2007年8月27日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

子の安全/避難所になる

学校耐震化急いで


 学校施設は、子どもたちが一日の大半をすごす場であり、震災が発生した場合、地域住民の避難場所になるところです。ところが、ことし6月、文部科学省が発表した、全国の公立小中学校の耐震改修調査(4月1日現在)では、耐震診断の実施率は9割、4328棟が震度6以上の地震で倒壊、崩壊の危険性が高いと指摘されました。「防災の日」を前に、学校施設の耐震化推進のとりくみをリポートします。


「統廃合と一体」やめて

党県議団が要求

香川県

 香川県の小中学校の耐震改修調査結果は、前年度より12・1ポイントあがり45%に―。しかし、全国平均(59%)と比べれば遅れた状況に変わりはありません。

 香川県は昨年、32・9%の耐震化率で全国最下位が連続していました。今回耐震化率がアップした要因の一つに、調査対象としなかった武道場などを新たに加えたことや、棟数のとらえ方が明確になったことがあると県教育委員会は説明しています。

震度4でひび

 善通寺市の中学(全二校)は昨年耐震強度不足が判明し、新校舎が完成する二〇〇八年夏まで別の校舎を借りたり、プレハブ校舎での授業が強いられています。日本共産党の内田信吾市議は以前から議会で耐震改修を求め、「市内で進む公園整備などの大型公共事業より、耐震改修を進めるべきだ」と訴えてきました。

 また高松市の小学校に勤める教員(46)は「五月に起きた地震(東予を震源とした震度4の地震)では、私の勤める学校で渡り廊下の壁のつなぎでひびが入った。日常的に壁がはがれている状況で子どもが危ない」と話し、耐震化が切実であると語ります。

 日本共産党県議団は再三、耐震化向上のために手だてを尽くすべきだと以前から取り上げてきました。「南海地震が危ぐされるなか、耐震性がない施設を避難場所としては住民の命を守ることはできない」(〇四年九月議会)、「県有施設のみならず、市町に何らかの補助を求めていくべきだ」(〇五年二月議会)など県の姿勢をただしてきました。県は「学校の経費は設置者が負担することが原則」として、「強く働きかけていく」と答えるにとどまっていました。

自主性尊重を

 真鍋武紀知事は今年三月、〇八年度中に耐震化の支援制度のスキーム(計画)をまとめ検討を進めていく方針を明らかにしました。しかし、その予算配分が学校の統廃合を前提にしていることも明らかになっています。

 先の六月定例議会で共産党は「市町に対し耐震化支援を行うとしていることは多いに期待するが、学校の統廃合を前提とした支援はやめるべきだ」とただし、市町の自主性を尊重した支援を行うよう強調しました。これにたいし県は「耐震化に対する新たな支援策は、小中学校の統廃合も含めて検討する」と表明しました。

 共産党の樫昭二県議団長は「全国平均より低く下位に変わりはない。耐震化は急務です。また県は学校統廃合を前提とした市町への補助金支給はやめるべきだ」と話しています。(党県議団事務局 浜崎 好人)


年次計画で工事推進

4年後に全小中校で完了

東京・国立市

 地震時に危険な校舎をいつまでも放置すべきではなく、また学校以外の市の公共施設をふくめ耐震補強は子どもたちと市民の安全と生命を守るうえで最重要課題となっています。このことは新潟・中越沖地震の被害からも、痛感しました。東京都国立市では、六月市議会で日本共産党市議団がとりあげ、学校の耐震補強工事の促進を求めてきました。

 国立市の公立学校耐震工事の基本方針は、つぎのとおりです。

夏休みに実施

 (1)震度6以上(関東大震災程度)の地震に際して、建物に被害や大変形が起こっても、崩壊に至らず、人命に被害を生じさせない構造とする。

 (2)構造耐震指標(Is値)を0・7以上とすることを耐震工事目標値とする。

 (3)校舎耐震工事は、補強鉄骨、耐震壁、耐震スリット等による構造補強のほか、既設ガラスの改修(耐震強化ガラスへの取り換え、飛散防止フィルムはり)、受水槽、高架水槽、揚水ポンプ等の給水設備の耐震化。受水槽に緊急遮断弁の設置、照明器具をつり下げ形から直付けへ。防火とびら、防火シャッターの改修。エリア内の不具合施設改修、老朽設備の取り換えもあわせて行う。

 (4)体育館は、大規模改修工事の実施時期を考慮し、大規模改修工事をあわせて行う。屋根水平ブレース、水平梁等による構造補強のほか、アリーナ、各室、便所等の改修、館内放送設備、照明設備等の改修を極力実施していく。

 (5)授業に影響をおよぼさないよう、極力夏休み期間に工事をする。

 この方針のもと、一九九七年度の第五小学校の耐震診断と設計、翌年の工事実施という形で、年次計画ですすめ、二〇一〇年度までに小学校八校、中学校三校のすべての工事が完了する計画です。体育館については、二〇一一年度にすべて完了しますが、体育館の診断は多いときには一年度に六校行い、工事も三校実施します。

11校を訪問して

 党市議団は、この夏、八月二十二日から四日間、四人の議員が分担して、十一校すべての学校を訪問し、校長先生と直接会って、夏休み中にすすめられている耐震工事の問題や子どもたちの様子、学校施設の改善、学校運営などをめぐって要望を聞き、意見交換をすすめています。

 こうしたとりくみは、これまでもたびたび行い、市議会質問などで、市民の要望とあわせてとりあげてきました。これまでに特別教室のエアコン設置、小中学校のプールの温水シャワーの設置、校庭の散水設備、学校図書館への司書の配置など、教育条件整備をすすめ、市の教育行政の前進につなげています。(市議 高原幸雄)


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