2007年10月26日(金)「しんぶん赤旗」

薬害肝炎 “積極的に話さない”

国と会社

厚労省提出資料に明記

二人三脚で隠ぺい

小池議員が調査


 「会社からは積極的に話さないこと」「報道関係者、医療機関従事者、患者などは、とくに注意をはらってほしい」―。肝炎ウイルスに汚染された血液製剤「フィブリノゲン」を投与されてC型肝炎に感染させられた問題で、一九八七年四月、当時の厚生省の安全課長、監視指導課長、生物製剤課長らと加害企業の旧ミドリ十字(現田辺三菱製薬)の間で、被害実態を積極的に公表しないことで合意していたことが、日本共産党の小池晃参院議員の調査で分かりました。

 小池議員は、肝炎に感染した患者を特定できるリストなどの関係資料の提出を同省に求めていました。小池議員に届けられた資料によると、八七年四月二十日、厚生省薬務局でミドリ十字は「肝炎発症の今後の対応について打ち合わせ」ています。

 この席上で国と製薬企業の両者は次の点で合意しています。

 (1)ミドリ十字と厚生省と食い違いのないようにすること(2)今のところ一医院のみにとどまっているので、他の話が出た場合直ちに牧野(医薬品副作用情報)室長へ連絡すること(3)会社からは積極的に話はしないように。やむを得ずに公表するときは、できるだけ早く連絡すること(4)フィブリノゲン関係の窓口は必ず一人に絞ること。報道関係者、医療従事者、患者等は、相手からなにかを引き出そうとしているのでとくに注意を払う―。

 小池議員は「二十年前から国と製薬企業は、二人三脚で薬害の発生を国民の目から隠ぺいすることで話し合っていたわけで重大だ。二十五日の私の質問で、厚生労働省は、リストの原本になった資料を廃棄処分していたことが新たに分かった。薬害被害隠しの癒着の根っこは深く、ひきつづき追及していく」と話しています。

被害報告原本は廃棄

小池氏 徹底調査求める

 日本共産党の小池晃議員は二十五日の参院厚生労働委員会で、薬害肝炎の被害者情報を厚労省が放置していた問題を取り上げ、汚染された血液製剤フィブリノゲン製造元の旧三菱ウェルファーマ(現田辺三菱製薬、旧ミドリ十字)が二〇〇二年に国に報告した記録以外にも、厚労省には記録が残されているのではないかとただしました。

 小池氏は「厚労省には感染被害が起こった段階で報告があがっていたはずだ」と追及しました。

 厚労省の高橋直人医薬食品局長は、一九八七年から八八年当時の旧ミドリ十字からのフィブリノゲン製剤による肝炎発症報告などについて、「その写しが現在、厚生労働省の中に保管されている」と述べたものの、原本は「廃棄されたのではないかというふうに見ている」などと答えました。

 小池氏は「原本自体を破棄したことは許しがたい。責任は重大だ。何が廃棄されたのか、どういう状態になっているのか、徹底的に調査しなければいけない」と追及しました。

 舛添要一厚労相は「徹底的に洗い出す」と答弁しました。

 小池氏は、国はすべての被害者に対する謝罪と補償をおこなえと主張。あわせて「すべてのウイルス性肝炎患者にたいする治療費補助、生活保障、就労援助といった恒久対策は待ったなしだ」と迫りました。

 舛添厚労相は「おっしゃった政策を総合的にやっていきたい」と述べました。


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