2007年9月29日(土)「しんぶん赤旗」

保険証なし1カ月

郵政民営化で非常勤家族15万人

書き換え対策怠る


 郵政公社の非常勤職員ゆうメイト十万人と扶養家族五万人の計十五万人が、民営化に伴う健康保険証の書き換えに時間がかかり、十月末まで一カ月間も保険証がない状態になることが分かりました。医療費全額が一時自己負担となるため、多くが年収二百万円もない低賃金で働くゆうメイトからは「突然、全額自己負担とはひどい」「一刻も早く交付してほしい」との声が上がっています。


 ゆうメイトは、政府管掌健康保険(政管健保)に加入。民営化で適用事業所が変わるため、公社が社会保険事務所に申請して保険証を書き換えます。しかし、民営化後でないと手続きができず、対象者も多いため、普通なら一週間程度ですむ作業が長いと一カ月もかかる見通しだといいます。

 大阪府内の郵便局で働く男性(41)は、九月中旬に突然、今の保険証を提出するよう命じられ、新しい保険証は「十月末ごろになる」と書かれた文書を渡されました。

 職場では「保険料を払っているのにおかしい」と批判の声があがりましたが、上司は「社会保険事務所へ請求すれば、七割は戻ってくるから」と説明するだけでした。

 この男性は「民営化は国の責任でやったことなのに、そのしわ寄せを労働者に押し付けるのは許せない」と憤ります。

 郵政公社は「早く交付したいが、手続きが十月からなので仕方ない」と説明。交付する社会保険庁も「事前に準備するなど郵政だけ特別扱いできない」と話しています。

 しかし、公社がとったのは、書き換えに必要な情報を社会保険事務所に電子ファイルで渡すなど対症療法だけで、無保険証期間をなくす抜本的対策も、自己負担の軽減策もとられていません。

 社会保険庁も、社会保険事務所に二週間程度で交付するよう要請しただけで、必要な人員体制もなく事務所まかせです。

 一方、常勤職員二十四万人は、民営化後も国家公務員共済に加入する法的措置をとったため、新しい保険証ができてから古い保険証と交換しており、問題は起きていません。ゆうメイトに民営化のツケを押し付ける政府の責任が問われます。



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