2007年9月25日(火)「しんぶん赤旗」

自民総裁選で議論にならず

どうなった 温暖化防止の対外公約


 自民党総裁選(二十三日投開票)で、ほとんどまったくと言っていいほど議論にならなかったのが、国際社会で大問題となっている地球温暖化防止の対外公約をどのように実現するかです。

 安倍晋三首相は六月の主要国サミットを前に、世界の温室効果ガスの排出量を「現状比で二〇五〇年までに半減する」政策「美しい星50」を掲げました。七月の参院選では、温暖化防止問題で日本が世界をリードしていると大宣伝しました。

 サミット宣言は、「日本」などの排出量半減の決定を「真剣に検討する」と明記しました。安倍首相は、これを成果だと誇示。「美しい星50」をもって、温暖化防止を論議する秋の一連の国連会合と、温暖化防止問題が最大の課題となる来年七月の洞爺湖サミットに臨む構えを強調しました。

 そもそも、この問題では、日本が議長国となった一九九七年の京都会議で京都議定書が合意され、日本は二〇一二年までに温室効果ガスを一九九〇年比で6%削減することが条約で明記されています。これほど明確な対外公約もありません。

口つぐむ新総裁

 ところが自民党新総裁となった福田康夫氏は総裁選で、この差し迫った課題について何の具体的発言もしませんでした。

 十五日の共同記者会見では、環境問題を考えても「持続可能な社会」の道を歩むしかないと言ったものの、具体策として示したのは「二百年住宅」の建設だけ。十六日にまとめた政権構想(選挙公約)でも、「北海道洞爺湖サミットを成功させ」ると述べただけで、肝心の中身は何も示しませんでした。

 福田氏は、米国の報復戦争を支援するテロ特措法問題では、インド洋での米艦船などへの自衛隊の給油活動継続が「対外公約」だと主張。臨時国会に新法を提出するほか、参院で法案が否決されれば衆院の再議決で強行成立させることも「場合によっちゃあやらなければいけない」(十六日のテレビ番組)と言うなど、公約実現のためなら何でもやる姿勢です。

 その一方で、条約やサミット合意文書に明記された対外公約である温暖化防止目標をどのように実現するかについては、何も語りません。

戦争支援は固執

 二十四日には国連本部で八十カ国以上の首脳が出席して国連気候変動ハイレベル会合が開かれます。二十五日からは温暖化防止を中心テーマの一つとして国連総会一般討論が始まります。ところが新総裁選出のゴタゴタに紛れて、いずれの会議にも日本からは首相も外相も出席しません。

 福田氏は、テロ特措法が延長されず自衛隊の給油活動が中断されれば、諸外国から「もう日本はいいですよといわれてしまうかもしれない」(二十一日の公開討論会)と語りました。しかし、日本の役割発揮が最も期待されている温暖化防止問題でこそ、「もう日本はいいですよといわれてしまう」事態が現に進行しています。

 福田氏が「国際的に尊敬と信頼を得られる国家」「国連重視」「環境立国」を政権構想で掲げるのなら、テロ根絶と無縁の米国の報復戦争の支援に固執するのではなく、京都議定書の数値目標達成と五〇年までの温室効果ガス半減の具体的手だてこそ講じるべきです。(坂口明)



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