2007年9月1日(土)「しんぶん赤旗」

「医師不足は危機的」

学術会議シンポ 政府批判も


 日本学術会議は三十日、「医療を崩壊させないために 医療システムのゆくえ」と題したシンポジウムを東京都内で開きました。奈良県で妊婦を乗せた救急車が病院を探すのに手間取り、妊婦が死産する事態が起こるなど深刻化する問題について、ジャーナリストや医師らが討論しました。

 朝日新聞論説委員の梶本章氏は、奈良で起きた事態について「医師不足が危機的状況にあることの赤信号だ」と指摘。一九九七年に政府が大学の医学部定員削減を閣議決定したことについて「九七年に(医師養成の)蛇口をしめたから、現在、医師不足になっているという因果関係がはっきりしている。政府の判断ミスだ」と批判し、早くOECD(経済協力開発機構)平均並みの医師確保に乗り出すべきだと述べました。

 国立循環器病センター総長の北村惣一郎氏は、同センターの医師約二百五十人のうち、半数以上を非常勤の医師が占めていることを紹介。日本の一人当たり医療費はOECD加盟三十カ国中十九位まで落ちていることを示し、「これは明らかに少ない」と引き上げを求めました。

 慶応義塾大学大学院教授の田中滋氏は、財界が求めている「混合診療」解禁について、「公費負担を少なくして、あとは患者が自由に払えばいい、というのが主張。(自由診療の)部分で、もうけようとしている気がしてしょうがない」と指摘しました。

 医療費を増やすための財源については、「消費税を1%上げると税収は二・五兆円。これを医療費に使ったらどうか。国民に納得してもらうことが大切」(国立国際医療センター名誉総長・鴨下重彦氏)など、国民に新たな負担を求める意見も出されました。



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