2007年10月17日(水)「しんぶん赤旗」
労災保険
飛行機代も支給可能に
義足の修理・装着の旅費
労災で義足での生活を余儀なくされた、離島に住む男性(57)が、義足の採型や装着のための航空機代を労災保険の制度から支給されることになりました。「声をあげてよかった。自腹で航空機代は出せないので、修理の日まで我慢していました。離島の障害者には同じ思いの人がいるのでは」と話しています。
この男性は二年前、沖縄県石垣市に移住してきました。北海道でトラックドライバーをしていましたが、二〇〇二年、仕事中の交通事故で右足首を複雑骨折。ふくらはぎの中ほどから下を切断し、義足を使っています。
石垣市のある石垣島は沖縄本島から約四百キロメートル離れ、おもな交通手段は航空機。石垣から本島(那覇新港)に行く船は週一便だけです。男性が利用する補装具業者は本島の浦添市から月二回、石垣市に来ますが、悪天候で航空機が欠航し、来られないときもあります。
義肢の耐用年数は長くて五年。修理や作り直しが欠かせません。男性はことし、新しい義足を作りましたが、北海道では一カ月で完成したのに、今度は四カ月もかかりました。「本島の業者のところに行ければ、その場ですぐに調整できるのに」と男性はいいます。
労災保険は、被災者が義肢などの支給や修理を受けられる制度を設け、製作、修理に必要な採型、装着のために旅行した場合、鉄道賃、船賃、車賃、宿泊料を支給しますが、航空機代については、制度の内容を紹介した厚生労働省のパンフレットに書かれていません。
男性が、管轄の北海道の帯広労基署に航空機代が支給できるかと問い合わせると、「北海道労働局に聞いてほしい」。労働局は「規定にないから支給できない」と回答しました。
困った男性は八日夜、日本共産党本部にメールを寄せました。翌九日、本部から小池晃参院議員の事務所にメールが伝えられ、十日に事務所が厚労省の担当者から説明を受けたところ、「状況によっては支給するルールになっている」との回答を得ました。「パンフにも適切に記入すべきではないか」とただすと、担当者は「誤解を生まないように何らかの形で対処していきたい」とのべ、航空機代支給をパンフに明記し周知すると約束しました。
厚労省から連絡を受けた北海道労働局は、男性に「航空機代を支給できる」と伝えてきました。
男性は「日本共産党にメールをしていなければ、支給するとは言ってこなかったかもしれません。言ってみるものですね」と話しています。

