2007年9月3日(月)「しんぶん赤旗」

地域再生へ

行政・住民と一体で

中小商工業全国交流集会 分科会・討論会


 静岡市内で一日から開かれている第十五回中小商工業全国交流・研究集会(同実行委員会主催)は、一日夜に三テーマでパネルディスカッション、二日は千人以上が参加して二十の分科会が開かれました。


製品開発 切磋琢磨

写真

(写真)「SOHOしずおかの挑戦」の分科会=2日、静岡市

 「広げる―ネットワーク」のパネルディスカッションでは、全国で十四万の中小企業が二千七百余の異業種グループを組織し、学び合い、切磋琢磨(せっさたくま)しながら、新製品開発やマーケティングの開拓をしている経験が報告されました。

 大阪市生野区で異業種交流会「フォーラムアイ」をつくっている佐藤元相さんは、仕事の激減に直面したバッグや靴のメーカーの中小業者が中国・上海を訪ね、同業種、同規模の会社が「早く、安く、良い製品を大量に」という点で進んでいることにショックを受け、同じ競争では商売を続けられないことを痛感。イタリアのミラノにも足を運び商売について学んで新たなバッグを販売する一歩を踏み出した経験を発言しました。

 長野県岡谷市の荒井潔さんは、友禅染色の仕事に行き詰まり、異業種仲間のアドバイスも受けながら、精密組立業、さらに大容量のハードディスクを冷却して管理する機器を開発した経験を報告しました。

 神奈川県異業種交流グループ連絡会議の芝忠理事は、交流を通じて中小企業経営者が厳しい情勢に立ち向かっている意義を強調しました。

「自治力」 いかして

 パネルディスカッション「変える―自治体・地域」では、行政と住民・商工業者が一体となる地域再生の方向を探りました。

 大阪府大東市の市職員三浦純一さんが行政による産業振興ビジョンの活動を報告。市職員による実態調査から、大学や銀行と業者をつなぐ企業交流セミナーの開催や商店街による新規開業者の指導などが実現しています。地域による「自治力」の振興を訴えました。

 北海道帯広民商は今年四月に施行された市中小企業振興基本条例の制定と活用について、また、静岡県浜松民商も大企業を規制し、中小企業の振興をめざす地域振興条例の制定運動を紹介しました。

 分科会のうち「まちづくりと商業振興」では、大型店出店とまちづくりについて各地から報告。

 福島県では湯川村で優良水田への店舗面積三万七千平方メートルのイオン出店計画が中止。県商業まちづくり条例の実効性が現れています。

 新中心市街地活性化法にもとづく「青森コンパクトシティ」の現地調査も報告され、自治体が財政力を超えた負担を負う半面、まちは本当ににぎわうのか、との疑問も提起されました。

起業相談 「満室」に

 移動分科会「SOHOしずおかの挑戦」では、参加者が静岡市内にある創業支援施設「SOHOしずおか」の事業の内容の説明を受けたあと、施設を見学しました。

 SOHOしずおかは静岡市などがつくった公的創業支援施設。起業などについて相談にくる人が多く、起業のための事務所に使う十三の貸出しブースは常に満室状態になっています。設立からの六年半で二百件以上の新規の事業の立ち上げがされています。

 同施設の大橋良豪インキュベーションマネジャーは、支援施設が好評な背景に、地元の人や起業をした人を講師にした講演会や交流会の開催、相談者の目線に立っての支援などがあると、紹介しました。

 参加者は施設でブースや相談にきた人のためのコーナーなどを見学したあと、支援事業について質疑をし交流しました。

 分科会では山本義彦静岡大学副学長が「盛業者の街・静岡市の歴史と現代」と題して講演しました。


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