2007年8月30日(木)「しんぶん赤旗」

キヤノン

83人を直接雇用

偽装請負告発の組合員ら


 キヤノン宇都宮事業所(宇都宮市)で働く請負労働者が、違法な偽装請負で長年働かされているとして正社員としての雇用を求めていた事件で、キヤノンは二十九日、請負労働者八十三人に「期間社員」(期間工)として直接雇用を申し入れる方針を発表しました。

 請負労働者の大野秀之さん(32)=キヤノン非正規労働者組合宇都宮支部長=らが昨年十月、偽装請負を栃木労働局に申告し、正社員雇用を求めていました。大野さんら組合員は全員、直接雇用されることになります。

 キヤノングループでは偽装請負が各地で発覚。御手洗冨士夫日本経団連会長(キヤノン会長)は「請負法制を見直してほしい」と開き直っていましたが、労働者のたたかいで直接雇用を余儀なくされたものです。

 大野さんは「黙っていられないと労働組合をつくって立ちあがり、たたかってきた成果です。しかし、期限があり安定雇用にならないなど問題点があります。請負会社とキヤノンの契約が終わるので応じざるをえませんが、団体交渉や栃木労働局を通じて正社員化を求めて引き続きたたかっていく」と話しています。

 キヤノンは、偽装請負が告発された派遣元アイラインの労働者八十三人に対して、十月一日付で期間工として採用を申し入れます(すでに一人は期間工として採用ずみ)。これには、離職した十九人も含まれます。

 契約期間は当初五カ月で、最長二年十一カ月まで更新。正社員への登用試験もあり、合格すれば正社員として働くことも可能としています。

 偽装請負は、実態は派遣なのに請負契約を装って、派遣期間の制限(現行三年、当時一年)を超えて働かせる違法行為。

 派遣法では、期間制限を超えて働かせる場合、派遣先は労働者に直接雇用を申し込まなければなりません。政府は「必ず長期雇用を申し込まなければならない義務がある」(柳沢伯夫前厚生労働相)としており、期間工にとどまらず、正社員化が求められます。

 栃木県庁で記者会見したキヤノンの諸江和彦常務は「労働局への申告から十カ月が経過し、直接雇用への社会の関心、キヤノンに対する注目を考慮して、事態の早期解決を図るため直接雇用の申し入れを行うのが最善と判断した」とのべ、偽装請負の是正を迫られたことを説明しました。



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