2007年10月12日(金)「しんぶん赤旗」

永源寺第二ダムは違法

計画取り消し 住民の勝訴確定

最高裁


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 国が計画する永源寺第二ダム(滋賀県東近江市)の事業決定取り消しを住民が求めた裁判で、最高裁第一小法廷(甲斐中辰夫裁判長)は十一日、国の上告を受理せず、計画は違法とした二審の大阪高裁判決が確定しました。住民側は同日、大津市内で会見し、「計画が全面的に取り消された」と勝利宣言しました。

 訴訟原告で、「もういらない永源寺第二ダム住民会議」事務局長の野田清司氏(日本共産党市議)は「十九年運動して、待ちに待った結果です。ほんとうに喜んでいます」と顔をほころばせました。

 住民側の吉原稔弁護士は、「基本計画作成前に地質調査をしていなかったずさんさ、ダム建設費用が利水効果を上回るムダな公共事業が断罪された。全国的にもダム計画の取り消しは初めて。ダム反対の運動に大きな激励になる」と述べました。

 永源寺第二ダムは、国定公園鈴鹿山系の愛知(えち)川上流に、農業利水専用ダム(総貯水量二千五百七十万トン、事業費四百七十六億円)として計画されました。

 しかし農地の減少が進み、土地改良法の手続き違反のウソの同意書を前提に、観光客の人気スポットになっている自然環境を破壊し、農家や地元自治体に大きな負担となるとして、住民が計画差し止めを提訴しました。

 一審の大津地裁は二〇〇二年十月、計画策定時には効果が費用を上回り、環境保護義務もなかったとして訴えを却下。しかし大阪高裁は〇五年十二月、国が地質調査をせず、経済性の要件も適正に審査せず決定した「重大な瑕疵(かし)があり、違法」と、計画決定を取り消し、住民が逆転勝訴。国が上告していました。


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