2007年10月4日(木)「しんぶん赤旗」

最低賃金2ケタアップ

広がる運動が力に

最賃法抜本改正が課題


 新しい地域別最低賃金額が決まりました。従来にない二ケタの引き上げが特徴。公務員の給与も八年ぶりの改定となり、すべての労働者の賃金底上げにつながります。貧困と格差をなくし、人間らしい生活を求める国民・労働者のたたかいの反映です。


表

 「最低賃金二十円アップという新聞の見出しを見てびっくり。うちの店も時給が上がるかしらと、主婦のパート仲間で話題になっているんですよ」

 東京北区内のスーパーで働く中年女性が驚きの声をあげました。

 今年の地域別最低賃金は、東京の時間額二十円アップをはじめ、三十都道府県で十円以上の引き上げなど様相が一変しました。全国平均で十四円。ここ近年は最高でも六円程度だったのと比べると、二ケタの大台に乗せる前進です。

 今年の最低賃金改定の審議は、貧困と格差をなくせと求める世論と運動が広がるなか、政府からも「従来の延長線上ではない底上げ」が要請されるなかで行われました。

 改定額の参考となる中央の目安額は、例年を上回る六円から十九円の四つの引き上げ額を答申。

 八月から本格化した地方の最賃審議会では、使用者側が抵抗するなかで、二十二都県では中央最低賃金審議会の目安額を上回りました。

 注目された最低クラスの十六県では、青森県が目安額に二円を上乗せし最下位クラスから抜け出すなど、過半数の十県が目安額を上回りました。

青年が先頭

 従来にない引き上げ額となったのは世論と運動の広がりがありました。

 北海道では、道労連の青年が最賃額にちなんで六百四十四分のハンガーストライキを行い、街頭などで一言メッセージを七百八十七人分も集めて労働局に提出しました。神奈川でも、ハンガーストライキに六百人超が参加しました。

 審議会でも青年らが先頭にたって訴えました。

 民青同盟兵庫県委員長の荻野潤子さん(26)もその一人。二つのスーパーでパートで掛け持ちで働く青年の実態などを示し、「最低賃金の引き上げは青年の生活不安を取り除き、生活改善にとって急務」と訴えました。

 各地の審議会で青年の訴えに「涙が出そうになった」などの声が委員から寄せられるなど、労働組合だけでなく幅広い草の根からのたたかいが審議会を動かしたのです。

公務員でも

 たたかいの広がりは公務員の賃金でも―。

 人事院が初任給など青年層を中心に八年ぶりの「プラス勧告」を行い、低賃金の非常勤職員の給与改善に向け、必要な対策を検討していくことを初めて打ち出しました。

 「民間水準より低い初任給を引き上げよ」「公務職場から時給千円未満をなくせ」と、国公労連や自治労連、全教など公務労働者が民間労働者と共同して運動してきた反映です。署名は昨年を四万人分上回る二十五万六千人に達しました。

 政府・与党内で勧告に背を向ける声が出るなか公務労働者は、民間労働者にも影響を与える勧告の完全実施を求めてたたかいを広げています。

地方格差も

 従来にない引き上げになったとはいえ、全国平均は六百八十七円。労働者が一致して求める時給千円に比べるとほど遠い水準で、年収二百万円にもなりません。東京と秋田、沖縄との格差が、百九円から百二十一円に広がったことも問題です。

 これを力にして職場や地域で引き上げを実現することをはじめ、大企業のボロもうけをはきださせて、中小企業でも確実な賃金底上げを実現するなど新たなたたかいが課題になっています。

 審議会で陳述した前出の荻野さんはいいます。

 「ネットカフェ難民問題でも国を動かして実態調査が実現しました。声をあげてたたかえば動かすことができる。青年が希望をもって生き働けるように、時給千円へ頑張りたい」

全国一律に

 継続審議になっている最低賃金法改正案が、臨時国会で審議されます。

 改正案では、罰則強化などと併せて、地域別最賃の決定にあたって「生活保護との整合性に配慮する」と明記します。

 「まともな生活ができる水準に」と求めてきた運動の反映です。憲法二五条の生存権を保障する制度にするには、「生計費」を原則とし、全国一律の制度にするなど抜本改正が必要ですが、政府案はほど遠い内容です。

 日本共産党は、労働者が求める時給千円以上への引き上げを打ち出すとともに、生計費を決定基準とし、どこでもだれもが適用される全国一律の制度や中小企業への助成措置を提案しています。

 民主党も時給千円を掲げて、生計費を基準にすえることや、「全国最低賃金」を設け、それを超える額の「各地域最低賃金」を導入することなどを掲げています。

 生計費を基準とし、全国的な最低賃金の土台を築き、大幅引き上げを行うなどの点で、労働組合や各政党の間で共通の方向性が見いだせる条件が生まれつつあります。

 参院選結果がつくりだした国会情勢を生かして最低賃金法案を抜本改正できるかどうかは、今後の労働者・国民のたたかいにかかっています。



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