2007年9月15日(土)「しんぶん赤旗」

主張

政治資金収支報告

金権腐敗の根を絶つ抜本策を


 二〇〇六年分の政治資金収支報告書と政党交付金使途報告書が公開されました。

 退陣を決めた安倍政権では、閣僚などに相次いだ「政治とカネ」の問題が国民の不信を呼び、安倍晋三首相を追いつめました。いまほど政党・政治家と政治資金のあり方が問われているときはありません。腐敗の温床となる企業・団体献金、税金を分け取りする政党助成制度をふくめ、抜本的なメスを入れるべきです。

透明度あまりに低く

 政治資金規正法は、政党をはじめ全国に約七万ある政治団体すべてに、毎年一回、収支報告書を提出することを求めています。同法は、政治活動を国民の「不断の監視と批判」の下に置き、それによって金権腐敗政治をなくすという考え方を大本にしています。そのためには、資金がガラス張りにされ、正確に公表されなければなりません。虚偽の報告は、国民への重大な裏切りです。

 昨年来続いた事務所費、光熱水費などの疑惑は、国民への説明責任などどこふく風で、不正を働く政治家が多数いることを明るみに出しました。事務所を家賃のいらない国会の議員会館に置きながら毎年数千万円もの経費を計上していた閣僚、議員たちの姿は、法の「抜け穴」をつく虚偽報告が広範に行われていたことを示しました。そればかりか同じ領収書のコピーで何重にも経費計上する詐欺的手法までまん延していたことに国民の怒りが広がりました。

 こんなでたらめが横行しているのでは、毎年の政治資金収支報告書など「まゆつばもの」でしかありません。実際、今回の報告書も、透明度はきわめて低く、資金の全体像が分かるものとは到底いえません。

 事務所費疑惑への国民の批判に耐えかねて自民、公明が六月に強行した政治資金規正法改定は、領収書添付は五万円以上、資金管理団体に限るというとんでもない「ザル法」でした。参院選後の国会では、抜本的な法改正が課題となっています。今度こそ、国民の知る権利を保障し、金で政治が買われることを許さない法制度とすることが必要です。

 「政治とカネ」をめぐる疑惑があとをたたない大きな背景は、一般庶民のまともな金銭感覚とかけ離れた、金まみれ政治の実態です。巨額の政党助成、企業・団体献金が日本共産党以外の各党に流れ込んでいます。

 自民党本部の収入は二百六十億円にのぼります。その64%にあたる百六十八億円余が政党助成金、財界があっせんした企業献金も前年を上回る二十九億円(収入比11%)です。

 民主党本部も収入百二十五億円の83%を政党助成金が占める“税金丸抱え”の状態で、企業・団体献金も八千万円余り受け入れています。

 個々の政治家が扱う資金もばく大です。資金パーティーを開くなどして、資金管理団体で一億円以上を集めた国会議員は二十六人います。

税金と企業献金まみれ

 本来、政治資金は、党費と主権者国民一人ひとりからの寄付でまかなうのが原則です。ところが、国民に依拠する健全な財政活動を貫いているのは日本共産党だけというのが、日本の政治の現実です。政治を金で買う企業献金、憲法違反の政党助成制度で、安易に巨額の金を得る政党の堕落が、国民いじめの悪政と金権腐敗政治の温床になっています。

 清潔で、国民本位の政治を実現することが、国民の願いです。そのために、政党助成制度の廃止、企業・団体献金禁止に踏み出すことが、ますます強く求められています。



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