2007年10月4日(木)「しんぶん赤旗」

「公正な世界を」のスローガンの意味は?


 〈問い〉 原水爆禁止世界大会で「核兵器を廃絶し公正な世界を」のスローガンをみましたが、「公正な」の言葉の意味は?(北海道・一読者)

 〈答え〉 原水爆禁止世界大会は「核兵器のない、平和で公正な世界を」をメーンスローガンにかかげています。

 この「公正な」とは、貧困や飢餓、福祉・医療の欠如、環境破壊、差別などによって、人間らしい生活をおくることを不当に妨げられることがないような状態という意味です。

 今日、先進国の大企業などが巨額のもうけをあげる一方で、第三世界や、さらには先進国のなかでも、貧富の差が拡大しています。

 国連開発計画によると、世界中で20億人以上が1日2ドル未満で生活し、8億5000万人以上が日々の食べ物にも事欠く状態です。その一方、世界の富裕層(870万人)の総資産は33兆ドルに達し、アフリカ大陸(9億人)のGDP(3100億ドル)の100倍以上にもなります。

 また、国などがおこなってきた仕事も民間企業にまかせるような政策によって、必要な医療や福祉、教育を受けられない人々が増える事態もうまれています。

 世界では年間約1050万人の児童が、予防可能な病気が原因で5歳以前に死亡しています。

 こうした状態は、1990年代から急速に進行してきましたが、その大きな原因が、唯一の超大国であるアメリカがおしすすめる経済・金融政策にありました。それだけに、核兵器廃絶の最大の障害となり、アフガニスタンやイラクでの戦争を強行した米政権の横暴を批判することは、平和な世界をめざす運動にとっても無関心ではいられない問題となってきました。

 一方、世界の不公正をただす運動はここ10年ほどの間に急速に発展しました。とくに、2001年から始まった世界社会フォーラムは、「もう一つの世界は可能だ」をスローガンに何万人もが参加し、現状と打開の方向を議論しています。

 この運動は、世界的なイラク反戦行動をよびかけるなど、平和運動でも重要な役割を発揮しています。被爆60周年には、核兵器廃絶をかかげ、ヒロシマ・ナガサキ・デーの行動も訴えました。こうした運動と連帯・共同していくことは、核兵器廃絶の国際的な世論を大きくしていくうえで、重要となっています。

 世界的な社会運動は、平等で民主的な世界のあり方をめざすものでもあり、国連憲章の平和秩序をめざす反核運動との連帯は、当然の流れでもあります。

 世界大会のスローガンは、世界の現状に目をむけ、社会運動とも連帯して、核兵器廃絶という大きな目標を達成していくことをめざしたものです。(川)

 〔2007・10・4(木)〕


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