2007年10月29日(月)「しんぶん赤旗」

NHK「日曜討論」

市田書記局長の発言


 日本共産党の市田忠義書記局長は二十八日、NHK「日曜討論」に出席し、守屋武昌前防衛事務次官の軍需関連商社との接待・便宜供与疑惑、海上自衛隊補給艦の給油量隠ぺい問題、消費税増税問題について、自民党の伊吹文明、公明党の北側一雄、民主党の鳩山由紀夫、社民党の又市征治、国民新党の亀井久興の各党幹事長と討論しました。司会は、NHKの影山日出夫解説委員。


守屋氏問題の背後に「政・軍・財」癒着の構造が

 二十九日に守屋氏の証人喚問が行われることについて、伊吹氏は「事実を解明して、(新テロ特措)法案を速く通すための一助にしたい」などと発言。これに対し市田氏は、防衛省と軍需関係商社との癒着という根本問題を指摘しました。

 市田 守屋さんは、軍需関係の商社とゴルフ、マージャン、飲食をともにした。航空自衛隊の次期輸送機CX(のエンジン調達=五十機配備予定)は、いろんな部品も含めると一千億円といわれている。それが山田洋行から分かれた日本ミライズに受注できるように口利きした疑いがもたれている。守屋さんというのは単なる一役人ではなくて、防衛局長もやり、事務次官を四年間以上やっています。これは異例の事態です。そういう意味では防衛行政がゆがめられた疑いが強い。

 私ども調べてみましたが、軍需産業の契約上位十五社に、防衛省から四百七十五人が天下りしているんです。自民党の政治資金団体である「国民政治協会」に十五社のうちの十一社から約一億九千万円の献金が行われています。そういう意味では「政・軍・財」の癒着がなかったのかどうか、その疑惑も含めてきちんと解明する。構造的な問題が背後にある疑いが大変強いと思っています。

給油量の隠ぺい工作の疑い――国会で明らかに

 議論は、海自補給艦による給油量の隠ぺい問題に及び、伊吹氏は「NHKだって誤報はある。人間には誤りがある。本当に誤りであれば謝罪しなければいけない」と述べました。これに対し、市田氏はこう述べました。

 市田 日本の防衛政策の基本にかかわる重要な事実の問題の隠ぺいの疑いが非常に濃い。事実は、キティホークの艦長と司令官が帰還したときに、「八十万ガロンを日本から間接的に給油を受けた。感謝する」ということを言った。これが二〇〇三年の五月六日です。その翌日に当時の福田康夫官房長官が“アメリカに問い合わせたけれどもイラク戦争には使われていなかった。念のためにもう一度確認する”と(述べた)。そしてその翌日には“二十万ガロンだった。二十万ガロンは瞬間的に使ってしまうのだからイラク戦争への転用はありえない。アメリカ側に確認した結果だ”と記者会見しました。五月十五日には、当時の日本共産党の参院議員の小泉親司氏が石破さん(防衛庁長官=当時)に質問したんです。そのときも、“アメリカ側に問い合わせしたら、日本は二十万ガロンしか給油していない”と答弁したんです。アメリカ側がうそをついていたのか、同じようにアメリカ側にも日本と同じように記録のミスがあったのか、確かめもしないで勝手にいったのか、確かめたけれども細かいことは確かめないでイラク戦争への転用はないという言質だけとったのか。防衛省の誰が、アメリカの誰に対して何を確認したのかをはっきりさせないといけない。単なる事務上のミスでは済まされない問題です。

 当時石破さんは防衛庁長官で、福田さんは官房長官。わざわざ答弁や記者会見の際に、「アメリカに確認した」といっているのだから、これはイラク戦争には使われていないという前提があって、つじつま合わせのために八十万ガロンでは困る、二十万ガロンでなければならないと言った疑いが極めて濃い。

 これに北側氏は「当時、福田官房長官や石破防衛庁長官が知っていて、故意に隠ぺいしたとは私は考えていない。トップに対して報告をしなかったところに大きな問題がある」と発言。市田氏は次のようにのべました。

 市田 福田官房長官や石破防衛庁長官が知っていたとは言っていない。彼らは“アメリカ側に確かめたらこうだった”といっている。これほど大事なことは、アメリカ側に確かめたのなら、当然事務方にも確かめますよ。しかも防衛政策課長が答弁の準備をした。官房長官の記者会見用のメモもつくったといわれている。その上にいる人が守屋防衛局長(当時)です。それを福田さんや石破さんが大事な国会答弁や記者会見のときに、わざわざ確かめたといっているのだから、八十万ガロンでは都合が悪いから二十万ガロンといった疑いが濃い。それを含めて国会で明らかにする必要がある。

戦争でテロはなくならない――貧困、干ばつ、医療支援を

 給油活動を継続する新テロ特措法について、北側氏は「わが国の国際社会における役割をどうするかという大きな議論だ」と発言。これに対し市田氏はこう発言しました。

 市田 世論はどうなったか。アメリカを中心にした報復戦争で、テロはなくなったかという問いに対して六割の人がそうではないと最近の世論調査でも答えている。この六年間、いったいアフガンの状態はどうなったかを見ると、国連のオフィシャルな報告でも、去年と比べてテロリストによる暴力は二割増えたと述べている。一年間で民間人が千人も殺されている。戦争や暴力ではテロはなくならない。

 日本は給油をしているが、給油した油が海上阻止活動だけに使われているのではなく、アフガンへの空爆にも使われている。国会でわが党が証拠を示したら、政府も認めざるを得なかったんです。油の入り口は一つでも出口は三つだ。アメリカの作戦というのは海上阻止活動だけではなくて、イラク戦争とアフガンへの空爆、この三つを一体としてやっています。区別のつけようがないんです。しかもいまカルザイ政権もタリバンと対話をしながら和平の方向へ行こうとしている。国連もそういう勧告をしている。戦争や戦争への協力ではなくて、そういう和平の方向に切り替えるべきです。そして貧困、干ばつ、医療などへの支援を行うことが大事です。

“財源といえば消費税”の考えを改めるべきだ

 基礎年金の国庫負担引き上げ、また基礎年金をすべて税金でまかなうために、消費税を増税するという経済財政諮問会議での民間議員の提案について議論になりました。伊吹氏は「いまは消費税を上げるという決断はしていない。(消費税増税は)今後の予測次第だ」と発言。市田氏は財源の根本問題をただしました。

 市田 基礎年金の国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げるための財源をどうするか。政府・与党は定率減税の廃止と年金課税の強化ででてくる二・七兆円をあてるんだと、選挙の公約でもビラで書いているんです。ところが、借金返済にも回したから、まだ五千百億円しか投入されていない。借金返済というならなぜこの期間に大企業や大資産家への減税を四兆円もやったのか。財源というとすぐ消費税という考え方は改めるべきです。

 消費税は、負担能力に無関係に全部からとる。税金は家計部門、企業部門それぞれから支払い能力、負担能力に応じてとるものです。負担能力があるところは税金をまけて、支払い能力のない庶民には増税と負担増を強いる。こういうやり方ではなく、大企業、大資産家の優遇税制を改めることが必要です。それからどこの党も言わないが、軍事費の無駄遣いにメスを入れる。たとえば米軍再編経費の三兆円、グアムに基地を造るために七千億円。そんな税金は削るべきです。


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