2007年9月22日(土)「しんぶん赤旗」

参院選惨敗し安倍氏退陣

改憲派 ダブルショック

“日程表が紙くず”


 改憲派陣営が自民党の参院選惨敗に続く安倍晋三首相の退陣表明のダブルショックで沈んでいます。現在繰り広げられている安倍氏の後継を選ぶ自民党総裁選でも福田康夫、麻生太郎両候補とも総裁選公約に憲法のケの字も入れないほど改憲問題を避けています。一方で改憲推進派には巻き返しをはかる動きもあります。

 改憲推進派の「新しい憲法をつくる国民会議」(自主憲法制定国民会議)が十九日昼、国会内で会合を開きました。参院選結果と安倍退陣を受け一転、厳しさが増した改憲運動の再構築をはかる目的でした。

 会合には自民党の中山太郎憲法審議会長が出席して、国会における憲法改定作業の現状と見通しを語る予定でしたが、欠席。自民党総裁選のため多忙というのが理由でしたが、改憲への日程を語れる状況でなくなった事情が指摘されました。

 同国民会議役員は「安倍内閣ができてわれわれに追い風が吹いていたが、参院選、安倍首相の退陣表明で、にわかに逆方向へ風向きが変わってしまった」と、ことば少なです。

 自民党が描いた改憲スケジュールは大幅に狂いが生じています。本紙五月一日付は、「二〇一一年夏発議、秋の国民投票」のスケジュールを示し自民党総務会に提出された「改憲日程表」を明るみに出しました。改憲日程表に沿って自民党は参院選で「三年後の改憲発議」を公約しました。

 問題の「改憲日程表」を作成した当事者は「いまや、あの改憲日程表は紙くず同然ですよ」と語ります。

 中山憲法審議会長は、改憲手続き法にもとづいて衆議院に設置されることになる憲法審査会について、この臨時国会では設置せず、来年の通常国会へ先送りする意向を関係方面に伝えています。

 しかし、改憲推進派は沈んでいるばかりではありません。

“置き土産”手に執念

 自民党新憲法草案(改憲案)の起草責任者の一人である舛添要一厚労相は十八日夜の自民党衆院議員のパーティーの席上で改憲への決意をあらためて示しました。「参院選に負け、内閣改造、そして総理退陣という政局になったが、憲法改正するという熱意は忘れていない。憲法改正という大きな目標に向かって努力したい」

 改憲派の中核・日本会議と同国会議員懇談会は十月六日に東京で開く設立十周年大会で改憲運動へテコ入れをはかる構えです。

 安倍首相もまた、退陣表明直前まで改憲への執念をいささかも弱めてはいませんでした。

 安倍首相は世論から「改憲ノー」の回答をつきつけられた参院選後、自民党国家戦略本部を舞台に改憲態勢の立て直しをはかる手だてを講じていました。同本部の国家ビジョン策定委員会の再開を指示し、九月から改憲を主軸にした安倍ビジョンの再構築にむけ本格的活動に入る運びでした。

 辞意表明二日前の所信表明演説(十日)では「憲法については、国民投票法の成立により、改正に関する議論を深める環境が整いました」と国会での改憲議論の活発化を訴えていました。

 自民党の改憲派議員は「改憲手続き法はいわば安倍首相の置き土産。安倍内閣が退陣しても改憲作業を進める法的根拠は残した。ここを足場に巻き直しですよ」となお息巻きます。

 しかし、自民党改憲派議員のブレーンの一人さえ「憲法改正論が九条改正とか具体論に入れば入るほど世論の改憲消極論が増える傾向がある。安倍首相は在任中の改憲実現を課題に掲げたが、次の新しい内閣が改憲をテーマに掲げられる政治状況ではなくなった」と冷めた見方をしています。



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