2007年8月21日(火)「しんぶん赤旗」
日米印民間団体
対印原子力協力を
安倍首相に「核開発容認」迫る
安倍晋三首相の訪印を前に、日本国際問題研究所、米戦略国際問題研究所(CSIS)、インド工業連盟は二十日までに、日米印三カ国の安全保障・エネルギー・経済協力のいっそうの促進を求める報告書を発表しました。
報告書は、米印原子力協力協定の促進で「日本の果たす役割は大変重要なものになるであろう」と強調。訪印する安倍首相に対して、「インドの民生用原子力協力」への原子力供給国グループ(NSG)や国際原子力機関(IAEA)の支援を確保する上で日本が「主導的な役割を担う」よう要請しています。
米印原子力協定は、インドの原発推進に米国が協力するとの名目で結ばれたもの。インドの二十二基の原子炉のうち十四基を民生用としてIAEAの査察下におく一方で、それ以外の軍事用を枠外におき、インドの核兵器開発を事実上、容認するものです。
その具体化には、NSGやIAEAの承認が必要です。報告は、対印協力が地球温暖化防止などに役立つ「国際的努力に転換しつつあ」るとして、その国際的承認への責任を日本に負わせようとしています。
唯一の被爆国として核兵器廃絶に特別の責任を負う国の首相として、安倍氏が訪印時に、この問題でどのような態度表明をするかが問われます。
報告書はまた、今年四月に千葉沖で実施された日米印三カ国の海上合同訓練を高く評価。米国のイラク戦略での三カ国の協力を重視しています。
報告は、オーストラリアを加えた「日米印豪四カ国フォーラム」などの四カ国協力の促進を提起。これは「中国に向けられたものではな」いと釈明しています。
報告書作成のために開かれた日米印会議の出席者には、アーミテージ元米国務副長官や、安倍首相に近い財界人の葛西敬之JR東海会長らが名を連ねています。

