七ミリのふるいをかけたときに網の下に落ちる小粒の米です。この米が袋詰めで量販店に低価格米として並び、給食用などに流通しています。農民連食品分析センターが、ディスカウントストアや量販店で「激安米」という精米を分析したところ、一・七ミリの網の下に落ちた白く濁った米や割れた米が多くありました。

 米穀卸売会社を経験し米流通に詳しい農民連(農民運動全国連合会)の横山昭三事務局次長は、くず米は規制が必要だと強調します。「ふるい下に落ちた米は本来の米ではない。加工原料や家畜のエサになるものだ。農家はおいしい米を食べてもらいたいと大きな網目で選別している。農家の努力を無にする行為だ」と指摘します。

 農家が精米で出荷する段階では、一・八五ミリや一・九ミリのふるいにかけます。ご飯一杯分三十円から四十円となります。これに比べ、くず米は四分の一以下の値段で流通しています。

表示に効力なし

 加工原料米は、みそやしょうゆなどの原料もふくめ年間約四十万トンの需要があります。外国産米の輸入が始まる前は、ほとんどが国産で対応していました。ところがミニマムアクセス(最低輸入機会の保証)の輸入米が二十数万トンも加工用に流れています。国産米の用途が少なくなっています。約二十五万トンといわれる、くず米が輸入米に圧迫され加工用から主食用に流れています。

 米穀流通全国組織の関係者は「輸入米が加工用に入って、くず米が主食用に目立ち始めた。米袋に『複数原料米』と表示すればどんな米でも売っても表示違反にはならない。くず米がほしいとの引き合いが増えている」と話します。

 農水省は、「過剰米」対策として全農(全国農協連合会)が保有している主食用米十万トンをエサ米として処理、来年の米生産調整を農業助成金カットなど罰則付きで「強力に指導する」としています。本来はエサに回すくず米については、全農にたいして「非主食用の集荷・販売体制を確立」せよと言うだけです。

 横山事務局次長は、「偽装表示が問題になっているが、くず米の規制はあまい。米の消費減退や暴落要因になる。規制に本格的にのりだすべきだ」といいます。


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