2007年11月1日(木)「しんぶん赤旗」

アフガン 軍事から政治解決へ転換を

衆院委 笠井亮議員の質問(要旨)


 日本共産党の笠井亮議員が十月三十日の衆院テロ特別委員会で行った質問(要旨)を紹介します。


軍需関連企業から接待

笠井
 防衛庁長官経験者も受けていた。総理自ら徹底究明すべきだ

首相
 今、防衛大臣が中心になって調査している。その結果をまずは見たい

 笠井亮議員 今、国民は、昨日の守屋武昌前防衛事務次官の証人喚問を見て怒り心頭であります。こんなに暮らしが大変なときに軍需関連企業から二百回以上もゴルフざんまいの接待を受けていた。

写真

(写真)パネルを示して質問する笠井亮議=10月30日、衆院テロ特別委

 守屋氏は証言の中で便宜供与はなかったと否定しましたけれども、まさに不自然極まりない。見返りを期待しないでこれほどの接待をする企業があるだろうか。しかも、偽証罪が問われる場で、政治家、そして防衛庁長官経験者まで一緒に接待を受けていたという証言は重いものがあると思います。

 防衛庁長官経験者を含む、こういう疑惑について、総理自らが、特別の体制をとって、最優先課題として徹底究明すべきじゃありませんか。

 福田康夫首相 昨日の証人喚問を私よく見ていなかったんだけれども、どういうことが起こったのか、事実関係、徹底的な究明をすべきだと思います。今、防衛大臣が中心になってその究明、調査をしておるところですので、その状況を見ながら判断してまいりたい。

 笠井 人ごとでは済まされないと私は思うんですよ。9・11のあのテロ事件の直後やテロ特措法が問題になったそういうときにも、毎週のようにゴルフをやっていたということが次々と明らかになっている。国益を個人の利益が食い物にしていた、このことをしっかり確かめもせずに、対処もせずに、なぜ国益が語れるのかという問題が鋭く問われていると思います。

 防衛相に調べてもらってとおっしゃいましたが、総理自身が、防衛庁長官経験者に直接ただすことも含めて、徹底究明に乗り出すべきだと思うんですが、いかがですか。

 首相 今、防衛大臣が中心になってその調査を進めているわけでありますから、その結果をまずは見たいと思います。

 笠井 総理自身が、防衛庁長官経験者に直接、お聞きになるつもりはないんですか。

 首相 私自身がそういうことをしなくても、事実関係はだんだんわかってくるようになるでしょう。私も重大なる関心を持ってこの事態を見守っていきたい。

 笠井 国民は怒っているんです。総理が国民の目線とおっしゃった、そうであるなら、こういう問題でこそその立場に立って本当に乗り出す。やらなかったら、自民党政治はますます見放されると私は思います。

米艦船への給油量隠ぺい

笠井
 米艦船が三つの戦争(イラク、アフガン、テロ)の任務を持っていること、承知していたか

防衛相
 複数の任務を持つことはあり得る

 笠井 もう一つ、証人喚問で、海上自衛隊による給油量の隠ぺい問題についてもいろいろなことが明らかになりました。二〇〇三年にイラク戦争に従事していた米空母キティホークの艦長が海上自衛隊から八十万ガロンの給油を受けたと発言した際に、福田総理は当時官房長官として、防衛庁が米側に確認して、イラク戦争には使っていない、二十万ガロンだから一瞬にしてなくなったと発言をされていました。

 ところが、昨日の守屋前次官は、八十万ガロン、二十万ガロンの事実を確認したんじゃなくて、テロ特措法の趣旨を外れていないということを米側に言ってほしい、このように米側にお願いしたと証言したわけです。

 ということは、当時、日本政府としては、米政府に八十万か二十万かも確認していない、空母の、問題になった前後の作戦行動も確認していなかった、こういうことですね。

 首相 私が官房長官のときに、二十万ガロンと発言したことは事実です。

 その情報はすべて防衛庁からもらった資料に基づいて発表しているわけで、私の方で創作したことはありません。

 石破茂防衛相 私、当時防衛庁長官でございましたが、転用ということはありませんねということについて確認を行ったということが実際のところです。

 笠井 ちゃんと問題を確認していなかったということなんですよ。

 防衛省だけにこの問題の調査は任せられないと思うんです。国会で徹底究明が不可欠だと思います。守屋氏の再喚問、そして当時の海幕防衛課長ら関係者の当委員会への証人喚問を要求したい。委員長、理事会に諮っていただきたい。

 深谷隆司委員長 理事会において諮ります。

 笠井 その上で、そもそも自衛隊はこの六年間、米軍など、どういう行動をしている外国の軍艦に対して給油活動をしてきたのかという問題です。

 米国防総省は、十月十九日に声明を発表しました。日本が補給した燃料を、米国艦船に給油された時点から消費されるまで、任務ごとに追跡することは、以下の理由により複雑な作業になる。三つ書いてあります。

 一つは、海上自衛隊が補給した燃料を、ほかの燃料と分けて、別のタンクに貯蔵することは行っていない。二つ目に、海上自衛隊の燃料がまず別の補給艦に給油され、そこからほかの艦船に給油されることは、海軍作戦行動においては一般的であり、その場合、用途を説明する作業はさらに複雑になる。三つ目に、加えて、艦船は複数の任務につくこともある。このように書いていると私は読んでいるんですけれども、そのとおりですね。

 防衛相 そのように書いてあると認識をしております。

 笠井 実際に、この自衛隊の補給艦が給油しているアメリカの第五艦隊というのがありますが、これについて、米国防総省の発表では、この艦隊は三つの任務、すなわち、一つはイラク作戦、二つ目はアフガニスタン作戦、三つは海上行動を一体のものとして、インド洋、ペルシャ湾に展開をしているというふうに言っております。

 ブッシュ大統領が勝利宣言をした一年後、イラクの暫定政権に主権が移譲されたというイラクの情勢がありました。その二〇〇四年五月以来、こういう形で、現在までの三年半の期間でありますけれども、実に二十三もの艦隊が切れ目なくこの地域に派遣されています。

 この艦隊のシアーズ司令官は、「我々は今三つの戦争(イラク、アフガニスタン、テロ)に従事している」と強調しております。

 そこで、総理に確認したいんですけれども、自衛隊の補給艦がテロ特措法で給油してきた相手の米艦船が、そういう三つの任務を持っているということは、当然、日本政府としては承知をしていたわけですね。

 防衛相 前に長官を務めておりましたときに、(米艦船が)複数の任務を持つことはあり得るということは答弁しております。したがって、そういうことはあり得ると認識をしております。

 笠井 複数の任務という一般的な問題じゃなくて、日本が給油した相手の米軍の艦船の行動部隊が三つの任務を持っていたということをきちっと知っていたかどうかということです。

 防衛相 私どもが行わねばならないことは、国民の税金によって賄われている燃料というものが、OEF(「不朽の自由作戦」)というもの、法律にのっとって使われているかどうか、はきちんと明らかにせねばならない。

 笠井 では、相手の艦隊がどういう任務を持っていたかというのを知らなかったんですか。一部で、OEFをやっているから入れているんだ、それ以外何をやっても関係ない、確認もしない、こういう立場でこの六年間やってきた、これが日本の政府の立場ですか。

 防衛相 この活動が法にのっとって行われているか、そのことは日本政府としてきちんと確認をせねばならないことだと申し上げている。

 笠井 答弁になっていませんね。三つの任務を持っていたことを知らないかと聞いているんですから、はっきり答えてください。

 防衛相 補給を行いますときに、交換公文を結びます。そしてまた、OEFの任務、それに使う量はどれくらいですかということを確認をしながら、とにかく、言い値で言いなりの量を出す、そんなことはいたしておりません。

 日本がこういう法律に基づいて補給を行っている、したがって、OEFというものに使われなければならないということは、補給を受ける国全部の周知の事実となっておるということをぜひ認識いただきたい。

 笠井 知っているか知らないかというふうに伺っているのに、それも言えない。国防総省は発表して言っているんですよ。三つの任務を持っていると。軍事の常識なんです。相手がどんな行動をしているかも、知りもしないのか、知ろうともしないのか、そんなことあり得ないはずなんですよ。なぜ言いたくないのかというところに私は重大な疑問を感じます。

米艦隊の活動実態

笠井
 アフガンに限定というが、イラク作戦に参加した遠征群艦隊に給油。資料提出を

防衛省局長
 いずれ国会に説明するので、作業中

 笠井 それでは具体的に、これらの米軍艦船の中で、日本の佐世保を母港にしているエセックスを中心にした艦隊の活動を実際に見てみたいと思います。

 この水陸両用の即応攻撃部隊が沖縄で二千二百人の海兵隊員の部隊を乗せて沖縄のホワイトビーチを出港していったのが、二〇〇四年八月二十三日です。このエセックスに搭載するために、昼夜突貫の準備作業の中で、二〇〇四年八月十三日、普天間基地所属の米軍ヘリコプターが沖縄国際大に墜落をいたしました。

 総理、この事件は覚えていらっしゃいますか。

 首相 かすかに覚えています。

 笠井 沖縄県民は本当に怒り心頭だったんですよ。そういうことを、かすかにということじゃなくて、しっかり沖縄県民の気持ちを受け止めて、覚えておいてもらいたいと思います。

 外務省に伺いますが、当時、海老原北米局長が、このエセックスが沖縄に寄港した目的について国会で答弁しています。「沖縄の海兵隊の一部をイラクに展開せしめるということになったが、そのときにヘリコプターも一緒に、海兵隊とともにイラクに輸送するために入港していた」「普天間から、これらのヘリ六機は、イラクでの米軍の作戦に向かうために飛行したと承知している」と。間違いありませんね。

 西宮伸一外務省北米局長 そのとおりだというふうに理解いたします。

 笠井 このエセックス遠征(打撃)群という艦隊は、イラクでの米軍作戦に向かうために当時沖縄から出港した。日本政府は、当時から承知していたということです。

 このエセックスの艦隊は、二〇〇四年九月十日からペルシャ湾でイラク石油基地防衛などの任務に従事し、一緒に乗っていた海兵隊の遠征隊は、イラクのファルージャで数千人とも言われる市民を殺りくした作戦に参加をしています。

 この艦隊の軍艦ジュノーに、自衛隊の補給艦「ましゅう」から、二度の給油を行っているわけですけれども、当時、日本政府は、相手がイラク作戦ではなく、アフガニスタンの海上阻止行動としてどんな活動をしていたと承知しているんでしょうか。

 防衛相 ジュノーが、わが国からの燃料提供の際、「不朽の自由作戦」に従事中であったということにつきましては、当時、外交ルート及び部隊の命令系統を通じまして、アメリカに確認をしておるところでございます。

 笠井 外交ルートと部隊の命令系統と言いましたが、いつ、だれが、どういう形で確認をして、どういうふうな確認が来たんでしょうか。

 高見沢将林防衛省運用企画局長 補給した後の艦艇の行動について、それぞれ現地の大使館に連絡をして確認する。外務省の方を通じて現地で確認をしているということでございます。

 笠井 この二回については、いつ、だれが、どのような形で確認をして、何という回答が来たかと聞いているんです。

 防衛相 外交ルートを使いまして、外務省におきまして、それにふさわしい確認の仕方をしているというふうに承知をしております。

 笠井 「不朽の自由作戦」でアフガニスタンだけに限定しています、確認はしましたということを抽象的に言われたって、具体的な資料を出さなかったら、だれも納得できないですよ。

 いくら、確認しましたと言ったって、その確認自体が、証人喚問も含めて、おかしいということが問題になっているわけですよ。きちっと確認の資料を出してください。

 運用企画局長 平成十九年八月三十日までの段階で、七百七十七回の補給を実施しておりまして、艦船の補給した先の行動について、いずれ国会の方にご説明をするということで作業を進めているところでございます。

 笠井 いずれじゃどうしようもないですよ。

 私は、いま具体的に、このジュノーに対して入れたという二回について聞いているんですから、これについては、いつ、だれが、どういう形で米側に確認して、どういう回答があったかという資料を、ぜひ当委員会に提出していただきたい。

 委員長 理事会において検討いたします。

 笠井 先ほど、「不朽の自由作戦」に限定しているというふうにいくら言われても、裏づけをもって答弁がなかった。まさに説得力がないんです。

 十二月二十三日、イラク作戦で戦死をした六人の海兵隊員を弔うセレモニーがこのジュノー艦上で行われました。二〇〇五年一月十七日に、自衛隊の補給艦「ましゅう」から四百三十八キロリットルの給油を受けたジュノーは、翌十八日から二十五日にかけて、ペルシャ湾でイラク作戦と海上行動を実施と、米軍の側が明らかにしております。

 こういう事実経過こそ、(米艦船が)複数の任務についており、区分けするのは困難という実態、こういう任務をもって活動をしている米軍の艦船に対して給油をしていたということが明らかになったと思うんです。

 これは、かつてそうだっただけじゃないんです。ことしに入っても、例えば、二月十九日から六月二十二日まで作戦展開をしました空母ステニスを中心にした艦隊がペルシャ湾とアラビア海を三往復しているんですね。そして、イラク作戦とアフガニスタン作戦を反復してやっている。

 今後も、空母ニミッツ艦隊、強襲揚陸艦ナッソー、ナッシュビル、こういう艦隊が投入される。先の先まで決まっているのがアメリカの作戦であります。

 このように、イラク、アフガニスタン作戦、そして海上作戦、この三つの任務を一体的に遂行して、イラクでも作戦を組んで、そして民間人が命を奪われているという掃討作戦をやっている。そういう全体としての部隊に対して引き続き給油をしていこうというのがこの新法案にほかならないと私は思うんです。事実が明らかだ。

 総理、こうした憲法違反の戦争支援の新法というのは撤回をする、そして、給油活動は直ちに中止をして、自衛隊をインド洋から撤退させるべきだ、こう思うんですけれども、いかがでしょうか。

 防衛相 私どもの補給艦がアメリカの艦船だけに補給をしているのではないということはご説明をいたしておるところでございます。

 もう一つ、アメリカの船が複数の任務に従事しておるということは、政府は当初から申し上げておることでございます。その中にOEFというものがあるということも、きちんと確認がなされている。

 笠井 答えになっていない。大臣はいま、これは限定している、確認している、だからいいんだというふうに繰り返してまた言われましたが、ジュノーに対して二回入れたことについても、いつ、だれが、どこで、どういう確認をしたかという資料も出せないわけですよ。出さずに、あとは信じてくれ、こういう話になっちゃうんですよ。だから、この六年間振り返って、やめるべきだと、私は言っているわけです。

 防衛相 私どもとしては、今、七百七十七回すべてについて、必要な確認の最終段階に入っておるところでございます。いつ、どこで、だれが、どのようにということまできちんと明らかにということができるかどうか、私、今そのことについての確かな知識を持ち合わせませんが、アメリカのいろいろな資料を全部点検しながら、OEFに使われたということをお示しするべく、今作業をしておるところでございます。

 笠井 これまで六年間で七百七十七回、一回一回きちんと確認をして、資料も裏づけもちゃんととっていればファイルがあるはずです。そしてすぐ出るはずです。

 今、新法にするかどうかという問題になって、国会でも追及される、国民からも疑問が出る、それであわてて六年間を振り返って七百七十七回を調べ始めた。これまでちゃんと確認してないでやっていたんじゃないかと疑われても仕方がない、こういう問題になると私は思うんです。

 この間の政府の答弁をうかがっていても、テロとのたたかいというふうにおっしゃって、この海上阻止活動への参加をやめて撤退をすれば世界から孤立するかのように繰り返し言われております。私、これはとんでもないと思うんですよね。

 いわゆるアフガニスタンでのテロとのたたかいということで、軍事行動に参加している国々の状況、参加状況をまとめました。

 国連加盟国(・地域)百九十二ありますけれども、米軍主導のアフガニスタンの「不朽の自由作戦」に参加しているのは二十カ国です。うち、自衛隊が参加している海上阻止活動(MIO)、これには八カ国です。しかも、このうち、カナダとニュージーランドは一時撤退している。

 政府自身も憲法違反だと言って、参加できないと言っている国際治安支援部隊、ISAFについても三十七カ国です。地方復興支援チーム(PRT)については二十七カ国。これは国連加盟国からすると、いずれも圧倒的に少数なわけですね。

 総理の言い分によりますと、こういう軍事行動に参加していない国連加盟の圧倒的な多数の国々は、テロとのたたかいに消極的で、国際貢献も責務も果たしていないということになるわけですけれども、そういう認識でしょうか。

 高村正彦外相 国際社会の中で日本はGDP(国内総生産)世界第二位の国なんです。先進民主主義国と言われている国は、いずれも、ISAFかMIOかOEFかPRT、どれかには参加しているんです。日本が、MIOだけに辛うじてこれからも参加しようというときに、これもやらない。こういう状況の中で、日本はどう思われるか。

テロ根絶のために

笠井
 軍事支援をやめて政治的なプロセス促進の方向に転換すべきだ

首相
 和平プロセス推進の点は同じ考え。しかし、給油は継続

 笠井 今大臣、まさに国力の違いとか言われました。いろいろな事情がある中で、日本は日本としてやるべきことがあるんです。

 しかも、この海上阻止活動、既にイタリア、スペイン、オランダ、ギリシャは艦船を撤退して、この行動に参加していません。だけれども、参加していなかったからといって、世界がそういう国々を非難しましたか。アメリカが非難しましたか。していないんですよ。だから、それぞれの状況に応じてやればいいわけで、イラクの派遣状況とともに、いかに世界の国連加盟国から見たら少数派かという問題です。

 今、国際社会は、それこそ一致して、テロ根絶のたたかいをやる、そして、テロ防止のたたかいをやるということで、昨年九月も国連総会で、全会一致で総会決議が上がりました。「地球規模の対テロリズム戦略」、世界的なテロ対策の取り組み、法の裁きでやるということで、みんなやろうとしている。資金を断つ、犯罪者のテロリストを捕まえる、こういう形の努力をやっているわけですから、そういう取り組みを大いにやればいいというのがまず一つです。

 同時に、私、アフガニスタンの現状の関係でいいますと、私自身、六年前に、あの報復戦争が起こった直後に、あのアフガン国境の難民キャンプにも行きました。

 わが党は当初から、「戦争でテロはなくならない」、「テロ根絶は法の裁きでこそ」ということを言ってまいりました。しかし、この警告を無視して、報復戦争でテロがなくなったか。それどころか、事態の悪化、特に治安の悪化はますますひどい状況にあるという問題です。そして、アフガニスタンでも多くの国民が犠牲になる、無辜(むこ)の市民が犠牲になる。

 そういう状況を一刻も早く終わらせたいという気持ちから、アフガニスタンでは今、平和と和解のためのプロセスが始まっている。さる九月二十三日に、国連本部で潘基文(パンギムン)事務総長とカルザイ大統領が共同記者会見を行いました。

 この中でカルザイ大統領はこう言っております。「アフガニスタンにおいては、この間、著名なアフガニスタン国民であり、上院議長のムジャディディ博士を責任者として、『平和と和解のプロセス』といわれるプロセスが進んでいる、われわれは既に、アルカイダの一部ではなく、テロリストネットワークの一部ではないタリバン、そのようなものが実際には多数なのだが、私の言っているようなタリバンとの間で平和と和解のプロセスを通じて接触を行っている」、こう言っております。

 潘基文事務総長も、和解のための包括的な政治的対話の推進にいっそうの努力を行うべきである、こう述べております。

 これらは何も、ビンラディンと交渉せよ、和解せよなどと言っているんじゃありません。テロリストは捕まえなきゃいけない。しかし、今実際に進んでいる政治解決へのプロセスを進めようじゃないか、対話の努力をしている。

 総理は、こういう政治解決の努力についてはどう受けとめていらっしゃるでしょうか。

 首相 この状況をどうやって打開するか、それはあらゆるいろいろな方策を考えなければいけないと思います。

 国連の方が動くということも必要かもしれないし、わが国も一定の発言権もあるだろうし、当然、わが国の外交もそういう努力をする。そういう道を探る努力をしなければいけないというふうに思っております。

 笠井 総理、いろいろな努力をするとおっしゃいました。そういう努力を進めると言うならば、米軍などによる報復戦争とかタリバンへの掃討作戦、こうした政治的プロセスの障害となるようなことについては中止させるべきじゃないでしょうか。

 首相 今インド洋における補給活動を続けておりますけれども、国際社会による一致したテロとのたたかいへの協力でございまして、決して報復戦争への支援とかではありません。重要なことは、人道復興支援と治安・テロ対策の両面において粘り強く支援していくということであります。

 カルザイ大統領とか潘国連事務総長が国内和平プロセスを推進していく決意を表明している点は、委員のお考えと同じ、重要であるというように考えています。

 わが国としては、国際社会と協調しつつ、アフガニスタンの政府のこのような努力を支援してまいりたいと思っております。

 笠井 軍事支援をやめて政治的なプロセス促進の方向に転換する、こういう問題が問われているんだと思うんです。

 ことし五月八日に、アフガニスタンの上院が決議を上げております。“米軍が率いる有志連合の西側の部隊とアフガニスタン部隊はタリバン戦闘員およびその他の過激派の掃討を中止すべきだ、交渉開始の働きかけが行われている間、タリバンへの軍事作戦は中止すべきだ”―このように言っております。そして、「タリバンを含む反政府勢力との政治解決のための直接交渉を行うべきだ」、こういう決議を行っております。

 アフガニスタンで現実に進み始めている平和と和解のプロセスを促進して後押しをする、これこそやはり日本政府が協力支援の努力を本当に傾注すべき一番の問題じゃないかと思うんです。

 首相 そういうことも視野に入れて、しかし、といって、給油活動を今やめるというような判断というのは、まだその時期に至っていない。これは継続すべきだというふうに思っております。

 笠井 日本政府は9・11直後から思考がとまっているんじゃないかと私は思うんです。軍事支援で対応しようとしている。アフガンの現実よりアメリカいいなり、優先ということで、それこそ世界から孤立する道を歩んではいけない、ここで、やはり軍事支援から政治プロセス、これを促進する方向に転換するということで努力すべきであるということを強く求めて、質問を終わります。



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