2007年10月5日(金)「しんぶん赤旗」

志位委員長が代表質問 衆院本会議

貧困・格差 財源問題 自衛隊派兵

政治の根本的転換を

「集団自決」軍強制の削除問題

沖縄県民の思いに応えよ


 日本共産党の志位和夫委員長は四日、衆院本会議で福田康夫首相の所信表明演説に対する代表質問に立ち、貧困と格差、社会保障の財源問題、米国の戦争を支援する自衛隊派兵などについて首相の基本認識をただすとともに、抜本的な打開策を示して、新しい政治への根本的転換を迫りました。


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(写真)代表質問する志位和夫委員長。左奥は福田康夫首相=4日、衆院本会議

 志位氏は冒頭、高校教科書の検定で沖縄戦の「集団自決」への日本軍の強制の記述が削除された問題で、十一万人の大会を開いた沖縄県民の思いにふれました。「政府は自らの責任において、検定意見の撤回と強制記述の回復という県民の要求に応えるべきだ」と強調。首相自身の歴史認識と合わせて答弁を求めました。

 福田首相は、「県民の思いを重く受け止める」とのべるだけで、記述削除についての政府の責任にはふれませんでした。

 貧困と格差の問題で、まず若者の深刻な実態を突きつけた志位氏は、福田首相が「若者が明日への希望を持てる国」をつくるというのなら、非正規雇用拡大の背景にある「労働法制の規制緩和路線を根本から見直すべきではないか」と提起。とりわけ「日雇い派遣」をなくし、数さえわからない「ワーキングプア」(働く貧困層)の緊急実態調査を迫りました。

 ところが福田首相は「改革の方向性は変え(ない)」と路線見直しを拒否。派遣労働法制について「日雇い派遣を含めて見直しの検討を開始している」というだけで、実態調査にも背を向けました。

 また志位氏は、社会保障から多くの人々を排除する圧力となっているのが、社会保障予算の自然増を認めず、毎年二千二百億円ずつ削減する「社会保障予算抑制路線」だと指摘。「(首相が)『お年寄りが安心できる国』づくりをいうなら、その路線からの転換をはかるべきではないか」と迫りました。

 これにたいしても、福田首相は「障害者、お年寄りなどの状況に十分配慮する」としながらも、「給付の合理化、効率化をすすめ(る)」と抑制路線に固執する姿勢を示しました。

 財源問題で志位氏は、消費税が貧困と格差に追い打ちをかけ、社会保障財源としてもっともふさわしくない税金だと強調。大企業が空前の利益をあげる一方で、給与所得は九年連続で減っていること(グラフ)も示しながら、(1)大企業・大資産家への減税を見直せば、数兆円規模の財源がつくれる(2)年間五兆円の軍事費、なかでもアメリカの戦争支援のための軍事費は真っ先に削減すべきだ―として、この「聖域」にメスを入れるよう求めました。福田首相は、大企業・大資産家減税を「聖域」にする態度をしめし、軍事費も「合理化・効率化」をいうだけで、削減には背を向けました。

 海上自衛隊によるインド洋での「対テロ」報復戦争支援の問題で志位氏は、「報復戦争は、テロ根絶に有効でないばかりか、事態の悪化をもたらした」と批判。給油活動の全ぼうを明らかにするよう求めるとともに、「日本国憲法にそくして日本が果たすべき責任」として、憲法違反の戦争支援を中止することなど三点を提起しました。

 福田首相は、「海上自衛隊の補給活動を引き続き実施していく必要がある」として、派兵継続に固執しました。

 最後に志位氏は、「大企業中心、アメリカいいなり、歴史問題での、自民党政治の三つの異常をおおもとからただす改革こそ、国民の期待にこたえる新しい政治をおこす道だ」と表明しました。

グラフ

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