2007年9月5日(水)「しんぶん赤旗」

福祉の担い手はワーキングプア

正規でも月収20万円未満が4割超


 正規職員の賃金は月十五万円から二十万円未満が三分の一を占め、短時間パートの賃金は十万円未満が九割。福祉保育労働者は「現代のワーキングプア」といえる―福祉人材確保研究会(代表・金澤誠一佛教大学教授)がまとめた「福祉保育労働者の労働と生活の実態調査」で浮きぼりになりました。


研究団体調査

グラフ

 職場の六割を二十、三十歳代の若者が占め、八割を女性が占めています。

 賃金(税込み)をたずねると、正規職員では「十五―二十万円未満」が多く(35・9%)、「二十―二十五万円未満」25・6%、「二十五―三十万円未満」13・3%と続きます。実質的に生活保護基準に満たない「十―十五万円未満」の人が6%いました(グラフ)。とくに「十五―二十万円未満」の人が「勤続二年未満」の64%、「勤続二年―五年未満」の62%にのぼっていました。

 短時間パートの賃金は「十万円未満」が九割を占め、常勤パートは「十―十五万円未満」が七割近くを占めていました。

「自立できない」

 正規職員の三割、常勤パートの五割強が「賃金が低くて自立できない」と答えています。「二十五―三十歳未満」の正規職員の四割が本人と親(と兄弟)世帯、同じく常勤パートの五割強が本人と親(と兄弟)世帯と、いわゆる「パラサイトシングル化」がみられます。

多い短期離職者

 仕事に対する悩みや不満をたずねると、「人手が足りない」「忙しすぎ」「仕事が気になり頭から離れない」「からだがもたない」「賃金が安い」などの声が寄せられ、さらに常勤パートからは「賃金が正規との格差が大きい」「正規になりたい」などの声が寄せられています。四割の人がふだんの仕事で心身の疲れを、二割の人がストレスをいつも感じていました。三割の人が「今の健康状態では不安がつきまとう」と答えました。

 前述の状況のなか、「仕事を辞めたいといつも思う」「時々思う」人があわせて61%にのぼっています。

 正規職員のうち55%、常勤パートのうち90%が「勤続十年未満」で、短期間で離職する人が多くなっています。


調査のあらまし

 同調査は、福祉保育労働者の労働条件の実態と仕事に対する感じ方・考え方を把握することを目的に実施。全国福祉保育労働組合組合員と未加入者一万三千二百人を対象に、今年五月中旬から六月中旬に行われました。保育士、障害者施設指導員、ケアワーカー、寮母、寮父、看護師、保健師、ヘルパーなど二千八百二十二人から回答を得ました。


若者・非正規の待遇改善を

 泉谷哲雄全国福祉保育労働組合書記長の話 国民の福祉の担い手の姿は、三十歳未満の若者が中心で、極めて流動化が激しく、若者や常勤パートを中心に「パラサイトシングル化」し、自立した生活ができない実態が浮かび上がっています。まさしくワーキングプアです。

 そして「介護の質をあげたいが正規は雇えない」として、正規職員から非正規職員への置き換えが急速にすすみ、すでに四割を占める非正規職員が福祉現場の担い手になっています。厚労省が「他分野に比べても適切な給与水準を」などと示した新しい「福祉人材確保基本指針」の実効性を求める運動では、財源確保のうえ、若者や非正規職員の賃金・労働条件の改善を中心にとりくんでいきます。



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