2007年9月15日(土)「しんぶん赤旗」

企業献金 政党助成金

「政治とカネ」不正の元凶

政治資金収支報告から


 安倍自公政権崩壊の一因となった「政治とカネ」問題。国民にきちんと説明できない巨額の事務所費を計上したり、税金を不正受給する問題が生まれる根源には、日本共産党以外の政党が国民と結びついて政治資金を集めるのではなく、企業や業界団体に顔を向けて献金を集め、労せず国民の税金から政党助成金を受け取っている姿があります。


企業献金

「政治を金で買う」仕掛け

 政界に対する企業や業界団体の献金で指揮をとっているのが、日本経団連(会長・御手洗冨士夫キヤノン会長)です。

 日本経団連は、一九九三年に中止していた企業献金のあっせんを二〇〇四年に再開した際、献金のシステムをつくりました。財界の改憲要求や法人税引き下げ・消費税増税などの優先政策事項にもとづき、自民、民主の政策に「通信簿」をつけ、両党と面談もして献金額を決めるという「政策買収」の仕掛けです。それから三年、事態はどうなったのか。

 自民と民主に年百万円以上献金した企業・業界団体で見ると、自民党には、二〇〇三年には三百四十四社・団体が約二十二億四千五百万円献金しました。

自民に24億円

 ところが、〇六年には、百万円以上献金した企業・業界団体数は、地方の建設業者などが姿を消したことで三百三十二に減ったものの、献金総額は約二十四億六千七百万円へと増えました。

 けん引車は大手企業です。日本経団連の役員企業に限ると、献金総額は〇三年の約二億四千万円から、〇六年の約四億三千八百万円へと、一・八倍の伸び。味の素、武田薬品工業など日本経団連の副会長を務めた企業が、献金額を大きく増やしたためです。

民主も増加

 民主党については、企業献金の増加傾向がよりはっきりと出ています。

 年百万円以上献金した企業・業界団体数は、〇三年の十二から、〇六年には二十になりました。その総額も、〇三年の三千二百二十三万円から、〇六年の五千五百二十万円に伸びています。

 日本経団連の役員企業では、味の素、住友商事、三菱商事が〇四年から新たに民主党にも献金するようになりました。三菱重工業も、〇六年に初めて献金しています。役員企業による献金の合計額は、〇三年の百五十万円から〇六年には九百五万円へと増えました。

 本来参政権を持たない企業や団体が、大きな資金力にものをいわせて政治をゆがめるのが企業・団体献金です。これにどっぷりつかった政党に、国民のための政治ができるはずもありません。だからこそ日本共産党は、企業・団体献金をびた一文受け取らず、廃止を一貫して主張しています。

通信簿で評価

 しかし自民党や民主党は「それぞれの企業は、政治活動の自由が保障されている」(安倍晋三首相、五月二十二日)、「どなたから献金を受けようが私個人の意見としては別にかまわない」(小沢一郎民主党代表、七月二十五日)と歓迎です。

 〇六年九月に日本経団連が発表した「通信簿」では、自民党は六項目、民主党は五項目で評価が上がりました。

 〇七年参院選の結果を受け、財界からは「民主党が政権を目指して現実路線に修正するならば、民主への献金額を増やす企業も出てくるだろう」(大橋光夫・日本経団連政治対策委員長、「朝日」八月四日付)との声も出ています。

政党助成金

使い残しをためこみ

共産党、廃止を一貫して主張

 政党助成金の〇六年の配分総額は七政党で三百十七億二千二百万円。これは、この三年間に切り捨てられた生活保護の母子加算(一人親への手当)の予算八十億円の約四倍です。

 制度発足からの十二年間で山分けされた国民の税金は総額三千七百六十億四千九百万円(グラフ)。日本共産党は、国民の税金が支持しない政党にも強制的に回される同制度は、憲法で保障する思想・信条の自由を侵すとして、廃止を求め、受け取りを拒否しています。

1人約5千万

 政党助成金の総額を、受け取っている政党の国会議員数で割ると、一人当たり約四千七百万円の計算です。

 自民党の場合、衆院の小選挙区ごとに、議員が支部長を務める支部があり、ほとんどの支部が党本部から一千万円の政党助成金を分け与えられています。母子家庭へのわずかな手当を削りながら、政治家は歳費(議員の給料)のほかに大金を受け取っているのです。

 各党の支出をみると、自民党は人件費の90%、宣伝事業費の99%、機関紙誌経費の97%を政党助成金に依存。民主党は経常経費の97%、選挙関係費、機関紙誌経費の100%を助成金でまかなっており、それなしには党活動が成り立たないのが実情です。

使い道にマヒ

 各党は、政党助成金の使い残しをためこんでいます。党本部のほか、全国各地の支部がそれぞれ“貯金”。〇六年末の残高は、本部・支部あわせて自民党が七十八億四千三百万円、民主党が七十億八百万円、各党の総合計は百七十億五千八百万円にのぼります。与謝野馨官房長官の支部は、三千三百万円もためています。

 政党助成法には返還の規定があり、使い残したお金は、国庫に返すのが当然です。

 労せずに大金が入ってくるため、使い道には感覚マヒが感じられます。

 自民党は豪華ホテルでの大会費用で、ホテル代だけで六千九百万円を支出。民主党は会議の際の弁当・飲料代に九百二十万円以上使っています。

 社民党のブロック協議会や自民党支部は、伊香保(群馬)や箱根などの温泉ホテルで会議や大会を開き、宿泊費などを助成金で払っています。公明党参院比例の鰐淵洋子議員は名刺用の写真撮影のためのヘアメークに五万円。自民党茨城県支部連合は開票作業員のジャンパー代に七万二千円を使っています。


 政党助成金 小選挙区制と同時に導入され、一九九五年から実施されました。赤ちゃんも含め国民一人当たり二百五十円、年間三百十七億円の税金が、一定の要件を満たし、受け取りを表明した政党に、議席数と国政選挙の得票数に応じて配分されます。

グラフ

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